エティエンヌ・ド・ラ・ボエシの「自発的隷従論」について



「たしかに人間の自然は、自由であること、あるいは自由を望むことにある。しかし同時に、教育によって与えられる性癖を自然に身につけてしまうということもまた、人間の自然なのである」 p. 43

「よって、次のように言おう。人間においては、教育と習慣によって身につくあらゆることがらが自然と化すのであって、生来のものといえば、もとのままの本性が命じるわずかなことしかないのだ。と。したがって、自発的隷従の第一の原因は、習慣である。だからこそ、どれほど手に負えないじゃじゃ馬も、はじめは轡(くつわ)を嚙んでいても、そのうちその轡を楽しむようになる。少し前までは鞍をのせられたら暴れていたのに、いまや馬具で身を飾り、鎧をかぶってたいそう得意げで、偉そうにしているのだ。」p. 43-44


この本もまた私にとってすごく大事な本です。私の頭の中にはいつもこの本のことがどこかにある。警告のように。

この本を音楽で例えたら、ハードコアPUNKという感じがしている。みなぎってくる骨と筋肉。頬っぺたに全力ビンタ。この本が合わないという人とは親しくなれなさそうだ。

誰かからおすすめで読むのではなくて1人1人が自発的に自ら進んで読むようにすることが望ましい。心理業界を勉強していく上でも非常に大事なことだ。この本がどうして大事なのかはすぐにわかる。

400、500年前の人が書いた本だが、人間は(人間の心は)今とほとんど変わっていない。

全250頁の薄く小さい本で、その内の80頁くらいが本文となっている。その他は長い注と付録みたいなのです。

数百年も前の異国(フランス)の本なので、馴染みのないカタカナ人名が結構出てきて私にはすぐにピンとこないところがあったが。内容は2024年でも輝き続けている。っていうか輝きは増すばっかり。

古語を翻訳するのは大変だったと思う。日本語の選択にも訳者のこだわりが感じられるようです。最高ですマジで。

エティエンヌ・ド・ラ・ボエシの「自発的隷従論」。開きすぎてボロボロになりそう。こんな小さなヘロヘロの文庫ではなくて重厚なハードカバーでなぜ出さないんだ。それが残念である。



なんとなく、伝わったら、それでいいです。

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