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ランピースキン病が国内ではじめて確認されました
ランピースキン病が国内ではじめて確認されました(本文2,268文字)
農林水産省は、令和6年11月18日に国内におけるランピースキン病の確認についてプレスリリースを発信し、令和6年11月6日に国内で初めて本病の発生が確認されましたことを明らかとしました。
ランピースキン病はウイルスによる牛の病気で、人には感染しません。ランピースキン病について基礎情報をまとめます。
<プレスリリース概要>
農林水産省が18日に発信したプレスリリースの概要は次の通り(筆者要約);
農林水産省は、2024年11月6日に福岡県の3農場と熊本県の1農場でランピースキン病の発生を確認しました。この病気は牛や水牛に感染し、皮膚に結節や潰瘍を引き起こすウイルス性疾患です。死亡率は高くないものの、感染力が強いため、早期発見と隔離が重要です。農林水産省は、感染拡大を防ぐために以下の防疫対策を実施しています。
① 早期発見と隔離・・・ 感染が疑われる牛は直ちに隔離され、他の牛との接触を避ける。
② 移動の自粛・・・ 感染地域からの牛の移動を制限し、感染拡大を防止。
③ ワクチン接種・・・ 感染リスクの高い地域でのワクチン接種を推奨。
④ 消毒と衛生管理・・・ 農場や輸送車両の徹底した消毒を実施。
ランピースキン病は人には感染せず、感染した牛の肉や乳が市場に出回ることはありません。農林水産省は、農家や関係者に対して、感染拡大防止のための協力を呼びかけています。また、消費者に対しても、冷静な対応を求めています。総合的な防疫対策により、感染拡大を防ぐことが求められています。
<ランピースキン病とは>
ランピースキン病は、牛や水牛に感染するウイルス性疾患で、アフリカを中心に広がっています。2005年以降、アフリカの大部分、中東、トルコ、南ヨーロッパ、そしてアジアの一部で発生が確認されており、特に2019年以降、アジアでの発生が増加し、韓国でも複数の発生が報告されています。この病気は主に蚊、ハエ、ダニなどの媒介によって広がり、感染した牛の移動によっても拡大します。感染した牛は皮膚に結節や潰瘍ができ、発熱や泌乳量の減少などの症状を示し、死亡率は高くないものの、感染力が強いため、早期発見と隔離が重要です。
ランピースキン病は、畜産業に大きな影響を与える病気ですが、適切な防疫対策を行うことで、感染拡大を防ぐことができます。もし、牛に異常が見られた場合は、すぐに獣医師へ相談が必要です。
1. ランピースキン病の特徴
原因: ランピースキン病ウイルス
感染経路: 感染した牛との直接接触、ウイルスが付着した飼料や水、昆虫などによる媒介
症状: 発熱、食欲不振、鼻水、よだれ、全身に結節、リンパ節の腫れ、泌乳量の減少
潜伏期間: 約2週間~5週間
死亡率: 比較的低いが、生産性の低下や二次感染による死亡も報告されている
2. 防疫対策
ワクチン接種: 最も効果的な予防策
生体監視: 毎日、牛の健康状態を観察し、異常が見られた場合は速やかに獣医師に相談
消毒: 農場内の消毒を徹底し、ウイルスを拡散させない
移動制限: 感染が確認された地域では、牛の移動が制限される
3. 人への感染について
ランピースキン病は、牛や水牛の病気であり、人に感染することはありません。
<世界的な発生状況>
1. アジア
アジアでは、2019年以降、ランピースキン病の発生が急増しています。特に韓国では、2023年10月から11月にかけて107件の発生が確認されました。その他、インド、パキスタン、バングラデシュ、ネパール、ブータン、ミャンマー、スリランカ、マレーシア、インドネシア、ベトナム、ラオス、カンボジア、香港、台湾などでも発生が報告されています。
2. 欧州
欧州では、2010年代に中東、トルコ、南ヨーロッパで発生が確認されました。特にギリシャ、ブルガリア、セルビア、モンテネグロ、北マケドニアなどでの発生が報告されています。これらの国々では、厳格な防疫対策が実施されています。
3. アフリカ
ランピースキン病はアフリカで最も広く発生しており、42か国で報告されています。特に南アフリカ、ナミビア、ケニア、エチオピア、ウガンダ、タンザニア、ナイジェリアなどでの発生が多く、蚊やハエなどの媒介昆虫による感染拡大が問題となっています。
