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枯れ葉
枯れ葉を見た。
周りの人が口をそろえてオススメしてくれるし、なんといっても大好きな監督が数年ぶりに復活したのだ。
見に行かないわけがない。と自分でも思っていたし、友人からも「もう、見に行ってるもんだと思ってた。」とまで言われた。
ミニシアターの ‘‘みんな仲間‘‘ と言わんばかりの空気感と無駄な余白がなく、どの位置から見てもスクリーンを貸し切れているような風景が本当に好きだ~。と考えながら、自分で決めた赤いシートに腰かけた。
初めて訪れた映画館の席を決める時は、勝手にその空間を想像しながら設定する。
大体後ろの席を選択すれば間違いない。
斜面の角度のやさしさは当たり外れがあるなあ。
大手の映画館より出入りが激しくないためか、椅子の座り心地が上質で好きだった。
これはまさしく 人が座るためにある椅子 であった。 当たり前か。
なんて考え事をしていたら、お決まりの哀愁漂いすぎている風景がとび込んできた。
わ~、カウリスマキの愛犬じゃん~、なんて思っていたらエンドロールに入っていた。
素材を活かした食べ物を眺めている気持ちだった。
旬の。とか オーガニック。とかではなく、その辺で買った檸檬とかキャベツ。みたいな映画だった。
求めていくにはこちらが追いつかず、求めず行くには事足りたと思う。
所謂、そのままの良さ見たいなものを前面に主張しながら、今の情勢と絡ませていく様子が見事に白米に乗せるレトルトカレーであった。
重ためのやつだった。
レトルトカレーのくせに16種のスパイスにこだわった!
みたいな感じ。
ちなみに全く関係ないがレトルトはレトルトでいいんだよねえ。
なんかさっきから食べ物ばかり出てくるけどお腹すいてるのかな自分?
風景は相変わらずの淡白な色合いだけど、今回はなんとなくキーとなる色味が、1シーンにぽつぽつと共存しているように感じた。
混ざっても黒に近い色にすらならず、色に乗せた一筋の日差しのような三原色という感じだった。
いいコントラストだった。
私はおそらくお国柄みたいなところを楽しんで観るタイプだと思う。
それこそ音楽だったり、ファッションだったり。
アンサのコートは労働三部作のどこかで着ているのを見かけた気がする。
あの時に見た軽やかな青の存在は、寒色を好む自分の中でひとつのパーツになっているような気もする。
生まれ方や生い立ち、気候、食事、人との距離、空気感、街並み、どれも私が住んでいるような街と暮らしには合致しないけれど、回りくどい恋愛は可愛くない。ということだけは共通認識?
私が勝手ながら可愛げがないと感じているだけなのかもしれないが、この年になって気づかされる、、奥手の厄介さ…
そういうような心の奥底に共感を忍ばせてくるのがカウリスマキ。すさまじい。もどかしい。期待はよくない。とんとんとん。
決して人ごとに感じさせないストーリーが、いつの年代でも打たれるものがあるんだなあと感じた。
遠回りがあるほど、心の距離はキュッとするんだろうね。
どうにもならなくて、すれ違うことすらない平行線のままでも良いよ。と感じていたけれど、
不器用は不器用なりに愛を伝えていくのだね。
いつ見たっけな~ 備忘録
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