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【Fireworkトレンド】          ライブコマースとファッション業界の未来

さらなる成長が止まらないファッション業界。特に、ECにおけるファッション領域の成長は著しいものとなっています。しかし今、ファッションECをめぐる様々な課題が浮き彫りになっています。この記事では、ファッションECの課題や、それを克服するライブコマースの活用について、そのメリットや仕組みを解説します。

2020年の新型コロナウイルス感染症パンデミックによる混乱を経て、世界のファッション業界は元の状態に戻るための足取りをたどっています。ファッションビジネスは、これまでも常に大きな規模を誇っていましたが、今後数年でさらに急成長し巨大化することが確実視されています。

世界のファッション市場規模は、2019年に1.9兆ドル(約258兆円※)に達しました。
また、2030年には3兆米ドル(約408兆円※)を超えると予測されています。

ファッションは、B2C EC市場において最大のセグメントを構成しています。
2020年、世界のファッションECの市場規模は5,500億米ドル(74.8兆円※)と推定されています。
2030年には年率13%以上で成長し、約1.9兆米ドル(約258兆円※)の市場規模に達すると予測されています。

この10年間で、世界のファッション産業の60%以上が ECによって推進されることになるでしょう。

グローバル視点でのファッションEC業界での現状

ECはファッション産業の未来の姿です。
一方、ファッションブランドがオンライン上で事業を拡大するためには、直面する特有の課題があります。
いくつかの大きな課題をご紹介します。


広告料金と顧客獲得コストの高騰

パンデミック以降、世界経済が回復に向け懸命に取り組んでいる中、FacebookやInstagramなどのソーシャルプラットフォームやGoogleが覇権を握り、広告料金の引き上げ、ひいては顧客獲得コストの上昇をもたらしました。

Marketplace Pulseによると、2021年末のアマゾンでの広告費は1クリックあたり1.2米ドル(約160円※)で、年初の0.93米(約127円※)ドルに比べて30%上昇しています。


より魅力的な体験を創出し続けなければならない

デジタル技術がますます精巧になるにつれ、顧客の要求もまた最高水準に達しています。

出典:Criteo ショッパーストーリー グローバル(オーストラリア、日本、韓国、フランス、英国、米国)2021年8-11月,N=7330

現代の消費者にとって、ブランドのウェブサイトは依然として検索・発見の際に最も重要な情報源となっています。

顧客の注意力は急激に低下し、どのようなウェブサイトに対しても数秒とかからずに判断がつくようになりました。魅力的でないと感じると、約40%の顧客は直ぐにウェブサイトから立ち去る傾向にあります。ブランドは、ユーザーにとって魅力的なデジタル体験を提供することで、顧客との摩擦を減らし、顧客の購買行動に付加価値を与える必要があります。

コンバージョンを増やし、リピート購入を促すためには、ウェブ全体でオムニチャネルかつパーソナライズされた体験を提供し、さらに魅力的で関連性の高いコンテンツを作成することで、摩擦のないチェックアウトを提供する必要があります。

  • ロイヤルカスタマー構築に向けたTikTokなどのプラットフォームとの争い


    ソーシャルメディアの利用者数は46億2000万人を超えています。ユーザー層はこの10年間で毎年12%増加しており、さらに昨年からは毎日100万人ずつ増えています。また、今日の一般的なユーザーは、2時間半近くをソーシャルメディア上で過ごしているとの報告があります。

    TikTok、Instagramなどの人気のあるソーシャルメディアプラットフォームが、ソーシャルコマースを拡大する入り口としての役割を担っているのです。

    eMarketerによると、米国におけるソーシャルコマースのユーザー数は、2020年の8000万人から、2022年には9600万人に増加すると予想されており、わずか2年で25%もの増加、米国の全インターネットユーザーの36%を占めます。

    ユーザー層を構築すること、またこれらのプラットフォームで高いシェア率を誇るデジタルネイティブブランドと対抗することは、旧来のブランドにとっては容易ではないかもしれません。


