海辺のカフカを読んだよ!!

おひさしぶりでござぃます〜、また村上春樹さんの本を読みました✌︎('ω')✌︎
結論から言うとね、面白かったけど、よくわかんなかったよ✌︎('ω')✌︎
それにしても、「おもしろい」と「よくわかんない」は両立できるんですね。やっぱり世界に名を轟かす人は一味違うや。
でも、読み終わった後にこれはこう言うことかな、こうかなって考える時間がとても楽しかったです。
長くなっちゃうかもだけど、自分なりに断片を拾い上げていきたいと思います。
お時間あったらお付き合いください(^ω^)


海辺のカフカという物語はなんだったのか

少年が「のみこむ」までの物語

これはやっぱり第一に考えたいです。
なかなかに癖が強い物語ではありますが、意外といいたいことはさっぱりしてる気がします。
猫ちゃんの殺害場面のどぎつさや、わりと結構ぶっこまれてくる下ネタにまどわされてはいけません。←わりと動揺したやつが言うな

私はつまるところ、これはカフカが世界を「のみこむ」までの物語だと思っています。
要するに、それまで自分を取り巻いてきた呪いに満ちた世界を、自分の中に取り込んでしまう物語だということです。

カフカはあまり恵まれた家庭に生まれませんでした。お父さんがヤバい毒親すぎて、カフカは小さい頃から「呪い」をずっとかけられ続けてきてしまいました。お母さんに捨てられたカフカは誰にも助けてもらえませんでした。彼は、生きていくためにもらわなければならなかったものをもらえなかった子供でした。
そんな世界を拒絶するため、自分の生き方を切り拓くため、カフカは旅に出ます。

でも、旅に出たところでずっとかけられ続けてきた「呪い」なんてものは簡単には消えません。
早くそんなものから解放されたいカフカは、結局呪いに取り込まれてしまいます。「のみこむこと」と「とりこまれること」は全然違います。焦りは禁物だったのです。
お父さんを殺し、お母さん、お姉さんを犯してしまったカフカは、多分、相当危ない状態だったと思います。佐伯さん、ナカタさんと同じ道を辿ることになったでしょう。(←これは後述します)

それで、最終的に彼が取る手段は、「森」の深部へ入っていくことでした。
大学の授業で教わったのですが、物語において、藪や茂みに入っていく描写は、すなわちその人の心理世界に入っていくことを暗示しているそうです。
しかもカフカの場合は、入り口の石によって、もっともっと深いとこまで行ったのだと思います。彼は、徒手空拳で自分の心理世界に飛び込んでいったのです。
でも、上手く言えないけどこれは多分究極の手段です。下手したら自分が壊れちゃうと思います。
それは本で何度も描写された「森」の不気味さ、戻れないかもと言う恐怖から伝わるかと思います。
でも、カフカはそういう究極の内省を通してでしか、もう一度自分と、世界と向き合えなかったのだと思います。

それで、たどり着いた先にいた彼の母親の「メタファー」である佐伯さんがこんなことを言います。

彼女は言う。
「あなたはなにかを切り取ったり捨てたりするようなことはしないの。私たちはそれを捨てるんじゃなくて、自分の中に呑み込むだけ」
「僕はそれを自分の中に呑みこむ」
「そう」
「それで」と僕はたずねる。
「僕がそれを呑みこんだとき、いったいなにが起こるんだろう?」
少女は少しだけ首を傾けて考える。とても自然な傾けかただ。それにあわせて彼女のまっすぐな前髪もかすかに傾く。
「たぶんあなたはすっかりあなたになるの」
と彼女は言う。

(下巻、p459−460)

