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全国学力学習状況調査の弊害
2007年から始まり、2013年に悉皆調査となった全国学力学習状況調査。今や報道機関が結果を堂々と報じるのが当たり前になった。(かつては、学力の序列化を生むという理由で数値の報道等については慎重に取り扱われていたはずである。)
報道を見聞きした世の中の人々は、「〇〇県(または地域)は全国平均を上回ったから学力が高い」や「全国平均を下回ったから学力が低い」と学力調査の数値を見て感じることだろう。
そもそもこの全国学力学習状況調査のねらいは、「授業改善」にあった。調査の結果を分析し、現場の授業のどこをどのように改善することが国の考える学力向上につながるのかを考える材料とするということである。
【ゆがめられる本来のねらい】
しかし、この全国学力学習状況調査、今や授業改善のためというよりは、学力調査の数値を上げること自体に目的が変わってしまっている。(国はそう考えてはいないかもしれないが、この調査の目的をゆがめてしまっている自治体があるということだ。)
この点について、わがマチの教育行政はきわめて危機的な状況に陥っている。もう十数年前から、マチの議会がマチの子どもの学力(いわゆる学力調査の数値)が低いということで、学力調査の数値を上げるよう教育委員会にプレッシャーをかけ続けてきた。やがてそのプレッシャーに抗しきれなくなった教育委員会は、学校に圧力をかけるようになったのだ。
例えば、教育委員会は、各学校の学力調査の結果を全国平均や前年度の結果との比較という形で一覧にし、公表する。数値がよい・悪いが一目瞭然となるので、学校の序列化が進む。
”低学力”とレッテルを張られた学校の校長は、教育委員会の指導(叱責も含めて)を受け、数値を上げるための対策を講じることが義務付けられる。数値が低い学校は教育委員会の”狙い撃ち”に合うのだ。その上で「校長は結果を出さなければならない」と強い言葉で指導を受け続ける。これが毎年繰り返される。こうした状況がもう何年間も続いている。
学力向上ばかりが唱えられ、学校の実態や特色を生かした学校経営などは三の次になってしまっている。
【不当な支配】
教育基本法第16条には、
『教育は、不当な支配に服することなく、この法律及び他の法律の定めるところにより行われるべきもの』
と謳われている。学力調査の数値向上を目的とし、学校にさまざまな圧力をかけてくるわがマチの議会や教育委員会の所作は、学校教育に対する不当な介入(支配)であるといわざるを得ない。
そしてこの”不当な支配”は、教育現場の教員にも大きな影響を与えている。その詳細については、またの機会に譲りたい。