  • ファーストパーティデータへのアクセス制限
    ブランドのウェブサイト、EC市場やソーシャルメディアなど、顧客のウェブ上で過ごす時間は、日を重ねるごとに増えています。デジタルマーケターは、常にカスタマージャーニーを把握すること、また商品発見をよりシンプルにするための方法を模索しています。

Statistaによると、 デジタルマーケターの83%は顧客の行動を理解するため、サードパーティデータ(Cookie)に過度に依存し、またそのデータを利用して顧客の体験をパーソナライズしています。そのため、デジタルマーケターにとって情報の共有に同意した顧客のウェブサイトの閲覧を追跡するCookieは必要不可欠なものです。

Amazon、Google、Facebook、Alibaba、TikTokなどのEC市場やソーシャルメディアプラットフォームは、自社のプラットフォーム上のカスタマージャーニーの各ステージにおいて、インサイトに富んだデータ(セカンドパーティデータ)を抽出する高度なシステムを独自で構築しています。そのため、顧客の趣向を効果的に先取りし、適切な商品・サービスを販売できます。しかし、これらのプラットフォームで事業を展開する多くのファッションブランドは、そのような情報を入手できません。

これらのブランドは、適切な顧客をターゲットに定め関係を構築し、事業の成長を確実なものにするため、しばしばCookieに依存します。しかし、Googleが最近発表した、より優れたデータプライバシー提供のためのサードパーティCookieの段階的廃止は、多くのマーケターにとって悩みの種となっています。このような充実したデータソースがなければ、ブランドが顧客の行動を把握することは困難です。

したがって、各ブランドはデータの所有権を得るシステムの構築について検討する必要があります。

  • サプライチェーンの問題によるコスト抑制
    世界的な新型コロナ危機はロックダウンを招き、原材料の調達や製造から大陸を越えた最終製品の輸送に至るサプライチェーンに影響を与えました。

    競争優位を確保するため、ファッションブランドは激しい競争の中、サプライチェーンの崩壊を最小限に抑えるため、コストの削減を続けています。
    一方、ファッションブランドの「ベネトン」は、自社の生産拠点を低コストなアジアから、東欧や北アフリカなどの自国に近い場所に移しました。結果、納期を短縮しサプライチェーン全体をよりコントロールしやすくしています。


  • Z世代に対応した体験のイノベーション

    Z世代は、最新の消費者世代です。前世代と比べると、Z世代はより多様なデジタル・プラットフォームを使いブランドと関わっています。彼らはファッションブランドが自分たちに語りかけ、満足のいく体験を提供し、それをソーシャルメディアを通じて他の人々と共有することを望んでいます。

    例えば、米国ではミレニアル世代は32%、Z世代では23%が現在何らかのAR技術を使用しています。
    ファッションブランドは、魅力あふれるストーリーテリング術を活用し、ありきたりなデジタルアプローチを避け、ユニークでパーソナライズされた体験を創り出すことで若い顧客とつながり、強固な消費者基盤を築く必要があるのです。


ファッション業界の未来とライブコマース

課題を克服し、技術革新の一歩先を行くために、ファッションブランドは包括的なライブコマース戦略を検討する必要があります。

TikTokやInstagramリールなどの動画主導のソーシャルメディアプラットフォームの成功は、没入型体験に対する消費者ニーズについて重要な見識をもたらしました。

【ライブ配信市場を圧倒的にリードするアパレル・ファッション領域】

出典:Everbright Securities、iResearch、MacKinsey分析 出典:MacKinsey


ライブコマースは、ショッピング・エンターテインメント・教育の楽しさをシームレスに融合させたものです。ブランドと交流したり、他のユーザーと繋がることで商品やサービスに対する考えを深められる、完全な没入型ショッピングを体験できます。このようなEコマースとコンテンツの融合はすでに始まっているのです。

