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進路未定の数年間を振り返る

はじめに

私は現在26歳(職歴なし)であり、今年の2月から大手監査法人に就職します。
これまでの数年間は、進路未定の時期が続き、世間から認められない苦しい日々が続いていました。
そんな中、一念発起して会計士受験に挑戦し、合格及び就職先の内定を経て、以前よりは世間に評価されるようになり、いわば"人権"を取り戻したような感覚を得ています。

ようやく進路が決まった今のタイミングで、これまでの進路未定の数年間を振り返る文章を書いておこうと思います。
まず具体的な経緯について簡潔に示した上で、進路未定の状態から脱出する上で修得した価値観や考え方、同じような境遇にいる人へのエールなどをまとめてみます。

数年間の苦境を振り返るという投稿であることから、つい主観的で自分の経験に偏った考え方が出てきてしまったり、またどうしても長文になってしまったりすることが予想されますが、noteという場所柄、大目に見ていただけますと幸いです。

経歴 全体像

2017年度 某国立大学入学。会計士試験の勉強をするも、約8か月ほどで撤退。
その後は普通の大学生活。
2020年度 自主留年をして二度目の三年生。焦りが募る。
2021年度 一般就活①。内定をもらうも辞退。自主留年して、二度目の四年生へ。
2022年度 一般就活②。内定をもらうも辞退。進路が決まらないまま、2023年3月卒業。
2023年 1月から、会計士試験に再挑戦。5月の一次試験は不合格、12月の一次試験に合格。
2024年 会計士試験の二次試験に合格。監査法人就活を経て、無事内定を獲得。

監査法人就活については、また別の投稿で語る予定です。
この投稿では、二度にわたる一般就活と、会計士試験の経験を振り返りながら、そこで得られた教訓などを語っていこうと思います。

一般就活

2021年 一般就活①
1~3月 しぶしぶ就活を始める。冬のインターンは1~2社参加。
4~7月 「ビズリーチキャンパス」経由で応募、6~7社からお祈り
7~8月 発狂していたため、ほぼ進捗なし。
9~11月 「Offerbox」経由で応募、5社ほどお祈り。最終的に、地方の塾会社の内定を頂くも、結局内定を辞退。

2022年 一般就活②
4~5月 「マイナビ」で教科書出版社を2社受けるも、お祈り。
5~8月 大学院進学に切り替える。だが結局やる気が起きず、一次試験不合格に。
9~11月 経済系出版社は二次面接でお祈り。IT系の会社から内定を頂くも、結局は内定辞退。

一般就活をした二年間の振り返り
詳しい経緯は割愛しますが、上に記した二年間の就活では数々の挫折を味わい、大失敗に終わりました。業種がバラバラの企業を手当たり次第に全部で20社~30社ぐらい受けて、ことごとく落ちまくり、内定は2社のみでした。しかも、どちらの内定先も両親の期待に応えられるようなものではなく、親不孝者になりたくないという思いから、内定を辞退することになりました。

本気を出していたわけでもなく、だらだらと就活を続けて成果も出すことができず、最終的には一般就活をやめて、会計士受験に飛び込むことになりました。一般就活をしていたあの日々は何だったんだろう……二十代の貴重な二年間を棒に振ってしまった……という感覚が今も残っています。

会計士受験・就活

2023~2024年 会計士試験再挑戦
2023.1 会計士受験に再挑戦
2023.5 短答式試験不合格
2023.12 短答式試験合格
2024.8 論文式試験合格(合格発表は11月)
2024.12 大手監査法人 内定獲得

一般就活があまり好ましくない形で終わり、このまま自分の人生は他人任せのまま終わっていくのだろうかという思いに耐え切れず、またいくつかの偶然とチャンスが重なり、公認会計士試験に再挑戦することを決めました。今度は両親も応援してくれ、金銭面でのサポートもしっかりしてくれました。

一度の不合格を乗り越えて、一次試験・二次試験と合格し、再開してから約1年7か月という比較的短期の学習期間で合格することができました。
この1年7ヶ月は途方もなく長く辛く、歯を食いしばる日々でしたが、具体的な内容についてはここでは割愛することにします。

監査法人就活(会計士定期採用)
会計士の就活は独特です。会計士試験合格者の大半は四大監査法人のいずれかに入ることとなります。正確なデータではありませんが、周りを見ていると大体6~7割ぐらいは四大監査法人に入れるイメージです。

いずれ別の投稿で書こうと思いますが、一般就活に比べれば監査法人就活(会計士就活)はぬるま湯であり、論文式試験(二次試験)にさえ合格することができれば、比較的容易に大手監査法人の内定にたどり着けます。

私の場合も、26歳職歴なしという、一般社会では"特級呪物"のような存在でしたが、監査法人では特に不利になることなく、第一志望であった大手監査法人の内定をもらうことができました。

