令和6年度 第4回日本版包装前面栄養表示に関する検討会 概要
令和6年度 第4回日本版包装前面栄養表示に関する検討会 概要(本文4,250文字)
内閣府消費者庁は、令和7年1月31日に「令和6年度 第4回日本版包装前面栄養表示に関する検討会」を開催し、日本版包装前面栄養表示の様式とそのガイドラインほかを検討しました。詳しい情報は<一次情報>からご確認ください。
<趣旨>
2015年から義務化された栄養成分表示は裏面が一般的だが、見にくさや分かりづらさを補うため、諸外国では包装前面栄養表示が導入されている。国内でも自主的な取り組みが見られる中、健康日本21(第三次)の公表を契機に、消費者の健康増進に資する食環境づくりを推進するため、本検討会は我が国における包装前面栄養表示について検討を行う。令和6年度中に5回程度検討を行い、日本版包装前面栄養表示(FOPNL)についての方向性をまとめる。今回はその第4回目として日本版包装前面栄養表示の様式とそのガイドライン原案などについて取り扱う。
<議事次第>
(1)日本版包装前面栄養表示の様式(3)
(2)日本版包装前面栄養表示ガイドライン原案(1)
(3)その他
<検討の方向性(※)>
※ 令和6年7月24日開催「令和6年度 第1回日本版包装前面栄養表示に関する検討会」にて提示された案から変更ありません。
1 令和5年度「分かりやすい栄養成分表示の取組に関する検討会」で示された「我が国における包装前面栄養表示の検討の方向性」に基づき、日本版ガイドライン案、様式案、位置付け等を検討。塩蔵品や茶葉などの例外も議論する。
2 評価項目、生鮮食品やECサイトへの展開、デジタル活用は、日本版策定後に検討。
<これまでの検討会における構成員の主な意見等について確認>
これまでの検討会において、栄養成分表示の透明性と消費者の理解を深めるために、表示内容の簡素化と明確化が求められた。特に、主要な栄養成分(エネルギー、たんぱく質、脂質、炭水化物、食塩相当量、など)を簡潔に表示することが重要であるとし、次の点が指摘された。
1. 表示基準の策定
国際基準に準拠しつつ、日本の食文化や消費者のニーズに合わせた基準の策定が必要である。
2. 食品業界の懸念
表示の変更に伴うコストや実務的な課題についての懸念が示されたが、消費者の健康を守るためには必要な措置であるとの理解も示された。
3. こども向け食品と調味料
こども向け食品は18歳以上の成人の基準を用いるため対象外とする意見があり、調味料の取扱いについては慎重に議論すべきとの意見があった。
4. 表示内容の信頼性確保
第三者機関による検証や監査の導入が求められた。
5. デジタルツールの活用
デジタルツールを活用した情報提供の充実が提案され、消費者の利便性が向上し、食品表示の透明性が高まることが期待される。
<日本版包装前面栄養表示の様式(3)>
第2回ならびに第3回に議論された、日本版包装前面栄養表示の様式案に関する要件とデザインの考え方について、さらに検討が進められた。
1. 要件提案
1-1. パッケージ上の他の表示と区別するための工夫
様式案は、枠囲みなどパッケージ上の他の表示と区別するための工夫がなされていること。
1-2. 単色でデザインされていること
様式案は、白黒など単色(モノトーンは可)でデザインされていること。
1-3. 主要な栄養成分の表示スペースの確保
様式案には、必ずエネルギー、たんぱく質、脂質、炭水化物及び食塩相当量の文字を含め、かつ、含有量を表示するスペースが確保されていること。
1-4. 栄養素等表示基準値に占める割合の表示スペースの確保
様式案には、栄養素等表示基準値に占める割合を表示するスペースが確保されていること。
2. デザインの考え方の案
2-1. 視認性を高めること
様式案は、罫線で囲む等の工夫により情報の識別化を図り、視認性を高めること。
2-2. 可読性を高めること
様式案は、読みやすい書体の選択などにより可読性を高めること。
2-3. 記載数値が何かを伝えること
様式案は、記載されている数値が何を示しているのかを補足する情報を提供すること。
3. 修正案
3-1. 文字や数値の表示スペースを広くし、空白を少なくする
全ての様式案において、文字や数値の表示スペースは広くしつつ、空白のスペースは少なくなるように工夫する。
3-2. 食塩相当量の表示スペースを白黒反転させる
食塩相当量の表示スペースを白黒反転させた様式案を作成する。
3-3. 栄養成分ごとに異なるデザインを組み合わせる
エネルギー、たんぱく質、脂質及び炭水化物のデザインと食塩相当量のデザインでは、異なる様式(原型)を組み合わせた様式案を作成する。
4. 普及啓発にむけて
4-1. シンプルで分かりやすいデザイン
デザインのみで他の栄養成分等の量と食塩相当量を区別した場合、日本版包装前面栄養表示から得られる情報量が多くなる。その結果として、デザインに込められた意図が消費者に上手く伝わらず、適切な利活用に繋がらない可能性がある。日本版包装前面栄養表示の様式案については、一目で分かりやすいシンプルなデザインとした上で、それぞれの栄養成分等の量が、消費者の適正体重の維持や食塩摂取量の減少等に役立つ情報であることを普及啓発の中で説明することとしてはどうか。
