残念ながら俺はあんたの期待している人間ではなくって。いつも恋人として胸を躍らせるようなことはできなかった。 「また来世でも出会って別れような」 出会わなかったら悲しい別れはない、それでも出会いたいほどに魅力的だったってことだよ。 40年後に出会えたら飲みに誘ってみようか
あの時、私と見に行った美しい景色や一緒に食べたアイスクリーム、車内で聴いた音楽など… 全部、全部、あの人の思い出になっているのだろうか。 女々しいと嫌に思われてしまうかもしれない。でも、もはやどうでもいい。 清々しいほどに青い空気だったんだ。
深夜、眠れない日だってあるじゃない。 そんな時、名前も知らない人がネットの世界に吐き出した心を読んで涙を流した。 文面は人の感情を隠しやすい傾向がある。 だけど、本当に人を感動させる言葉は場所を選ばないと私は思う。 それを人の心だと私は思う。
私がまだ青さも知らないような子供の頃。 放課後、近所の同級生と一緒に毎日のように里山へ繰り出し、虫を捕まえて遊んでいた。 あの頃は、毎日が新しい景色や発見で、全てがキラキラしていた。 あれから様々な出来事を経て、都会の荒波をなんとか乗りこなしながら生きてもう何年に経つだろうか。 ある日の深夜、再放送していたスタンドバイミーを観て涙を流した時、故郷を想う気持ちを思い出した私は、奥さんに明日、墓参りついでに帰ってみようかと提案した。 写真のカブトムシは、その時に発見した個
とても美しい景色を 「美しかった」と、私はたった一言だけで終わらせたくない。 だけど表せない自分が悔しくて悔しくてたまらない。もどかしい。 でも結局、肉眼には敵わないんだよな。 君と肩を並べて見ないと、本当の共有なんて出来ないんだよ。
言葉は素晴らしいよ、僕は言葉が好きだ 人を悲しい気持ちにさせたり、感動させ涙を流させることだってできる もちろん笑顔にだってできるし、幸せな気持ちにだってできる でも、口から出た言葉はいつか忘れてしまうもんだ。だからこうやって文字に起こして、助けを求める貴方の為に残している。
世の中が変わり続けたとしても 春は花を見ながらお酒を飲みたい。 夏はカブトムシを捕まえに行きたい。 秋は足音を楽しみながら紅葉狩りをしたい。 冬は結露した窓越しに雪を眺めて、 「ちょっと外に出てみようか」なんて言いたい。 そういった景色をもっと感じていたいよ。
かつての言葉と涙をそっとポッケにしまって、私は今日も平生を装って外へ出る。 「私の何が間違っていたのだろうか」 どこかの誰かが手入れをしているであろう、無人駅で孤独に火を灯しているストーブにどこか同情してしまった。 濁った青色の気持ちと共に、白い息が春に向けて旅立った。