最後に、2021年に3630億米ドル(約49兆円※)の収益を上げるという中国のライブコマースモデルの成功は、世界中のファッションブランドの注目を集めています。今後より多くのブランドがこの流れに乗ることが予想されます。
これこそがファッション業界の未来であり、各ブランドはその流れに向け準備する必要があります。

ここでは、このチャンスをものにするための簡単なガイドを紹介します。

  • 動画コマースとライブコマースで、コンテンツとコマースを統合

    ブランドの多くは、ECにおいてコンテンツがブランドの権威を高め、サイトへのアクセス数を増幅し、コンバージョンを向上させる重要な役割を担っていることをよく認識しています。単にブランドウェブサイトに動画を加えるだけでは通用しないのです。

    それぞれのブランドは一流のコンテンツとEコマースを、ライブコマースを用いて融合することで、ユニークなショッピング体験を作り出し、顧客を即時に満足させなければなりません。

    例えば、FMCG大手のHeinzは、初めてのハロウィーン・ポップアップ・イベントを全米に広めるため、ウェブサイトとソーシャルメディア上でライブ配信を公開しました。ライブコマース機能を使い、ライブ配信において7%のエンゲージメント率を達成し、キャンペーン全体ではすべてのプラットフォームで1600万以上のインプレッションを獲得しました。


  • ラグジュアリーブランドやオーダーメイド商品販売におけるパーソナライズされた1対1のライブコマース

    ラグジュアリーブランドにとっては、ただライブコマースを導入することは解決策になりません。より上質なサービスを提供し、豪華な製品を買い求める顧客に、没入感のあるバーチャル・ショッピング体験を提供することが大切です。

    ラグジュアリーブランドは、1対1のライブコマースの機会を提供し、消費者向けにAR/VR技術を活用することで、顧客サービスを向上できます。このユニークでパーソナライズされた体験により、実店舗で得られるような贅沢な雰囲気を消費者に感じてもらうことができます。

    グッチは、「Gucci aLive」と呼ばれる動画コマース・インターフェースを取り入れ、「リモート・クライアント」のコンセプトを導入した最初のラグジュアリーブランドとなりました。これにより、高級顧客層に向けてオンライン上で実店舗でのショッピング体験を再現し、洗練された装いのスタッフとのリアルタイムな会話や、高度なオーダーメイド体験の提供に成功したのです。



  • ECファッションブランドにおけるスワイプ機能を用いた縦型動画作成

    左にスワイプすると「NO」、右にスワイプすると「YES」と表示されるスワイプ機能は、ECファッションブランドがエンゲージメントを高めるために取りいれたい注目の機能です。スワイプ可能なバーチャルショッピング・インターフェースにより、ユーザーは簡単なスワイプ操作で、好みの商品を選択したり、スキップしたりすることができます。縦型動画コンテンツは閲覧体験を簡素化し、買い物客は一度の訪問でより多くの商品をチェックできます。これはさらなるコンバージョン率の向上につながります。

    例えば、インドの高級民族衣装のオーダーメイド・ブランドである「Purple Panchi」は、無限ループのカルーセル機能とスタイリッシュな商品動画を取り入れユーザーの関心を引き付けることで、「購入」ボタンページのクリック率を18%増加させました。


  • ナノインフルエンサーをKOLに変えるインフルエンサーマーケティング

    ライブコマースを通じて最高レベルのエンゲージメントを生み出すためには、ECファッションブランドはナノインフルエンサーの活用に注力する必要があります。

    通常、著名人やマクロインフルエンサーには非常に高額な人件費がかかります。しかしエンゲージメント率が低いため、起用したとしてもキャンペーンの成功が保証されるわけではありません。むしろ、ある調査によると数千人のフォロワーを持つナノインフルエンサーを起用することで、低コストで有名人の10倍のエンゲージメントを獲得できる可能性がある、との報告があります。