4. 北南米とオセアニア
北南米とオセアニアでは、ランピースキン病の発生は報告されていません。しかし、感染拡大のリスクを考慮し、厳格な検疫措置が取られています。
<その他の家畜伝染病>
ランピースキン病、牛海綿状脳症(BSE)、鳥インフルエンザ、口蹄疫、および豚熱(CSF)について、罹患する家畜の種類、主な発生国/地域と日本での発生状況、主な症状、ヒトへの感染の有無、対策と防疫状況をまとめました。
表 家畜伝染病情報
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<影響>
ランピースキン病は、牛の健康状態を悪化させ、生産性を低下させるため、牛肉供給に直接的な影響を与えます。感染した牛は出荷が制限されるため、一時的に牛肉の供給が減少する可能性があり、また、防疫対策に伴うコスト増加が牛肉の価格に影響を与えることも考えられます。特に主要な牛肉輸出国での発生は、国際貿易に大きな影響を及ぼし、世界的な供給チェーンに影響を与える可能性があります。
<今後の展望>
ランピースキン病に対して、各国が防疫対策を強化し、感染拡大を防ぐための努力を続けることが必要とされています。具体的には、早期発見と隔離、移動の自粛、ワクチン接種、消毒と衛生管理などの対策と整備が必要です。現在、国際的な協力を通じて、感染拡大を防ぐための情報共有や技術支援が進められており、ランピースキン病の影響を最小限に抑え、安定した牛肉供給が期待されます。
<一次情報>
【農林水産省】国内におけるランピースキン病の確認について
https://www.maff.go.jp/j/press/syouan/douei/241118_2.html
【農林水産省】ランピースキン病に関する情報
https://www.maff.go.jp/j/syouan/douei/lsd.html
<参考情報>
【食品安全委員会】ランピースキン病生ワクチン(Bovilis Lumpyvax-E)を接種した牛に由来する食品の安全性
https://www.fsc.go.jp/fsciis/evaluationDocument/show/kya20240117004
【佐賀県】国内におけるランピースキン病の発生について
https://www.pref.saga.lg.jp/kiji003110504/index.html
【福岡県】ランピースキン病のワクチン接種開始について
https://www.pref.fukuoka.lg.jp/press-release/chikusan1118.html
【鹿児島県】ランピースキン病
https://www.pref.kagoshima.jp/ag37/katikuboueki/lsd.html
【厚生労働省】牛海綿状脳症(BSE)について
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/bse/index.html
【内閣感染症危機管理統括庁】鳥インフルエンザについて
https://www.caicm.go.jp/knowledge/avian_influenza/index.html
【農研機構】口蹄疫の解説と参考資料
https://www.naro.go.jp/laboratory/niah/fmd/explanation/018087.html
【農林水産省】ランピースキン病に関する情報
https://www.maff.go.jp/j/syouan/douei/lsd.html
【農林水産省】海外におけるBSEの発生について
https://www.maff.go.jp/j/syouan/douei/bse/b_kaigai/
【農林水産省】鳥インフルエンザに関する情報
https://www.maff.go.jp/j/syouan/douei/tori/
【農林水産省】口蹄疫に関する情報
https://www.maff.go.jp/j/syouan/douei/katiku_yobo/k_fmd/index.html
【農林水産省】豚熱(CSF)について
https://www.maff.go.jp/j/syouan/douei/csf/
【農林水産省】国内における豚熱の発生状況
https://www.maff.go.jp/j/syouan/douei/csf/domestic.html
<関連情報>