これが、この物語の中核なのではないかと私は思うのです。
カフカ少年は、ずっと呪いから切り離されたがっていました。名前を捨てました。故郷も捨てました。彼は何もかもを捨てることで、自分を取り巻いてきた世界を否定することで、新しい自分に生まれ変わろうとしました。
でも、そんな簡単に物事は進みません。
刻み込まれたDNAは絶対に消えませんし、もらえなかった愛情の空白分、心に穴は空いてしまいます。
つまり、カフカ少年が取ろうとしている選択は、自分を救おうとしながら、結局最も自分を痛めつける行動にしかなり得ません。(こんなつらいことある???)
では、どうすれば良いのか。
耐えるしかないのです。じっと、じっと、耐えるしかないのです。
確か作中でも、その種の強さは得ることが難しいみたいなことを言ってました。
さらにいえば、物語冒頭の砂嵐の話もそうですし、最後の場面で大島さんのお兄さんも、耐えることの重要性を話してますね。
耐えて、耐えて、呪いごと引き受けて生きる覚悟を抱かなければならないのです。
そうした時に、ようやく呪いを呑み込む強さが生まれます。それで呪いを自分の体内で飼い慣らしたその時に初めて、カフカは新しい一歩を踏み出すことができるのだと、この物語は伝えたかったのだと思います。

そして、これは個人的にはめちゃめちゃ刺さりました。そっかーーー、逃げ道なんかないのかーーーーなんて、思いました。どこかに行きたいと彷徨い続けてきた人間です。カフカとおんなじや。

カフカは、森から無事に戻ってきました。彼が呪いを呑み込めたのかはわかりません。きっと相当難しいことだよね。
でも、呑み込もうとする覚悟は絶対できたと思います。それがあるのとないのじゃ大違いです。
世界を拒絶することをやめたカフカは、一旦自分の家に帰ることにします。
これから、呑み込む覚悟を持って生きていければ、きっと彼は幸せになれる、とそう思えるエンディングでした。
カフカの場合は、ハッピーエンドと言っても差し支えないでしょう。カフカの場合は、ね。

「彼ら」が呑み込めなかった物語

前述の通り、呑み込む強さってなかなか持てません。むしろ大抵無理だと思います。そういう「呑み込めなかった」人たちが、佐伯さんとナカタさんなのだと個人的には捉えています。ひとりずつ説明していきたいと思います。

ナカタさんについて

ナカタさんですね、実はこの物語でいちばんのお気に入りキャラクターです。まじかわいい。こんなおじちゃんいたらいいなー、なんて思いながら読んでました。
ナカタパート読みたすぎて、カフカパートいらねえなんて思いながら読んでたくらいです。←大変失礼
でも、ナカタさんの過去が一番辛いと思う。
それで彼は世界を拒絶してしまったから。

ナカタさんは、優秀な男の子でした。
エリート家庭に生まれて、お兄さんと弟も大変優秀でした。
でも、その家庭には愛がありませんでした。
お父さんから、愛のない暴力ばかり受けていた少年のナカタくんは、きっと常日頃から鬱屈した思いで毎日を過ごしていたのだと思います。
なんとか、繋ぎ止めていた毎日だったのでしょう。
それでも、ナカタくんは世界を諦めてはいませんでした。親の次に身近な、学校の先生に希望を見出そうとしました。
でも、信頼を築こうとして行なったことが裏目に出て、先生は激昂して彼を殴りました。
その時、ナカタくんの心は限界を迎えてしまったのだと思います。
(やばい、かわいそうすぎて、泣きそうになってきた。)
その時に、ちょうどなんか入り口の石?と同じ観念のようなものに子供たちは襲われます。
(これは結局なんだろうね、たまたまなのかね?
ナカタくんがなにかしたのかね?わからん。)

