日本文学で学ぶイタリア語:人間失格8
こんにちは Minori です。
気づくと2024年もあっという間に
7ヶ月が過ぎようとしています。
今年は,私達家族にとって,
また一つの転換期になる年に
なることは間違いありません。
中学卒業まで,日本で生まれ育った
一人息子が,イタリア語ほぼ0状態で,
イタリアの高校に入学し,
5年間の辛い辛い高校生活を
なんとか乗り越えて,
先日,イタリアの高校卒業試験に合格,
1ヶ月後には単身日本に戻り,
日本の大学に入学すべく,
受験に向けて,またまた猛勉強の真っ最中。
親の方も,受験に必要な書類の準備やら,
手続きやら,日本での滞在先の確保やら,
とにかく,やることがありすぎて,
バタバタと毎日が過ぎていきます。
また,息子が日本に戻るにあたり,
私達も,日本に戻る準備を,ぼちぼち
始めていこうかというところ。
今回は,犬を連れての帰国ですからね,
どうしたもんか,見当もつきません。
家も一から探さないといけないし。
考えるだけで,気が遠くなります。
そんなときは,全く別のことを
考えるに限ります。
日本文学で学ぶイタリア語。
なかなか先に進みませんが,
今回は第8回目でございます。
太宰治の人間失格。
《はしがき》を読んでおります。
2枚目の写真の描写の部分。
今回も二枚目の写真の描写。
この続きの部分です。
今回はこの部分を取り上げます。
一から十まで
造り物の感じ
キザ
軽薄
ニヤケ
おしゃれ
怪談じみた気味悪いもの
このあたりの日本語が,どんなイタリア語に
訳されているのかに注目しながら,
イタリア語翻訳文をみていきます。
また,原文では
〜と言っても足りない。
〜と言っても足りない。
〜と言っても足りない。
〜と言っても,もちろん足りない。
と,同じ言い回しが続きますが,
イタリア語翻訳文は,
同じ表現は使っていません。
一文ずつ見ていくとしましょう。
In conclusione
要するに,結論的に
この文の essere には,
不定冠詞 un がついてます。
ということは,「存在するもの」
「人間」という意味の「名詞」
として使われているということ。
un essere で,「ある存在」「ある人」
となります。
falso という形容詞,
イタ検の問題文でよく出てきますよね。
Vero o falso?
正しい?間違ってる?
なので,falso は,間違っている
という意味だと思っていましたが,
造り物,偽りの,みせかけだけの
という意味でも使われるんですね。
英語で言うところの false, fake。
in tutto per tutto
一から十まで
一から十まで は,
何から何まで,始めから終わりまで
という意味ですが,似たような表現で
dalla A alla Z
A から Z まで
dall'inizio alla fine
最初から最後まで
というのもあります。
ただ,ここの 一から十まで は,
完全に totalmente, completamente
あらゆる面で in ogni aspetto
すべての側面で a tutto tondo
という意味で使われています。
un essere falso
見せかけだけのある存在
un essere とすることで,
造り物の「感じ」を表現している
のかなと思いました。
キザ,軽薄,ニヤケ,おしゃれ
に当たる単語だけまず,
PICK UPしていきます。
キザ affettato
軽薄 fatuo
ニヤケ frivolo
おしゃれ vanitoso
全部初めてお目にかかる形容詞です(^_^;)
一つずつ辞書でしらべます。
affettato[形]
気取った,取り繕った,キザな
fatuo[形]
浅薄な,虚栄心の強い
frivolo[形]
軽薄な,くだらない
vanitoso[形]
虚栄的な,うぬぼれの強い
私の辞書には,こう説明されていました。
どれも似たような意味の単語たちですが,
「おしゃれ」に vanitoso ❓️と,
ちょっと疑問符がつきましたので,
イタリアのサイトでこの単語を
調べてみました。
Che ha di tutto
あらゆる手段を講じる,
全力を尽くす人
per mettere in mostra
見せびらかすために
le proprie 自身の
qualità fisiche 身体的特質
qualità morali 道徳的特質
qualità intellettuali 知的特質 を,
それが ….
vere o presunte
真のものであろうと,
仮のものであろうと,
per sentirsi apprezzare e ammirare
評価され,称賛されると感じるために
日本語を整理します
うん,やっぱり「おしゃれ」とは
ちょっと違うような気はしますが,
翻訳者は,affettato, fatuo, frivolo
の流れから vanitoso を使ったんで,
しょうかね。
次に,
〜と言っても足りない。
〜と言っても足りない。
〜と言っても足りない。
〜と言っても,もちろん足りない。
ここはどう表現されているのか
見ていきます。
Definirlo affettato
それをキザだと定義することは
non rendere sufficientemente
l'idea
十分にその考えを表現していない
E neppure fatuo, o frivolo.
そして,浅薄(せんぱく)でも,
軽薄でもない。
O tanto meno vanitoso.
ましてや虚栄的でもない。
こんな風に表現されています。
もし〜ても se や 言う dire や
足りない non basta, mancare
なんてワード,全く使われてませんね。
この文は、表面上は魅力的に見える
この美しい少年が、実際には
不快感や嫌悪感を引き起こす
ような何かを持っていることを
表現しています。
イタリア語翻訳文を,
短く切ってド直訳していきます。
Il fatto è che
事実は〜ということである
a guardarlo bene
よく見ると
si finisce col trovare
(結局) 〜を見つけることになる
in questo bel ragazzo
この美しい少年の中に
qualcosa di disgustoso
何か不快なものを,
qualcosa che ti fa venire la pelle d’oca.
あなたに鳥肌を立たせる何かを
日本語を整理します。
ti fa venire la pelle d'oca
あなたに鳥肌を立たせる
日本語の《鳥肌》は,
イタリア語は《ガチョウの皮》と
鳥の種類を限定して言うんですね。
また,「鳥肌が立つ」の「立つ」ですが,
もちろん,Stand Up という意味じゃ
ありませんよね。
「表に出てくる,現れる,引き起こす」
という意味ですから,イタリア語では
《主語》 fare venire 〇〇 a 人
《主語》は人に 〇〇を引き起こす
という表現を使っています。
〇〇に入る単語は,《感情》や《状態》
を表すものです。
イタリア語らしい表現です。
inquietante[形]
不安を誘う,心配させる
見たことが一度もない といえば,
Non ho mai visto が思いつきますが,
Non ricordo di aver mai visto in vita
人生で見た覚えがない
という表現を使っています。
合わせて覚えたいです。
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イタリア語講師歴30年。
日本語が話せるイタリア人です。
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