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令和6年度 第3回日本版包装前面栄養表示に関する検討会 概要
令和6年度 第3回日本版包装前面栄養表示に関する検討会 概要(本文4,084文字)
内閣府消費者庁は、令和6年12月24日に「令和6年度 第3回日本版包装前面栄養表示に関する検討会」を開催し、加工食品における栄養成分等の表示実態調査の結果についてほかを検討しました。
<趣旨>
2015年から義務化された栄養成分表示は裏面が一般的だが、見にくさや分かりづらさを補うため、諸外国では包装前面栄養表示が導入されている。国内でも自主的な取り組みが見られる中、健康日本21(第三次)の公表を契機に、消費者の健康増進に資する食環境づくりを推進するため、本検討会は我が国における包装前面栄養表示について検討を行う。令和6年度中に5回程度検討を行い、日本版包装前面栄養表示(FOPNL)についての方向性をまとめる。今回はその第3回目として加工食品における栄養成分等の表示実態調査の結果などについて取り扱う。
<議事次第>
(1)加工食品における栄養成分等の表示実態調査の結果について
(2)摂取時の量とのかい離が生じる食品の取扱い(3)
(3)日本版包装前面栄養表示の様式(2)
(4)その他
<検討の方向性(※)>
※ 令和6年7月24日開催「令和6年度 第1回日本版包装前面栄養表示に関する検討会」にて提示された案から変更ありません。
1 令和5年度「分かりやすい栄養成分表示の取組に関する検討会」で示された「我が国における包装前面栄養表示の検討の方向性」に基づき、日本版ガイドライン案、様式案、位置付け等を検討。塩蔵品や茶葉などの例外も議論する。
2 評価項目、生鮮食品やECサイトへの展開、デジタル活用は、日本版策定後に検討。
<議題1 加工食品における栄養成分等の表示実態調査の結果について>
令和6年7月24日に開催した、「令和6年度 第1回日本版包装前面栄養表示に関する検討会」で示された、加工食品における栄養成分等の表示実態調査の結果が報告された。
1. 商品群別食品数
本調査において調査対象とした加工食品は、下の745食品;
![](https://assets.st-note.com/img/1735020436-UPwl6WZQ3VivfyrJN2TnIYmL.png?width=1200)
2. 推奨表示事項の取組状況
・ 栄養成分の量を表示している食品は全体の19.7%(147食品/745食品)。
・ 飽和脂肪酸および食物繊維の両方を表示している食品は3.4%(25食品/745食品)。
・ 飽和脂肪酸のみを表示している食品は0.3%(2食品/745食品)。
・ 食物繊維のみを表示している食品は16.1%(120食品/745食品)。
3. 任意表示事項の取組状況
・ 栄養成分の量を表示している食品は全体の32.8%(244食品/745食品)。食品によって栄養成分の表示状況が異なり、特に乳製品や大豆加工品では高い割合で表示されている。
・ 成分を細分化すると、糖質の量を表示している食品が最も多く、19.6%(146食品/745食品)。次いでカルシウムが12.2%(91食品/745食品)とつづく。
4. 推定値で表示されている食品状況
・ 栄養成分表示が推定値で表示されている食品は全体の59.3%(442食品/745食品)だった。全体的に栄養成分が推定値で表示されている割合が高く、特に水産加工品や調理食品ではその割合が顕著に高い。
5. 栄養強調表示がされている食品の状況
・ 栄養強調表示をしている食品は、全体の11.9%(89食品/745食品)だった。乳製品や飲料、大豆加工品では比較的高い割合で栄養強調表示がされている一方で、調理食品や菓子ではその割合が低い傾向が見られる。
・ 成分では、ナトリウムや糖類、カルシウムについての強調表示が多い傾向が見られた。
表 加工食品における栄養強調表示がされている食品の状況 (栄養成分別、筆者が一次情報をもとに作成)
![](https://assets.st-note.com/img/1735020481-g9FMGKpmsulPRTLdtIehaq2v.png)
6. 栄養成分等を容器包装の前面に表示している食品の状況
・ 栄養成分等を容器包装の前面に表示している食品は、熱量のみを表示する食品が最も多く、9.1%(68食品/745食品)。次いで、熱量および食塩相当量を表示する食品が3.2%(24食品/745食品)。
表 加工食品における栄養成分等を容器包装の前面に表示している食品の状況 (栄養成分別、筆者が一次情報をもとに作成)
![](https://assets.st-note.com/img/1735020528-EuZMCFyvDizlH7WgmwUXGIaA.png?width=1200)
7. 標準的な調理例が記載されている食品の状況
・ 標準的な調理例が記載されている食品は、全体の35.7%(266食品/745食品)で、製穀粉・同加工品や調理食品では標準的な調理例が多く記載されている一方、菓子や乳製品ではその割合が低い。
8. 調理後の栄養成分等の量が表示されている食品
調理後の栄養成分等の量が表示されている食品は、全体の3.9%(29食品/745食品)だった。製穀粉・同加工品や飲料では調理後の栄養成分等の量が比較的多く表示されている一方で、その他のカテゴリではその割合が低いことがわかる。
表 加工食品における栄養成分等の表示実態のまとめ(食品別、筆者が一次情報をもとに作成)
