夏の幼い記憶
私がまだ青さも知らないような子供の頃。
放課後、近所の同級生と一緒に毎日のように里山へ繰り出し、虫を捕まえて遊んでいた。
あの頃は、毎日が新しい景色や発見で、全てがキラキラしていた。
あれから様々な出来事を経て、都会の荒波をなんとか乗りこなしながら生きてもう何年に経つだろうか。
ある日の深夜、再放送していたスタンドバイミーを観て涙を流した時、故郷を想う気持ちを思い出した私は、奥さんに明日、墓参りついでに帰ってみようかと提案した。
写真のカブトムシは、その時に発見した個体だ。
この里山には確かに、昔と比べ細々ではあるが…
「命」が繋がれていることが分かり、たまらなく嬉しかった。
思わずガッツポーズをする僕を見て
「子供みたいね」
なんて笑う奥さんを尻目に、
その里山には虫たちと、幼い頃の私という宝物が2つ、確かにあった余韻に浸っていた。
嬉しかったんだ。安心したんだ。
夏の幼い記憶、幼い頃の私へ。
また会いにくるよ。どうか永遠に無くならないでほしい。