高病原性鳥インフルエンザについて食品安全委員会が情報公開
高病原性鳥インフルエンザについて食品安全委員会が情報公開(本文2,665文字)
食品安全委員会は、令和6年10月23日付にて「高病原性鳥インフルエンザについて」の情報をホームページに公開しました。高病原性鳥インフルエンザは、世界中で現在も依然として猛威を振るっており、グリーバルフードサプライチェーンに大きな影響を及ぼしています。
ここでは食品安全委員会が発信する情報、ならびに関連する機関からの情報を合わせてまとめます。
<食品安全委員会の考え>
日本では、鳥インフルエンザが発生した場合、農林水産省が感染鶏や同一農場の鶏を全て殺処分するため、市場に出回ることはありません。また、ウイルスが人の細胞に入り込むための受容体が異なることや、ウイルスが胃酸で不活性化されることなどから、食品安全委員会は、鶏肉や鶏卵を食べてもヒトが鳥インフルエンザに感染する可能性はないと考えています。
食品安全委員会は、発生が確認され次第、科学的な情報を迅速に提供します。
<掲載されている情報の範囲>
本記事の作成時現在、食品安全委員会による「高病原性鳥インフルエンザについて」のページには、以下の情報が掲載されています。
1. 国内の家きんにおける今シーズンの発生に関する主な情報
2. 鳥インフルエンザに関する食品安全委員会の考え方
3. 鳥インフルエンザ、高病原性鳥インフルエンザとは
4. 行政機関等の情報
<国内の家きんにおける今シーズンの発生に関する主な情報>
主に農林水産省が発信する、国内の家きんにおける鳥インフルエンザの発生に関する情報、疑似患畜の確認および防疫対策本部の開催情報(プレスリリース)、ほかをまとめています。
発生状況など最新情報は、リンクされている農林水産省のページ「鳥インフルエンザに関する情報」へ移動して確認することができます。
<鳥インフルエンザに関する食品安全委員会の考え方>
食品安全委員会は、我が国の現状において、家きんの肉や卵を食べることにより、ヒトが鳥インフルエンザウイルスに感染する可能性はないと考えています。その科学的理由は次のとおり。
①鳥インフルエンザウイルスは熱に弱い
鳥インフルエンザウイルスは高温で死滅します。WHOによると、食品を十分に加熱調理すればウイルスは死滅し、感染の心配はないとされています。
②鳥インフルエンザウイルスは酸に弱い
ウイルスは酸に弱く、ヒトの胃酸等で死滅すると考えられています
③ヒトとトリの受容体の違い
鳥インフルエンザウイルスが感染するための受容体はヒトとトリで異なります。ウイルスがヒトの細胞に結合し、感染するリスクは低いと考えられます。
<鳥インフルエンザ、高病原性鳥インフルエンザとは>
鳥インフルエンザウイルスはA型インフルエンザに感染して起こる鳥類の病気です。
家畜伝染病予防法では、
1. 高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)
2. 低病原性鳥インフルエンザ(LPAI)
3. 鳥インフルエンザ
の三つに分類されます。国内では、低病原性でも高病原性と同様に防疫措置が取られます。
図 我が国における鳥インフルエンザの分類
※次に示すOIEの診断基準(高病原性鳥インフルエンザ)のいずれかを満たした場合に、病原性が高いと判定
①6週齢鶏の静脈内接種試験で病原性指標(IVPI)が1.2以上又は4~8週齢鶏の静脈内接種試験で75%以上の致死率を示す。
②H5又はH7亜型のウイルスで、特定部位のアミノ酸配列が既知のHPAIウイルスと類似している。
<行政機関等の情報>
鳥インフルエンザについては、食品安全委員会だけではなく、複数の行政機関が横断的に情報発信しています。食品安全委員会は、首相官邸ほか5機関の情報をリンクし、鳥インフルエンザについてのポータル的な役目も果たしています。
1. 首相官邸「鳥インフルエンザ関係閣僚会議」
鳥インフルエンザの発生を受けて、政府は関係閣僚による「鳥インフルエンザ関係閣僚会議」を随時開催し、今後の対応方針等を確認します。直近では、令和6年10月17日に会議を開催し、会議資料を公開しています。
2-1. 農林水産省「鳥インフルエンザに関する情報」
鳥インフルエンザの概要としてウイルスの特性や感染経路が説明されています。国内外の発生状況、家きん飼養者向けの衛生管理基準や防疫措置、政府からの最新の指示やガイドラインも詳述されています。
2-2. 農林水産省「我が国における鳥インフルエンザの分類」