![](https://assets.st-note.com/img/1735020571-GH837MxRLE4eYiBp5jfbd2Nm.png?width=1200)
9. 販売時と摂取時の栄養成分等の量にかい離が生じる食品
販売時と摂取時の栄養成分等の量にかい離が生じる食品には次のようなものがある;
![](https://assets.st-note.com/img/1735020607-ZuOeHhG1q0Kw2sM7cBQICp65.png?width=1200)
図 販売時と摂取時の栄養成分等の量にかい離が生じる食品
食品群として、濃縮ドリンクのような「水で希釈する食品」、冷凍フライなど「油のみを用いて調理する食品」、ホットケーキミックスなど「名称からその用途が明らかなミックス粉」が、調査の結果から新たに追加された。また「水で塩抜きする食品」に塩蔵クラゲ、「湯切りする食品」に生麺、「調理方法を表示する調味料」に炊き込みご飯の素などを追加した。
これらは、栄養成分表示には販売時の状態を表示した上で、標準的な調理方法を併記し、合理的な根拠に基づいたその表示値の根拠となる資料を保管することで、摂取時の状態の表示を許容することについて検討する必要がある。
※ 調査の方法や実施等については<関連情報>の「令和6年度 第2回日本版包装前面栄養表示に関する検討会 概要」からご確認ください。
<議題2 摂取時の量とのかい離が生じる食品の取扱い(3)>
消費者が正確な栄養情報を基に食品を選択できるようにするための具体的な方法と、その重要性についての3回目の議論として、6食品群について提案が示された。摂取時の量とのかい離が生じる食品は、議題1の9.のとおり。
1. 水のみを用いて調理する食品
対象食品の例: 濃縮ドリンク、塩蔵わかめ、塩蔵くらげ、焼きそば、など
提案: 水で抽出、希釈、塩抜き、または湯切りすることで調理される。調理方法を記載し、調理後の栄養素等の量を表示する
2. 一般的に牛乳を加える食品
対象食品の例: ココア、シリアル、など
提案: 販売時の栄養成分に加え、標準的な調理による栄養成分を表示。牛乳の種類や他の乳製品を用いることで栄養成分が変わる可能性があるため、調理方法を記載し、調理後の栄養素等の量を表示する
3. 油のみを用いて調理する食品
対象食品の例: 冷凍フライ、冷凍ピラフ、など
提案: 販売時の栄養成分のみ表示。油で調理することで脂質の量が増えるため、調理方法を記載し、調理後の栄養素等の量を表示する
4. 名称からその用途が明らかなミックス粉
対象食品の例: ホットケーキミックス、お好み焼き粉、など
提案: ホットケーキミックスは標準的な調理による栄養成分を表示。お好み焼き粉は販売時の栄養成分のみ表示。消費者の選択肢が多いため、販売時の状態における栄養素等の量を表示する
5. 調理方法を表示する調味料
対象食品の例: 合わせ調味料、ルー、など
提案: 合わせ調味料は販売時の栄養成分のみ表示。ルーは標準的な調理による栄養成分を表示。消費者の選択肢が多いため、販売時の状態における栄養素等の量を表示する
6. 調理した後の状態において表示すべき内容
対象食品の例: カップ焼きそば(水のみを用いて調理する食品)、シリアル(一般的に牛乳を加える食品)、冷凍ピラフ(油のみを用いて調理する食品)、など
提案: 調理後の状態である旨が分かる食品単位を表示、ならびに用いる食品の種類やその量が分かるよう調理方法を表示する
提案に基づく表示例) カップ焼きそば
食品単位: 1個(調理後)当たり
調理方法:熱湯を本品のカップ内側の線まで注ぐ
<議題3 日本版包装前面栄養表示の様式(2)>
消費者が栄養成分を理解しやすくするための具体的な表示方法や、食品関連事業者の自主的な取組を推進する日本版包装前面栄養表示の様式についての調査結果が報告された。
1. 日本版包装前面栄養表示の様式案の要件
・ 栄養表示は枠囲みなどで他の表示と区別し、視認性を高めること。
・ 単色(モノトーン可)でデザインすること。
・ エネルギー、たんぱく質、脂質、炭水化物、食塩相当量の文字と含有量を表示するスペースを確保すること。
・ 栄養素等表示基準値に占める割合を表示するスペースを確保すること。
2. デザインに際しての考え方
・ 視認性を高めるため、罫線で囲むなど情報の識別化を図ること。
・ 可読性を高めるため、読みやすい書体を選択すること。
・ 記載数値が何を示すかを伝えるため、補足情報を提供すること。
3. 栄養成分のデザイン変更の必要性
・ 熱量、たんぱく質、脂質、炭水化物は消費者の適正な体重維持に資する情報であり、食塩相当量は食塩摂取量の減少に資する情報であるため、デザインを使い分けることが提案されている。
・ すべての栄養成分等の量は健康・栄養政策と関連するものであり、いずれかが過度に強調されることがないよう、原型を使い分けたデザインにすることが提案されている。
<配布資料>
【議事次第】令和6年度 第3回日本版包装前面栄養表示に関する検討会
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/meeting_materials/assets/food_labeling_cms206_241223_01.pdf
【資料1】第1回及び第2回検討会における構成員の主な意見等について
