見出し画像

4月16日(土):フィットネスクラブ・マネジメント技能検定 インターミディエイト第4章解説③

現在は「フィットネスクラブマネジメント公式テキスト」の最新版「Vol3」のインターミディエイト(中級)、第4章「営業管理」についての解説を進めています。

前回は1節の「販売管理」に出てくる営業目標の設定に関連して「在籍力」について解説をしました。

この設定した在籍力、月次の平均入会力と平均退会率を実現、維持していくためにはフィットネスクラブとして「マーケティング⇒セールス⇒リテンション(会員定着)」の基本的な流れを機能させていくことが必要です。

少し補足をしておくとマーケティングは見込み客の方にクラブまで来館してもらうまでのプロセスの位置付けで、セールスは来館して頂いた方に入会してもらうまでの局面、そしてリテンションは入会していただいた方に継続、定着をしてもらう部分を指します。

マーケティングはテキストの第3章にて詳細に触れられているので割愛し、ここではセールスについての解説を行います。

ではテキストで館内セールスに触れている箇所から見ていきましょう。

-------------------------------------------------------------------------------------

③館内セールス
前述の販促とあわせて来館した見学者や体験者に入会をしてもらうための館内セールスも重要になる。

見学、体験の入会率を左右するのが館内セールスであり、属人的な案内に終始せずに各クラブで安定的に入会へつなげるセールスのオペレーションを整えておく必要がある。

ポイントは画一的なクラブのルート案内ではなく、相手のニーズを伺ったうえで具体的な提案をすることが望ましい。

クラブで館内セールスの仕組みを作り、スタッフへの研修を進めることで安定的に70%以上の入会率維持を目指したい。

次に具体的なセールスの流れを説明していくが、ここでは一例としてセールスオペレーションを「関係づくり」⇒「聞き出し」⇒「解決の提案」⇒「クロージング」という4つの局面に分け、各局面ですべきことを簡潔に示したい。

・関係づくり
来館されたお客様に安心感を与え、ニーズに沿った見学案内をするための準備にあたる。

お客様にアンケートを記入してもらい、案内をするスタッフ側の自己紹介、お客様情報の確認などを行う。

・聞き出し
アンケート項目に沿ってお客様のニーズを掘り下げていく重要な局面になる。

聞くべき事柄はフィットネス経験の有無、最近の運動の状況、身体の状況、なぜクラブへ足を運んでくれたのか、フィットネスを始めようと思ったきっかけ、クラブでやってみたいプログラム、使ってみたいエリア、通うとした場合の時間や頻度、継続にあたってネックとなる事柄などをコミュニケーションのキャッチボールを通じて伺っていく。

・解決の提案
先ほど伺ったニーズをもとにして実際にクラブ内をご案内しながら、解決の提案を行うプロセスである。

ニーズと紐づけする形で各エリアにあるアイテムやプログラムをご案内し、このクラブでお客様のニーズを満たすことができる点を説明して、「ここでやってみたい」「自分にもできそう」と感じてもらうことがポイントになる。

あわせて、お客様のニーズや悩みに対してスタッフとクラブがお客様と一緒に解決しようとする構図を作ることで、スタッフからの提案がお客様にとっても「なりたい自分」や「悩みの解決」へのサポートになるため、セールスが押し売りに感じられてしまう懸念も和らげることができる。

・クロージング
最後はクロージングの局面で、こちらは館内案内を終えて再び席に着き、お客様への補足のご案内、不明点の確認を経て、入会意思を確認して入会につなげるプロセスとなる。

クロージングでスタッフが用いる定型の文言をはじめ、クラブではお客様からの質問や生じるネック等への応酬話法の問答集を作っておくことが望ましい。

-------------------------------------------------------------------------------------

では、テキストで示した事柄を補完し、具体的に意識して取り組むべきポイントを局面ごとに説明します。

・聞き出し
聞き出しは4局面のなかで最も重要な位置づけと言えます。

お客様のニーズを把握しないままの案内では具体性に乏しく、単に館内を回って各エリアの紹介とキャンペーン案内で終わってしまうからです。

これだと予め入会意思の高い方は入会しても、どうしようか迷っている方の入会にはつながらず機会損失になってしまいます。

個別のご案内をするには掘り下げてニーズを掴む必要があり、そのために質問を重ねるコミュニケーションが重要です。

聞くべき事柄はテキストと重複しますがフィットネス経験の有無、最近の運動の状況、身体の状況、今回、なぜ見学に足を運んでくれたのか、フィットネスを始めようと思ったきっかけ、やってみたいこと、使ってみたいエリア、通うとした場合の時間、頻度、ネックとなる事柄などになります。