4-2. コーデックス委員会のガイドラインに基づく消費者教育
コーデックス委員会のFOPNLガイドラインにおいては、「FOPNLは政府の方針に沿って、消費者のFOPNLの理解・利用を促進するために、消費者教育・情報プログラムを伴うべきである。」と規定されていることを確認。
5. 消費者アンケート調査について
5-1. 調査対象
全国の満15歳以上の一般消費者を対象とすること。
5-2. 主な構成
日本版包装前面栄養表示の説明、視認性がある様式案の質問項目、可読性がある様式案の質問項目、記載数値の意味を伝える文言の質問項目を含むこと。
この検討においては、消費者にとって分かりやすく、食品関連事業者にとっても製品特性を伝えやすい栄養表示のデザインを目指している。消費者が容易に理解できるデザインが求められており、主要な栄養成分を一目で確認できるよう、色分けやアイコンの使用が提案されている。例えば、エネルギーは赤、たんぱく質は青、脂質は黄色、炭水化物は緑、食塩相当量は紫といった色分けが考えられている。また、表示の位置についても、消費者が商品を手に取った際に自然に目に入る場所に配置することが重要であるとされている。具体的には、パッケージの前面中央部や上部に表示することが推奨されている。
<日本版包装前面栄養表示ガイドライン原案>
1. 表示対象となる食品の範囲
日本版包装前面栄養表示ガイドライン原案では、表示対象となる食品の範囲について、加工食品全般を対象とし、特に消費者が日常的に購入する頻度の高い食品を優先することが提案されている。具体的には、スナック菓子、飲料、冷凍食品、調味料などが対象となる。
2. 表示内容
表示内容については、エネルギー、たんぱく質、脂質、炭水化物、食塩相当量の5項目を基本とし、必要に応じてビタミンやミネラルなどの追加表示も可能とする。表示方法については、消費者が一目で理解できるような簡潔なデザインとし、色分けやアイコンの使用を推奨している。例えば、エネルギーは赤、たんぱく質は青、脂質は黄色、炭水化物は緑、食塩相当量は紫といった色分けが考えられている。また、表示の位置についても、消費者が商品を手に取った際に自然に目に入る場所に配置することが重要であるとされている。具体的には、パッケージの前面中央部や上部に表示することが推奨されている。
3. ガイドラインの強調点
ガイドライン原案では以下が強調されている。
3-1. 栄養成分の量と割合の表示
栄養成分の量に加え、栄養素等表示基準値に占める当該量の割合を表示することが求められている。これにより、消費者が栄養成分の量を理解しやすくなる。
3-2. 食品関連事業者の自主的な取組の推進
食品関連事業者の自主的な取組を推進するため、任意表示の取組と位置付けた上で一定のルールが必要であるとされている。
4. 表示内容の信頼性確保
表示内容の信頼性を確保するため、第三者機関による検証や監査の導入も検討されている。これにより、表示内容の正確性が保証され、消費者が信頼できる情報を得られるようになる。
5. デジタルツールの活用
デジタルツールを活用した情報提供の充実も提案されており、消費者がスマートフォンなどを使って詳細な栄養情報を確認できるような仕組みが検討されている。これにより、消費者の利便性が向上し、食品表示の透明性が高まることが期待される。
<まとめと今後の展望>
検討会では、栄養成分表示の透明性と消費者の理解を深めるため、表示内容の簡素化と明確化が求められました。特に、主要な栄養成分(エネルギー、たんぱく質、脂質、炭水化物、食塩相当量)を簡潔に表示することが重要とされています。
表示基準は国際基準に準拠しつつ、日本の食文化や消費者のニーズに合わせた基準の策定が必要とされ、食品業界からは表示の変更に伴うコストや実務的な課題についての懸念が示されましたが、消費者の健康を守るためには必要な措置であるとの理解も示されました。第三者機関による検証やデジタルツールを活用した情報提供の充実も提案され、消費者の利便性と食品表示の透明性が高まることが期待されています。
今後の展望としては、これらの意見を踏まえたガイドライン案の具体化と、消費者教育の推進が重要です。特に、デジタルツールの活用により、消費者が容易に栄養情報を確認できる環境を整備することが求められます。
次回の第5回検討会にて予定されている議事は、つぎの通りです。
・日本版包装前面栄養表示ガイドライン原案(2)
・食品表示基準における日本版包装前面栄養表示の位置付け
※詳しい情報は<一次情報>からご確認ください。
<配布資料>
【議事次第】令和6年度 第4回日本版包装前面栄養表示に関する検討会
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/meeting_materials/assets/food_labeling_cms206_20250124_11.pdf