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/meeting_materials/assets/food_labeling_cms206_241223_02.pdf
【資料2】加工食品における栄養成分等の表示実態調査の結果について
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/meeting_materials/assets/food_labeling_cms206_241223_03.pdf
【資料3】摂取時の量とのかい離が生じる食品の取扱い(3)
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/meeting_materials/assets/food_labeling_cms206_241223_04.pdf
【資料4】日本版包装前面栄養表示の様式(2)
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/meeting_materials/assets/food_labeling_cms206_241223_05.pdf
【資料5】「令和6年度 日本版包装前面栄養表示に関する検討会」開催スケジュール等
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/meeting_materials/assets/food_labeling_cms206_241223_06.pdf
【参考資料1】「令和6年度 日本版包装前面栄養表示に関する検討会」開催要領
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/meeting_materials/assets/food_labeling_cms206_241223_07.pdf
【参考資料2】我が国における包装前面栄養表示の検討の方向性
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/meeting_materials/assets/food_labeling_cms206_241223_08.pdf
【参考資料3】コーデックス委員会における包装前面栄養表示ガイドライン
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/meeting_materials/assets/food_labeling_cms206_241223_09.pdf
【参考資料4】諸外国等における取組について
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/meeting_materials/assets/food_labeling_cms206_241223_10.pdf
【参考資料5】国内における食品関連事業者の自主的な取組について
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/meeting_materials/assets/food_labeling_cms206_241223_11.pdf
【参考資料6】商品パッケージ・表示例(オール日本スーパーマーケット協会提供資料)
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/meeting_materials/assets/food_labeling_cms206_241223_12.pdf
【参考資料7】日本版包装前面栄養表示の様式案
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/meeting_materials/assets/food_labeling_cms206_241223_13.pdf
【参考資料8】様式案についての意見(竹林構成員提出資料)
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/meeting_materials/assets/food_labeling_cms206_241223_14.pdf
<一次情報>
令和6年度 第3回日本版包装前面栄養表示に関する検討会(2024年12月24日)
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/meeting_materials/review_meeting_013/039267.html
<関連情報>
令和6年度 第2回日本版包装前面栄養表示に関する検討会(2024年8月27日)
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/meeting_materials/review_meeting_013/038773.html
令和6年度 第1回日本版包装前面栄養表示に関する検討会(2024年7月24日)
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/meeting_materials/review_meeting_013/036571.html
<動画配信>
https://youtube.com/live/OaE0uezOb3w?feature=share
※ 令和6年12月24日13時開催
※ 開催日時以外の視聴はできません。
<関連情報>