会計士受験で学んだ知恵

一般就活で挫折を味わい、進路未定地獄に落ちた自分が、どのようにしてそこから脱出して生き延びることができたのか。

その理由は、一つには会計士受験という、勉強一本で勝負が決まるというフィールドが自分の肌に合っていたためでした。
別の理由としては、会計士受験を通じて社会を生きていく上での知恵を学ぶことができたから、という事情もありました。

ここでは、会計士受験を通じて具体的にどのような知恵を学ぶことができたのか、一つずつ解説していきます。

中には、わざわざ取り上げるまでもない当たり前のような価値観も含まれていますが、自分が進路未定から抜け出す上で貴重な考え方であったことに変わりはないので、気にせず解説していきます。

① 社会には序列が存在するということ
安易に取り上げづらいセンシティブな領域ではありますが、社会には序列というものが存在するようです。学生の頃なら学歴、社会人であれば職歴や肩書きや年収など、その時々で何かしらの序列が存在します。「職業に貴賎なし」という言葉もありますが、現実の社会にはやはり社会的な地位が高いとされるというのが存在します。

こうした序列が全てだとは決して思いませんし、序列ばかりを追い求める生き方はつまらないものだと思いますが、だからと言って現代を生きる上で序列を全く無視して生きていくのも難しいように思います。少なくとも、そうした社会の価値観を一切無視できるほど自分は強い人間ではありません。

もちろん、人間としては本来皆が平等であり、皆が本来尊い存在であると考えています。ですが、今の社会を生きる人間としては、人々の間には多少の序列が存在するということを踏まえた上で、なるべく高い序列に自らを位置づけるべく努力する姿勢も必要ではないかと思います。

② 課題解決の姿勢
一般就活をしていた頃、私に対して1対1で1時間ほど圧迫面接をしてきた社長がいました。(今思えば社長の1時間をもらえるなんて非常に貴重な出来事ですけどね。)その方が、「世の中が課題解決だから」と言っていたのが今も印象に残っています。

いま起こっている問題を捉え、原因の分析もした上で、今後の対策を考え、一つひとつ実行していく。この一連のサイクルは、一見当たり前のようで、当初の自分はうまく実践できていませんでした。それが、会計士試験に向けてコツコツ勉強をする中で、一つずつ課題解決をする姿勢というものを少しずつ身に付け、社会に適合しやすくなりました。

③ 周囲のフィードバックをもとに自分の行動を日々改善すること

上に述べた課題解決をする姿勢の一側面とも言えるのが、周囲のフィードバックに耳を傾けて行動に反映していくという姿勢です。

周囲は様々な形で現在の自分のふるまいの問題点を示してくれています。それらの全てを拾い上げようとすると大変ですが、かと言ってすべてを無視するというのも独りよがりで危険な状態です。

周囲のフィードバックのうち、今の自分が必要なものを見極めたうえで、自身の課題として認識し、自身の日々の行動に反映させることでパフォーマンスを改善していくという姿勢は、社会で生きていく上では不可欠であるように思います。

 時間の感覚を身に付けること
大学生というのは一般に「人生の夏休み」と呼ばれることがあります。自分の場合もご多分にもれず、のんきでだらだらとした生活を送っていました。特に、自分は大学を二度留年したこともあり、なおさら時間の感覚がおかしくなっていました。

そうした時間の感覚が、会計士受験を通じて変化していきました。受験勉強を効率よく進め、勉強時間を少しでも多くするために、日々の時間の使い方を見直すこととなりました。その結果、かなりの時間を毎日無駄にしていたことに気づき、今後はなるべく時間を有効活用して生産性を上げようという姿勢が身に付きました。受験勉強のおかげで時間の感覚を取り戻すことができ、社会に適合しやすくなりました。

 自分はone of themに過ぎないという知見
恥ずかしいことに、私は元来、自分の学力や独創性について、周囲の人とは一線を画していると思う節がありました。いわば、自分はこの世に唯一無二の存在だというような思い上がった心が存在していました。

それが、会計士受験を通じて徐々に消えていきました。特に、一度不合格を経験して以来は、自分はただの凡人にすぎないことを悟ると共に、自分は天才だと思い込むことの危険性を痛感しました。自分はしょせん、社会の中で大勢いる人間の一人にすぎないんだ(one of themにすぎないんだ)と気づき、そうした前提の下で仕事・活動に取り組むようになりました。

⑥ 結果が出るまでやり切ること
就活をしていた頃の自分は、興味のおもむくままに手を付け、途中で上手くいかなかったらすぐに別路線に切り替えたりしていました。あちこちで仕事をやり散らかして、本来求められている水準に達しないまま途中で嫌気がさして放棄するということを繰り返していました。

