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マグロとムシ【その14】

皆さんはマグロはお好きですか?好きなものは最後に食べる主義の私は、お寿司を食べに行ったときに最後に食べているのは、マグロハマチです。みなさんは、マグロといえば何県を思い浮かべますか?マグロの漁獲量が最も多い県は、長崎県で、青森宮城と続くようです。私がこれまで食べた中で一番感動したマグロは、職場の旅行で食べた和歌山のクロマグロの握りでした。旅行社が用意したランチがあったのですが、しなびたシーフードが並んでいたので、近くの人に押し付けて抜け出しました。そして、トイレに行くふりをして、となりの寿司屋で食べていました。
今回は、久しぶりに和歌山の有田市にある即売所に行って、マグロを買ったのでその話です。

3連休の中日に行ったのですが、併設のお寿司屋さんに開店前から行列ができていました。

今回も浜のうたせ

今回訪問したのは和歌山県有田市にある有田箕島漁業協直営のマーケットです。季節的にはそろそろ太刀魚で賑わっているのではないかと思っていたのですが、あまり並んでいませんでした。ただ、私が狙っているのは、あまり数がとれずに大阪や東京に送られない地魚です。メインの売り場をのぞいたあとにいつもの地魚のところをみたのですが、なんとクロマグロが並んでいました。マグロの検査をしたことがないので購入は即決でした。

クロマグロ
サイズが30cmくらいだったので、2匹で480円だったのでしょう

マルソウダ
和歌山ではメジカガツオと呼ばれています。赤身の魚のためか、カツオと呼ばれるようですがサバ科の魚です。

アカカマス
干物でないカマスを食べられるのは、海に近いからでしょうか。

マグロより高かった

何が出るかな?

大学のころから数えるとかなりの年月、魚を解剖して寄生虫を探していましたが、赤身の魚の解剖をしたことがありませんでした。一昨年の夏に、鹿児島で調査した時にマルソウダを漁港でもらったのですが、残念ながら解剖することができなかったので、2年ぶりのリベンジです。できれば、私が専門にしている単生類がでてきてくれたら嬉しかったのですが、残念ながらいませんでした。しかし、吸虫がたくさん出てきました
まず、クロマグロのエラにディディモゾイドのメタセルカリア(休眠中の幼虫)を発見しました。そのあと、筋肉の中から成虫も発見しました。

マグロのエラに寄生していたディディモゾイドのメタセルカリア(左)と筋肉中のディディモゾイド成体(右)

また、マルソウダのエラに枝状に広がる何かがついていました。X(Twitterの方がなじみがある)で聞いたところ、こいつもディディモゾイドの仲間だということがわかりました。このマルソウダの枝状のムシとクロマグロのディディモゾイドを2日にわけてXに投稿したのですが、生き物好きの琴線にふれたのか、通知が3日間なり続けていました。

枝状に広がる吸虫(左)と肉眼で確認した様子(右)

この2種類のムシはどちらもディディモゾイドの仲間ですが、これは科という生物のグループで同じということです。哺乳類で言えば、「ヒョウとライオンとイエネコは同じネコ科である」というのと同じです。とはいっても、ライオンとイエネコは同じ仲間と言われたらなんとなく理解できますよね。けど、このマルソウダとクロマグロの吸虫が同じ科というのはなかなか想像がつきません。寄生虫の多様性には感心させられます。

いつものフォロー

筋肉中にディディモゾイドがいたクロマグロですが、ムシのいたところを取り除いて食べました。知り合いには加熱することをすすめましたが、私は漬けにしていただきました。クロマグロにしては小さかったので、見た目はこじんまりとしていましたが、味は格別でした。
マルソウダですが、検査をしている時から少しにおいがしました。そのため、生姜をいっぱい入れて、煮付けにしていただきました。色々アクセントが効いてご飯のお供として最高でした。

左が煮付けで右が漬けです。

やっぱり、和歌山はいいな。

https://www.instagram.com/fish_worms_lab/


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