VACANZA か VACANZE か
イタリア人の大好きなヴァカンス。
今年もそろそろヴァカンスの季節が終わろうとしています。
ヴァカンス,イタリア語で vacanza 女性名詞です。
時に,この vacanza , 状況によって 単数形 vacanza と複数形 vacanze
が使い分けられていること,ご存知でしょうか?
休暇に行く は andare in vacanza
この場合の vacanza は単数形。
〜に にあたる前置詞は in を使います。
ヴァカンスを終えて久しぶりに顔を合わると
挨拶がわりにこんな会話が飛び交います。
ヴァカンスはどこに行ってたの?
夏の終わりの会話のとっかかりには欠かせないフレーズ。
Dove sei stato [stata] in vacanza ?
日本語では どこに行ってたの? となるので,動詞にandare
を使いたくなりますが,どこに行っていたのかを相手に尋ねるときに
essere の近過去 を使ったこの表現がよく使われます。
Dove sei stato / a ?
君はどこに行ってたの?
Dove siete stati / e ?
君たちはどこに行ってたの?
ちなみに,どこにいたの? なら,半過去使って,Dove eri ? です。
とにかく,この場合も 前置詞 in + vacanza 。
vacanza はここでも単数形。
休暇中です。とか,ここには休暇できました。は動詞 essere を使って
Sono in vacanza.
休暇中です。
Sono qui in vacanza.
ここには休暇できました。
こちらも 前置詞 in + vacanza 単数形。
今年のヴァカンスは,あそこに行って…。
こんなの食べて…。あれしたり,これしたり…。
と,嬉しそうに思い出話をする相手。その相手に一言。
それじゃあ,いいヴァカンスだったね!と言うなら?
Allora, è stata una bella vacanza!
この場合も単数形 vacanza。ちなみにこの場合の
いい ヴァカンス の,いい には 形容詞 bello を使います。
いい だから,つい,buono を使いたくなりますが,
夫(イタリア人)に確認したところ,ここは bello じゃないと
ダメだとのこと。
しかも,不定冠詞をつけて una bella vacanza とはこれいかに。
今回のそのヴァカンスを指しているからだと考えられます。
じゃあ,これは?
いいヴァカンスを!
ヴァカンスの季節になると,あっちこっちで飛び交う夏の挨拶。これは…。
Buone vacanze!
なんと,vacanza は 複数形の vacanze を使います。
Buona vacanza ! とは決して言わないらしい。
ちなみに,この場合の いい には buono を使います。
buono については挨拶の Buongiorno! Buon appetito!
と同じと考えれば納得です。
Buone vacanze! は挨拶だから複数形なんだよと言われれば,
まあ,それで納得しないでもないですが,こんな文章をよく目にします。
Io con Stefano vado in Spagna per le vacanze.
ヴァカンスには私はステファノとスペインに行く。
per le vacanze ,複数形です。
うん…分からない。vacanza だったり vacanze だったり。
この単数形と複数形はどう使い分けるんだろう。
そもそも vacanza を una vacanza, due vacanze って
数えるんだろうか?
ということで,なんだか無性に気になったんで,
片っ端から vacanza を使った文を探しました。
イタリア人に聞いてみました。
なんで andare in vacanza, essere in vacanza は単数形なのに,
Buone vacanze は複数形なのか,と。
で,答えは
そう決まってるから だそうでございます。
なので,私なりの結論を出してみたわけでございます。
まず,単数形を使うのは,
andare in vacanza
ヴァカンスに行く
essere in vacanza
ヴァカンス中である
このように動詞に andare か essere を使う場合は
前置詞 in + vacanza 単数形 。
これは 前置詞 in とセットになってっちゃってる,
andare in vacanza, essere in vacanza で,
イディオムになっていると思っていい気がする。
で,andare , essere 以外の動詞を使った文章の中では
定冠詞 le + vacanze 複数形になっているものが圧倒的に多い。
休暇をとる
prendere le vacane
休暇を過ごす
trascorrere le vacanze
休暇を延ばす
allungare le vacanze
さらに 前置詞 in 以外の前置詞とつなげる場合も複数形の vacanze 。
Stefano va in Spagna per le vacanze.
ステファノは休暇でスペインに行く。
Rimandiamo tutto a dopo le vacanza.
すべて休み明けまで延期しよう。
このことから察するに,andare in vacanza, essere in vacanza は
慣用句になってて,この形に決まっているが,andare と essere 以外の
動詞を使った文章の中でヴァカンス という場合は,基本的に le vacanze
なんじゃないかと。
ただし,挨拶や感嘆文は,定冠詞なしの複数形 vacanze。
Buone vacanze! いいヴァカンスを!
Se non sarò promosso, addio vacanze!
進級できなかたら,ヴァカンスなしだ!
こんな結論に至りましたがいかがでしょうか。
とまあ,またこんな性懲りもないこと考えて私の一日じゃ
過ぎていくのでございます。
Addio Vacanze!
さようなら,ヴァカンスっ!
教科書には載っていないけれど,知ってるとめっちゃくちゃ役立つ,文法オタク目線で「そこが知りたかった‼️」をとことん追求した「イタリア語100の疑問」。お気に召したらぜひサポートよろしくお願いします‼️