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【FDA】植物由来食品の表示に関するガイドライン草案を公表しました

【FDA】植物由来食品の表示に関するガイドライン草案を公表しました(本文2,420文字)
 
 
米国食品医薬品局(FDA)は2025年1月6日付にて、植物性代替食品におけるパッケージについて、「植物由来」といった一般的表示ではなく、「大豆由来」のような主原料表示を推進するガイドラインの草案を公表しました。
 
 
<FDAによる植物由来肉の表示に関する草案>
要旨: 米国食品医薬品局(FDA)は、動物由来食品の代替品として販売されている植物ベース食品の命名および表示に関する推奨事項を提供するドラフトガイダンスを作成した。このガイダンスは、消費者が製品の性質や出所を理解し、情報に基づいた購入決定を行えるようにすることを目的としている。植物ベース代替食品には確立された定義やアイデンティティの基準がなく、非標準化食品とされている。ラベルには一般的または通常の名称が記載される必要があり、複数の植物源が含まれる場合は主要な植物源を名称に含めることが推奨されている。また、「ヴィーガン」や「肉不使用」などの用語は補足的な記載として使用されるべきである。FDAは、消費者が製品の属性を迅速に把握できるようにするために、明確で正確なラベル表示のベストプラクティスを提供している。
※詳しくは、添付のFDAの発表ならびにその仮訳(筆者作成)をご確認ください。

 

<解説>
1. FDAによる植物由来肉の表示に関する報告
米国食品医薬品局(FDA)は、2025年1月6日に植物由来の肉、卵、乳製品、魚介類の表示に関する新たなガイドライン案を発表しました。このガイドライン案は、消費者が製品の原材料をより明確に理解できるようにすることを目的としており、植物由来食品のパッケージに主原料を明示することを推奨しています。
 
2. ガイドラインの内容
FDAは、植物由来食品が比較的新しい食品であり、豆類、ナッツ、種子、穀物、青果物、キノコ類などさまざまな種類があるため、「植物由来」「肉不使用」「ベジタリアン」などの一般的な表示では消費者に誤解を与えるおそれがあると指摘しています。したがって、「大豆由来のベーコン」「小麦のジャーキー」「カシューナッツのチーズスプレッド」のように、主な原材料をパッケージに記載することを推奨しています。このような表示は、栄養バランスや好みに応じた製品の購入に役立ち、食物アレルギーを抱える消費者にとってアレルゲンなどを確認する助けにもなります。
また、主原料の表記はパッケージ上で最も大きな文字の2分の1以上の大きさで表示すること、複数の主原料がある場合は「黒豆とマッシュルームのパティ」など重量比で多く含まれる主原料を先に記載すること、風味を伝えるために家畜や動物性食品の挿し絵などを記載する場合、動物性食品を含むとの誤解を与えないよう「牛肉フリー」といった表示を併記することも推奨しています。
 
3. 業界団体の反応
プラントベースフード協会(PBFA)のマルホール上席政策部長は、植物性代替食品を主原料の明示を求めない他食品と異なる方法を強いることで不当に扱うものであり、生産企業に対する訴訟を招くおそれがあると懸念を表明しています。また、植物性代替食品の普及を推進するグッド・フード・インスティテュート(GFI)のコーエン上級規制弁護士は、植物性代替食品について、チーズやヨーグルトといった動物性食品に由来する用語の使用を排除していない点で称賛に値しますが、原材料は現在でも容易に確認でき、表示の変更はかえって消費者の選択肢を狭める可能性があると述べています。
 
4. 消費者の選択に役立つとの主張
FDAは、消費者が食品のラベルを見たときに、その製品が植物由来であることだけでなく、どのような植物を使っているのかも簡単に判断できるようにするべきだと考えています。そのため、原料となる食材を含めた表記をメインで使用し、「植物性」や「ヴィーガン」の表現は補足的な記載であれば認められます。また、製品の風味を表す画像や写真も誤解を招かない限りは許可されています。
製品に複数の植物由来原料を含む場合は、重量ベースで多い成分から順に記載することとされ、例えばチアシードを主成分に亜麻仁を加えた代替卵製品の場合、推奨される表示は「チアシードと亜麻仁のエッグレススクランブル」となります。多くの原料をブレンドしている場合、非常に煩雑な外観となる恐れがあります。
 
5. パブリックコメントを経て最終決定へ
現在、FDAは最終版の策定に着手する2025年5月7日まで、書面またはオンラインでパブリックコメントを受け付けています。植物性食品業界の反応としては、概ねFDAが動物性食品の用語の使用を明確に認めたことを歓迎するものが多いですが、原材料表示の必要性については過剰とする指摘もあります。非営利団体The Good Food Institute(GFI)のMadeline Cohenは、原材料を含めるという要求は植物性食品メーカーに不必要な負担を強いるもので、消費者の選択肢を狭める可能性があると懸念を示しています。
 
6. ガイドラインの法的地位
ガイドライン文書の草案には法的拘束力はありませんが、これらの用語は虚偽広告訴訟において原告側の弁護士によって頻繁に引用されるため、単に無視するのは危険です。最も顕著なのは「蒸発サトウキビジュース」の訴訟で、この用語を使用しないよう企業に勧告するガイドラインの草案が民事訴訟の波の中で引用されました。
 
7. ブランドの対応
現時点では、この文書はまだ草案の段階であり、企業は5月7日までにコメントを提出するよう求められています。これはコメントのために公開された草案なので、これに基づいて製造業者がラベルを変更することはお勧めしません。また、ラベルを変更するという点では、まだ多くの企業がこれに基づいて行動するとは予想していません。しかし、これが最終版になった場合、このガイダンスに従うかどうか、どのように従うかについて考える価値はあります。
 
 
植物由来食品の表示に関する新たなガイドライン案は、消費者が製品の原材料をより明確に理解できるようにすることを目的としており、今後の動向に注目が集まります。
 
 
 
<一次情報>
【FDA】Labeling of Plant-Based Alternatives to Animal-Derived Foods: Draft Guidance for Industry, Draft Guidance
https://www.fda.gov/media/184810/download?attachment
 
 

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