    フォロワーと実生活において接点を持ちやすいナノインフルエンサーをKOL(キーオピニオンリーダー)にすることで、より質の高いコンバージョンを達成できるのです。

  • 定期的なライブコマースキャンペーンの習慣化

    ライブコマースキャンペーンのスケジュール管理は、顧客エンゲージメントを構築し、多種多様な商品をテストするために必要不可欠です。様々なKPIを使用してキャンペーンのパフォーマンスを把握し、消費者のライブコマース体験を向上させることができます。世界最大のライブコマース市場であるTaobao Liveでは、あらゆる規模のインフルエンサーが様々な種類の商品やサービスを販売できます。その規模は、毎月6万件以上のライブ配信が行われるほどです。ライブ配信のコンセプトにユーザーが馴染めるよう、多くのインフルエンサーが定期的にイベントを開催しています。


  • ライブコマースでのシームレスな決済連携

    ワンクリック決済は、買い物客が注意散漫になり選択した商品の購入が滞る可能性を最小限に抑えます。ファッションブランドは、コンバージョン率向上のために、動画コマースとライブコマースにスムーズな支払機能の組み込みを行う必要があります。

  • 他の買い物客やブランド担当者と交流できる本格的なショッピング体験

    ブランドは、店舗での購買体験を再現するような包括的なライブコマース体験の実現に目を向けるべきです。買い物客は、お互いの好みや商品の購入理由を話し合うなど、バーチャル・ショッピングを通して他の買い物客と交流できるようにすることが重要です。

    また顧客がブランド担当者と交流し、商品に関する正しい情報を入手し、購入プロセスをスムーズに完了できるようサポートすることも大切です。

  • ソーシャルメディアとオープンウェブを活用した自社サイト集客

    消費者の多くは、ブランドのオフィシャルウェブサイトをチェックしてから購買を決定します。ウェブサイトの閲覧は、商品検索と購入までのプロセスにおいて、大半の買い物客の出発点となっています。実際、最近のとある調査では、消費者の約40%がブランドのウェブサイトで商品を見つけたいと考えるのに対し、EC市場やインターネット検索エンジンを利用する顧客は最大25%にとどまっています。2019年以降、オンラインマーケットプレイスやソーシャルメディアよりも小売業者またはブランドのウェブサイトでより高い購入意欲とコンバージョン率が確認されるようになりました。

出典:Criteo ショッパーストーリー グローバル(オーストラリア、日本、韓国、フランス、英国、米国) 2021年8-11月,N=7330/ 2019年7-10月,N7102)

そのため、ファッションブランドは、様々なソーシャルネットワーク上のハンドルネームや オープンウェブ から、ユーザーのアクセスを自社ウェブサイトにリダイレクトし、再度呼び込むことを意識的に行う必要があります。その効果的な方法のひとつとして、同じショッピング動画をウェブサイトとソーシャルメディアで同時に流すサイマル配信が挙げられます。

また、ソーシャルメディアに動画広告の掲載を検討することも有効です。それにより、見込み客に自社ウェブサイトを閲覧してもらい、より魅力的なライブコマースを体験してもらうことができます。


Fireworkが生み出すファッションブランドの成長戦略

Firework は、ブランドと小売業者にとってライブコマース体験をグローバルに実現する先駆的存在です。
Fireworkの業界最先端プラットフォームを通じて、ブランドは以下のことが実現できます。

  • Firework Studioツールを使用し、モバイル向けに最適化・カスタマイズされたショッピング動画やスワイプ可能なウェブストーリーの作成

  • 高度な分析機能を活用し、ライブコマースコンテンツの実績の追跡管理

  • 効果的なウェブサイト収益化のための縦型動画広告の作成

  • 顧客とのリアルタイムな交流を促進する質の高いライブ配信の主催

Fireworkの経験豊富なコンサルティングサービスにより、ライブコマース体験をさらに充実させます。

※2022年7月時点の為替レート、1ドル=136円を適用しています

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