それが、会計士受験を始めてからは、勉強をする過程で合格という成果を強く意識することとなり、結果にこだわる感覚、成果が出るまでやり切る姿勢といったものが、自然と身に付いたように思います。

なお、このような価値観は、特に不合格を経験したあとに身をもって学びました。結果が全ての世界において、結果を出すことができなかった惨めさや情けなさを痛感したからこそ、結果を出すことの価値というものを一層感じて尊重するようになりました。

進路未定地獄を抜け出すためのヒント

ここからはお節介ではありますが、自分の経験をもとにしながら、現在進路未定で苦しんでいる人に向けたアドバイスやヒントを整理していきます。

① 何かひとつ成功体験を作ること・成功体験を積み立てていくこと
進路未定の状態においては、まずは動いてみるという姿勢が重要です。いつも遠慮して引っ込み思案になっていては、みすみすチャンスを逃してしまいます。友達に会う、初対面の人に会う、あるいは本を読む、お出かけをするなど、どこに転機が転がっているか分かりません。とりあえず動いてみて経験値を増やしていくという姿勢もある程度は重要です。

一方で、やみくもに経験を広げるのではなく、一つひとつの活動において着実に成功体験を積んでいくという姿勢も同じぐらい重要です。(どちらかと言うと、この姿勢の方が進路未定には効果的ではないかと思っています。)そうする過程で、自己肯定感も回復しますし、いつか自分の可能性の進展にも結び付くように思います。

② 向いているかどうかではなく、メリットがあるかどうかで考えること
「自分がこの進路・この職業に向いているかどうか」という視点は不可欠なものですが、あまり度が過ぎるのも好ましくありません。特に、進路未定が長らく続いて自己肯定感が下がっている状態だと、「どうせこの職業にも向いていないし」とすぐに思ってしまい、努力を放棄することにつながりかねませんし、自らの可能性を狭めてしまうことになります。

そういう状態に陥っている人にとっては、むしろ「自分にとって明確なメリットがあるかどうか」という視点の方が効果的かもしれません。「多少向いていないかもしれないが、この仕事にはこういうメリットがあるから」と開き直ることで、結果的に長く努力を続けることができるようになります。

③ 勝つか負けるか分からない世界に飛び込むこと
私はもともと、文学部で宮沢賢治の研究をしていました。文学や文学研究という領域は奥が深く、いくらでも思考すべき事柄が存在しましたが、外部から目に見える成果というものがなかなか現れにくい領域でもあり、しだいに行き詰まり沼にはまっていきました。

一方で会計士受験においては、合格/不合格という形で誰の目にも明らかな形で結果が出ます。勝ち負けがはっきり決まる反面、必ず合格できるという保証はなく、受験生にとっては勝つか負けるか分からない世界と言えます。そうした世界に覚悟を決めて飛び込み、勝利をつかみ取ったことにより、状況が好転して納得のいく進路を得ることができました。

④ 地上の世界に戻ってくることで、はじめて当時の自分の辛さを周囲に分かってもらえるようになる
進路未定の数年間、自分はいわば"地下の世界"にいました。この苦しみを誰かに分かってもらおうとしたものの、どうも上手くいかず、「分かってもらえるまでは地下の世界から動かないぞ」と意固地になっていた時期がありました。

今になって思うのは、「むしろ地上の世界に戻ってきた方が、当時の自分の苦しい経験を受け取ってもらいやすいのでは」ということです。
会計士受験について言えば、「会計士受験のつらい経験を誰かに受け取ってもらうには、まずは合格をして発言権を獲得した上で、周囲に当時のことを話すというのが一番手っ取り早いのでは」という気がしています。
なかなか無茶なことを言っていますが…。

⑤ 出口は必ず存在します
客観的な根拠のある言葉ではありませんが、私は人間の可能性を信じ、私は人間が全く新しい姿に生まれ変わる可能性というものを信じています。

かつての私がそうであったように、いま進路未定の日々が続いている人にも、いつか出口が見えてきて、希望の光が差し込むことを願っています。

おわりに

noteという場を借りて、進路未定の数年間を振り返り、そこで得た知見について整理してみました。
受験生の当時は「受験が無事終わったら、思う存分"お気持ち表明"をするぞ!」と自分に言い聞かせてモチベーションを上げていたため、当時の自分との約束をちゃんと果たしたという形になりますね。

とはいえ、当時の苦境についてはまだ書き足りないような感覚もあります。例えば、「一次試験に不合格になった直後にSNSを全て消去し、約1年半の間は友人知人とほぼ音信不通状態だった」というエピソードなど、まだ十分に語り切れていません。

進路未定というテーマはまだまだ掘り下げたいところなので、暇を見つけて別の投稿にまた書いてみたいと思っています。

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