【資料1】第1回から第3回検討会における構成員の主な意見等について
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/meeting_materials/assets/food_labeling_cms206_20250124_12.pdf
【資料2】日本版包装前面栄養表示の様式(3)
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/meeting_materials/assets/food_labeling_cms206_20250124_13.pdf
【資料3】日本版包装前面栄養表示ガイドライン原案(1)
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/meeting_materials/assets/food_labeling_cms206_20250124_14.pdf
【資料4】令和6年度日本版包装前面栄養表示に関する検討会開催スケジュール等
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/meeting_materials/assets/food_labeling_cms206_20250124_15.pdf
【参考資料1】令和6年度日本版包装前面栄養表示に関する検討会 開催要領
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/meeting_materials/assets/food_labeling_cms206_20250124_16.pdf
【参考資料2】我が国における包装前面栄養表示の検討の方向性
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/meeting_materials/assets/food_labeling_cms206_20250124_17.pdf
【参考資料3】コーデックス委員会における包装前面栄養表示ガイドライン
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/meeting_materials/assets/food_labeling_cms206_20250124_18.pdf
【参考資料4】諸外国等における取組について
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/meeting_materials/assets/food_labeling_cms206_20250124_19.pdf
【参考資料5】国内における食品関連事業者の自主的な取組について
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/meeting_materials/assets/food_labeling_cms206_20250124_20.pdf
【参考資料6】加工食品における栄養成分等の表示実態調査の結果について
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/meeting_materials/assets/food_labeling_cms206_20250124_21.pdf
<一次情報>
令和6年度 第4回日本版包装前面栄養表示に関する検討会(2025年1月31日)
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/meeting_materials/review_meeting_013/040572.html
<関連情報>
令和6年度 第3回日本版包装前面栄養表示に関する検討会(2024年12月24日)
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/meeting_materials/review_meeting_013/039267.html
令和6年度 第2回日本版包装前面栄養表示に関する検討会(2024年8月27日)
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/meeting_materials/review_meeting_013/038773.html
令和6年度 第1回日本版包装前面栄養表示に関する検討会(2024年7月24日)
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/meeting_materials/review_meeting_013/036571.html
<動画配信>
https://www.youtube.com/live/FuBoSOnx-Rw
※ 令和7年1月31日10時開催
※ 開催日時以外の視聴はできません。
<関連情報>