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情報(ICT)主任のマネジメント&マインドセット

皆さん、こんにちは。
私は、とある地方の公立小学校で教員をしております。

これまで、中規模校(複数)→小規模校→大規模校と様々な学校で勤務してきましたが、どの学校でももれなく情報主任(言い方は学校によって微妙に違いますが)を担当してきました。

小規模校の時には、情報主任と合わせて生徒指導主任と特別活動主任と体育主任を併せ持ったこともあります。(おまけに6年生担任でした)
研究が入っていないのが救いでした・・・。
なお、職員室の雰囲気もよく、子ども達も素敵でとても密度の濃い、楽しい時間を過ごしました。

さて、本題に入ります。
私は、現在の勤務校では4年連続で情報担当をしています。
ちょうどGIGAスクール構想から一人一台端末が整備されたころになります。

最近ふと考えるのが、GIGA以前と以後で情報主任としての仕事が大きく変わったということです。
年齢や学校の規模によるもの、自身の仕事量のキャパシティの変化によるものかとも思いましたが、どうも他の人に聞いても違うようです。

この辺りの悩みは以前の記事にも表れています。
・研究主任でなくともできることはある!
・小学校×canvaの行方が見通せなくて悩んでいます
・小学校の情報主任の葛藤

多くの学校の情報主任がGIGA以後の仕事への対応に苦しんでいるような気がしています。

私も、春休みに先生方のPCのメモリの増強を市教委から依頼されて実施しているときに「いったい何の仕事をしているのだろう?」と自問自答したこともあります。

「変化の大きい」いわゆるVUCA時代とも言いますが、まさに私たちの仕事にも当てはまるものだな、と実感しています。

遅かれ早かれおきるであろう学校の大きなパラダイムシフト、もしかしたらそれをいち早く経験できるのは情報主任なのかもしれません。

今回は夏休み最後の大仕事として、このあたりのことについてしっかりと言語化をして残しておこうと思い、まとめてみました。

はじめに

情報活用能力

現行の学習指導要領において、「情報活用能力」は「言語能力」「問題発見・解決能力」と並ぶ「学習の基盤となる資質・能力」の一つという位置づけになりました。

総則には、以下のようにあります。

情報活用能力は、世の中の様々な事象を情報とその結び付きとして捉え、情報及び情報技術を適切かつ効果的に活用して、問題を発見・解決したり自分の考えを形成していくために必要な資質・能力である。

小学校学習指導要録(平成29年告示)解説【総則編】

この資質・能力はこれからの社会の変化の方向性から見て、より大切になっていくものと考えられます。

・情報及び情報技術を効果的に活用できずに誹謗中傷・・・
・情報に踊らされ、米を買い占め・・・
・自分で考えずに、生成AIのみを頼る・・・

書いているだけでも、情報活用能力または情報リテラシーの向上はこれからを生きる人たちに必須の資質・能力だとわかります。

情報主任

そこでこれらの力を高めていくための学校教育を推進していくために活躍するのが「情報(ICT)主任」だと考えています。

少し古い文書ではありますが、「学校における情報化の推進体制」(文部科学省)には、校内のICT活用の活性化にあたり、教員にスキルを教えることよりも効果的な活用方法を一緒に考え、提案するなどのカリキュラム・コーディネーターとしての・・・とあります。

まさに10年以上も前から、カリ・マネの視点でICT活用に取り組んでいくことが求められています。

しかし、当時は学校全体で視聴覚室にパソコンが一クラス分あるかないかぐらいです。
また、データは古くなりますが子ども達のタイピング力が10字/1分の時代です。

その時に、ICTを活用しようとしても教師主体で提示用に使う資料の有効な使い方や、Excelの便利な技術が求められていました。
(これは個人的な経験からの意見です)

さて、現在はどうかというと、活用の主体は子どもです。
活用に使うツールは、ロイロノート・canva・Google for Education・MicrosoftTeams・ミライシード・SKYMENU Cloud・MetaMoji・Padlet・等々・・・数えきれません。
ドリルやクイズアプリを含めると以前の比ではありません。

それらを踏まえたコーディネートが簡単な仕事ではないのは明白です。

求められるマネジメント~連携がベース~

とはいえ、学校の一教諭である「情報主任」が各校の学校教育目標を達成しつつ情報活用能力(もっと広義で「生きる力」)を育んでいくためには、多くの先生方との連携が欠かせません。