とりわけ、絶対に把握をしておきたいのが「きっかけのきっかけ」です。

仮にアンケートで「ダイエット」にチェックが付いていたとして、それがフィットネスクラブに見学へ来ようと思った表層のきっかけであるが、そこからもう一段ほり下がった「なんでダイエットをしたいと思ったのか」という部分が「きっかけのきっかけ」にあたります。

それが「健康診断によって~」、「以前の服が入らなくなって~」、「●●月に結婚式があって~」という、より具体的なものが出てくるから、そこを切り口にして、ダイエットのニーズであれば、「どのぐらい」痩せたいのか、「いつまでに痩せたいのか」、「どこを引き締めたいのか」など、掘り下げて伺っていきます。

そうした具体的なところが把握できたら、担当するスタッフはそれと紐づけて館内をご案内する流れを頭のなかで組み立てます。

・解決の提案
先ほど伺ったニーズをもとにして実際にクラブ内をご案内しながら、解決の提案を行うプロセスです。

ニーズと紐づけする形で各エリアにあるアイテムやプログラムをご案内して、それによってお客様のニーズを満たすことができる点を説明し、「ここでやってみたい」「自分にもできそう」と感じてもらい、お客様にとっての「未来を見せる」ことが大事になってきます。

またポイントは「聞き出し」によって明確にしたお客様のニーズ、悩みに対してスタッフとクラブがお客様と一緒に解決しようとする構図を作ることです。

換言すれば単に売り手と買い手の対立、交渉の構図にしないことです。

一緒に解決に向かうの構図を作ることができれば「なりたい自分」や「悩みの解決」へのサポートとしての提案になるから、「押し売り」の色が出ることもなく、お客様や案内するスタッフにとっても気負いがなくなり、精神衛生上も健全だと言えます。


・クロージング
最後はクロージングの局面で、こちらは館内案内を終えて再び席に着き、お客様への補足のご案内、不明点の確認を経て、入会意思を確認して入会につなげるプロセスです。

館内案内でロッカー内、スパエリアなどのプライベートゾーンの見学を避けている場合は、ここで見学案内用のファイルを使ってそれらのエリアに関するご案内をします。

またお客様に何かご不明な点がないかどうかを伺い、質問が出てくればそれに対するご案内を行って不安がない状態にしておきます。

そこまでできたら、お客様のニーズをなぞりながら通いそうな曜日や時間、頻度に応じて会員種別や料金などの最終的なご提案をします。

そしてクロージングとして入会意思の確認を行いますが、その際の投げかけとしては「もし、始めるとしたらいつから始めようとお考えでしたか?」とするのが望ましいと思っています。

「はい」「いいえ」の答えとなる「入会しませんか?」というクローズドな質問よりもお客様が応えやすいし、スタッフの側も切り出しやすいからです。

なお、ここで先の問いを投げかけたあとはスタッフ側が安易に口を開かず、お客様の返答を待つのが重要です。

フィットネスクラブは小売りのようにその場でモノを購入して終わりではなく、中長期にわたって中長期的に通い続けるものでもあります。

そのため、実際の自分のスケジュールと照らし合わせて考えたり、通えそうな日数と月会費を突き合わせて金額的な妥当性、予算上の許容範囲であるのかどうかを考えたりするものです。

だから入会するかどうかを迷っている方ほど少しの時間はそこで逡巡する間があるのは半ば当然です。

ただ、こうしたセールス、クロージングに慣れていないスタッフはそのわずかの間、沈黙に耐えられなくて自分から「それでは資料をご用意しますので、ぜひご検討ください」とか、「良かったらご体験をしてみてから考えてください」などと、場を流してしまうケースがあります。

これは機会損失であるからクロージングで相手にボールを渡したあとは、しっかりと返答を待つことが必要です。

ここでお客様から始める時期について「今日から」や「来月から」といった返答になれば、その利用開始日に応じた手続きのご案内へ移行をします。

一方、「まだ迷っている」「すぐには考えられない」という方は、その方にとってまだ解消できていないネックが残っています。

それを改めて掘り下げて伺い、ネックが解消するような提案を行い、改めてクロージングとしての投げかけを行う流れです。

ネックには「自分にはできるかどうか不安」「忙しくて続けられるかどうかわからない」「自分一人では決められない」「他クラブも見てから検討したい」等が挙がります。

これらに関しては各クラブでそれに対する切り替えしのトークができるような応酬話法の問答集を作っておくことが望ましいでしょう。

こうした一連の館内セールスの型を整備して現場での習熟度を高めることで入会率70%以上を保つことが可能です。


宜しければサポートお願い致します!