なにがあったのかはよくわからないですが、きっと子供たちは別世界に連れてかれたのだと思います。
まあ、みんな戻って来れたところをみると、そこまで話の通じないような場所ではなかったのでしょう。きっとカフカが行った森の奥の世界みたいなとこだったと予想します。
で、他の子達は自分の世界に戻ることを選びました。もちろん、見ず知らずのところにひとりぼっちなんて嫌ですもんね。
でも、ナカタくんは違いました。彼は、元の世界を拒絶しました。戻らなくていいと思いました。あるいは、もう「自分」を捨てていいと思いました。(それがきっと、「失われた影」があらわしているもの)
それで、彼は空っぽになって世界に戻ってきました。
これが、「結果」なのです。
カフカが最初に願っていたことを文字通り行おうとすると、結局「自分」というものをまるっきり捨てなければならないのです。悲しい。それはやっぱり、違うよね。
でも、ナカタさんにとってはそれが良かったのかな。彼は、空っぽな代わりに、第六感のようなものが鋭くなりました。
(カフカは、その力を知らず知らず利用して、ナカタさんに父親を殺させました。まあナカタさんの意思ではなかったから実質カフカが殺したようなものですね、やっぱり。)

力を悪用されたりしながらも、父親を殺してしまった代わりに、ナカタさんは入り口の石を開けて、カフカ少年の再生に大きく貢献します。
そして、やり遂げた彼は静かに息を引き取ります。

これが、ナカタさんの人生でした。

佐伯さんについて

佐伯さんはね!難しいね。私は、この人のことはよくわからないです。
ですが、世界を諦めてしまった人なのだと言うことだけはわかります。
彼女は、普通はなかなか出会えないような運命の人と出会って、「完璧な世界」を知った人です。
それってめっちゃ運のいいことだなあなんて思うけど、逆に言うとその世界を失う時の心身のリスクがめちゃくちゃでかいってことでもあるんだと佐伯さんを通じて思いました。
彼女は、幸福すぎたがゆえに、不幸になってしまった人物だと解釈すればいいんですかね。
まあなんにせよ、佐伯さんも世界に絶望しました。
で、ナカタさんの場合と一緒で、入り口の石の向こうの世界へ行って、「自分」をそこに置いてきてしまいました。
それでも、佐伯さんが割と現実世界でもしっかりとしているのは、幸福だった時の記憶も十分に残っていたからだと思います。
あと、どちらかといえば成熟した年齢だったから、全てをあっちの世界に置いていこうとは思わない理性があったとも言えるでしょう。
でも、彼女も影を失ったことには変わりません。世界を拒絶し、自分をも捨てた人間に待っているのは、結局ゆるやかな破滅なんだと思います。
でも、佐伯さんは最後の力を振り絞って、森の奥の世界まで行って、カフカ少年に啓示を与えました。それがまた、カフカ少年の生きる支えとなったことは言うまでもないと思います。
佐伯さんもまた、最後にカフカ少年を救って、息を引き取ったのです。

「彼ら」が少年を救い、救われる物語


ここまで書いてみて思ったのですが、佐伯さんとナカタさんもある意味でハッピーエンドといえるのかもしれません。
初めは、世界を呑み込むことのできなかったバッドエンド側の人たちだと捉えていました。
でも、考えてみると彼らがいなければ、カフカ少年は世界を飲み込む覚悟なんて、とてもじゃないけど、持てなかったと思います。
ナカタさんが石を開けてくれなきゃ、佐伯さんとお話しすることもできなかったからね。
そういう意味で、自分達と同じ道を辿りかねなかった人間を、自らの手で、救うことができたのはなかなかに価値のあることだと思います。
しかも、世界を拒絶した経験があったからこそ、一人の人間を救うことができたのですから、それは、丸々自身の人生を肯定することにもつながるのではないでしょうか。

カフカ少年は、世界を拒絶した人たちに救われた。
そして、彼らもまた、カフカ少年を救うことで自らを救うことができた。
そう考えると、みんな生きていて良かったんだと思うことができますね。
みんな悲しいけど、みんな不幸ではなかった。
「海辺のカフカ」はそのような物語だと捉えてもいいかもしれません。


さいごに

つかれた!!!ひじょーにつかれた!!!
またぶっ通しで書いてしまった!!!
主観MAXなので、変なところもきっとあると思いますが、温かい目で見てやってください(^^)
実は、大島さんのお兄ちゃんとか、カーネルサンダーズについても書きたかったんだけど、今日は力尽きたのでまた今度書きます。

読んでいただきありがとうございました。
では、また。





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