暗いのは冬だからだけではない
ラーシュ・ケプレルの『砂男』を読みました。
スウェーデンのミステリーで、こちらはシリーズ4作目です。
3作目の日本語版が出版されてからずいぶんと間がありました。
無事読むことができてよかったです。
主人公のヨーナ・リンナがフィンランド系というところがあまり見かけない設定で好きです。
1作目はつっこみどころが多かったのですが、その設定が気に入ったので読み続けているのではないかと考えています。
ヨーナ・リンナはフィンランド訛りのスウェーデン語を話すのですが、それは翻訳、文章ではさすがに難しいですね。
1作目が映画化されていて、ストーリーはずいぶん違っていましたが彼はちゃんとフィンランド訛りでした。
2作目の『契約』はハリウッド映画ですか?と思ってしまうくらい派手な場面がありましたが、『砂男』は暗くて陰うつでした。
閉鎖病棟で話が展開したり、家族を失った人が多く登場したりするからでしょう。
でも前作で明かされたヨーナ・リンナの過去に関する事件と、もうひとりの主要登場人物のサーガ・バウエルについても深く掘り下げられていて興味をひかれ、一気に読めました。
派手なものより地味なほうが個人的に好きなようです。
ただ重いです。
ヨーナ・リンナ自身も今までよりずっと影を持っている印象です。
2人ともに厳しい人生です。
悲しい終わり方です。
含みを持たせた終わり方でもあります。
5作目もすでに日本語訳が出版されているので早く読みたいなと思いつつ、諸事情により様子見です。
話は変わってMelodifestivalenのファイナルが3月13日に行われ、Tusseの"Voices"がユーロヴィジョンのスウェーデン代表に決まりました。
ひっそりと"Every Minute"を個人的に押していたのですが、2位でした。
でもなんとなく"Voices"なんだろうなと思っていました。
Tusseはコンゴ出身の19歳だそうですが、すでに変化の激しい勢いのある経歴ですね。
冒頭の写真は凍った湖を撮ったものです。
『砂男』の中でもいろいろと凍っています。