家畜伝染病予防法に基づく鳥インフルエンザの三つに分類について、詳しい説明があります。
3. 内閣官房(内閣感染症危機管理統括庁)「鳥インフルエンザA(H7N9)の現状と対応について」
感染症の基礎知識として、鳥インフルエンザA(H7N9)の現状や中国での発生状況や感染経路が説明されています。予防対策として、感染症法に基づく指定感染症や検疫体制の整備について詳しい情報を案内しています。
また、令和6年に全面改定した「新型インフルエンザ等対策政府行動計画」ほかを公開しています。
4. 厚生労働省「鳥インフルエンザについて」
鳥インフルエンザの概要、感染経路、国内外の発生状況、予防対策が詳しく説明されています。感染症法に基づく分類や防疫措置についても解説しています。
5. 消費者庁「鳥インフルエンザに関する情報」
鳥インフルエンザの概要、感染経路、国内外の発生状況、予防対策が詳しく説明されています。特に、感染リスクの低さや防疫措置について詳しく解説しています。
<まとめ>
食品安全委員会は、令和6年10月23日に「高病原性鳥インフルエンザについて」の情報を公開しました。高病原性鳥インフルエンザは世界中で猛威を振るい、グローバルフードサプライチェーンに影響を与えています。日本では、発生時に農林水産省が感染鶏を全て殺処分するため、市場に出回ることはありません。また、ウイルスは熱や酸に弱く、ヒトの細胞に結合しないため、鶏肉や鶏卵を食べても感染の可能性はないと考えられています。
政府は食品安全委員会をはじめとする関係機関を通じて、鳥インフルエンザに関する最新情報と詳細な解説を発信し、適切な措置を実行しています。
<一次情報>
【食品安全委員会】高病原性鳥インフルエンザについて
https://www.fsc.go.jp/sonota/tori/tori_infl_ah7n9.html
<関連情報>
【食品安全委員会】鳥インフルエンザのQ&A
https://www.fsc.go.jp/sonota/tori/tori_influenzaqa.html
【食品安全委員会】鳥インフルエンザ(H5N1)のファクトシート
https://www.fsc.go.jp/sonota/factsheets/07avian_influ.pdf
【食品安全委員会】鶏肉・鶏卵の安全性に関する食品安全委員会の考え方
https://www.fsc.go.jp/sonota/tori/tori_iinkai_kangaekata_140424.pdf
【農林水産省】鳥インフルエンザに関する情報
https://www.maff.go.jp/j/syouan/douei/tori/index.html
【農林水産省】我が国における鳥インフルエンザの分類
https://www.maff.go.jp/j/syouan/douei/tori/pdf/ai_class.pdf
【首相官邸】鳥インフルエンザ関係閣僚会議
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/influenza/
【首相官邸】鳥インフルエンザ関係閣僚会議(令和6年10月17日会議資料)
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/influenza/pdf/siryou-241017a.pdf
「内閣官房(内閣感染症危機管理統括庁)】鳥インフルエンザA(H7N9)の現状と対応について
https://www.caicm.go.jp/information/citizen/avian_influenza/about_h7n9.html
【内閣官房(内閣感染症危機管理統括庁)】新型インフルエンザ等対応中央省庁業務継続ガイドラインを改定しました。
https://www.caicm.go.jp/action/plan/index.html#influenza_gov_agency_continuity_guideline
【厚生労働省】鳥インフルエンザについて
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000144461.html
【消費者庁】鳥インフルエンザに関する情報
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/caution/caution_161129_01.html