ここからは、私の経験+希望を交えて必要だと思うことをまとめていきます。

管理職との連携

まずは管理職との連携です。
どの学校においても校長先生の方向性は大きく作用します。
さすがに現在ではICTや情報の重要度を認識されている方がほとんどなので、以前のような無理解はなくなった(と信じたい)のですが、アレルギーのある方も一定数おられます。

幸いにも本校はお二人ともとても理解があり、私の推進を強力にバックアップしてくださるので心強いです。

管理職との連携で大切なのは「学校教育目標」のどの部分にICTが効くのかをしっかりとこちらが持っておくことです。

管理職の先生方は、その他の「キャリア教育」「環境教育」「食育」「人権教育」・・・全ての舵取りをされる中で「情報教育」についてもリソースを割いているのです。

私の大好きな著書「全部GIGAでやろう!」(坂本良晶著)を言葉そのままぶつけるのは、今の私の力では、まだ無謀です。

教務部との連携

学校という組織で考えると、この連携は実務の上で一番効いてくるかもしれません。
とにかく日々の学校が動いていくのはこの教務部のマネジメントが大きいです。

だからこそ、ここにICTの力を加えることで働き方改革の大きな推進力が得られることが多いです。
管理職とも相談の上、システムそのものを変えることで全体の時間を削ることができます。

もちろん、ICTによる変更が苦手な方へのサポートは欠かせません。

研究部との連携

さて、授業でのICT活用です。
少し前までの「プログラミング教育でScratchをやっておけば」はもう通用しません。

そもそも「主体的・対話的で深い学び」の視点からの授業改善を行っていかなくてはなりません。

そのためには、一人一台端末は必要不可欠です。

ICT活用のモデルを示したり、授業を一緒に考えたりと研究部と情報部は今後切っても切れない関係になっていくと思います。

チョーク一本で戦ってきた研究の猛者達とICT活用を対立ではなく協力へもっていくのが、情報主任としての一番の腕の見せ所かもしれません。

生徒指導部との連携

昨今、ネット上でのトラブルは急増しています。
「学校で聞くのかよ」と思うような事案がないわけではないのですが、今後も増えていく一方だと思います。

生徒指導の先生との連携はもちろん大事ですが、子ども達に正しく知識としてのSNSとの関わり方を伝えていくことも大切だと思います。

精神論だけではなく、知っていることで防げる知識や技能を学年の発達段階に応じて伝えていける体制を整えていく必要があります。

これは、情報主任一人でまかなおうとすると限界がくるので、各担任・生徒指導主任・教育相談担当・養護教諭等々としっかり連携をとる必要があります。

事務職員との連携

私は今年度、新たな挑戦をしました。
以前の記事でも書きましたが、今年度の予算でCDプレーヤーではなく、Anchor製のBluetoothスピーカーを購入しました。
・学校を変えるには、小さな変化でもすごく勇気がいる
このときも、単純に希望を出しただけでははじかれていたかもしれません。

昨年度からその有用性や価格などを伝えていた甲斐もあって、面倒な手続きではあったかもしれませんが、10個まとめて購入していただけました。

また、私の今の調査指標として紙代の削減があります。
新たに購入希望を出す前に、できる限りのことはしたいのでペーパーレス化による恩恵についても定期的に話題にしています。

他校との連携

私は一番苦手です。
しかし、同じ自治体で働いているもの同士、成果を持ち寄ることはとても意味のあることだと思います。

現在はICT支援員さんが各校を回っているので、その様子を尋ねたり、定期的な情報担当者会議で話したりする程度ですが、ここにはGoogleChat等を活用した情報をまとめて見えるシステムをどうにか導入してもらいたいと思っています。

求められるスキル~ICTのスキルは程々~

授業の構想力

先ほどの、「研究部との連携」で書いたとおりです。
令和の情報主任には研究主任レベルの授業力が求められます。

情報収集力

私は、現在noteやvoicy、書籍、オンライン研修などを中心に情報収集(インプット)をしています。

子育てをしながらの時間の捻出なので、なかなか遠方の研修会に参加をすることができていないのが残念です。

CECをはじめ、行ってみたい研修が山のようにある。

とはいえ、今の時代の便利なところは、現地に行かずともその人の声で研修を受けるオンライン研修があるということです。
我々子育て世代には本当にありがたい。

若い先生方の中には、そもそも「知らない」というだけで、大きな伸びしろを持った方が大勢います。
自分自身の情報収集も引き続き続けていきたいと思いますが、どんどん校内にもその輪を広げていけるような仕組みを作っていきたいと思っています。

・校内研修における共有ノートの可能性
・職員室ポータルサイト作りのあれこれ(前編)~作った理由・構想~

これからは、共有の時代です。

巻き込み力

私の苦手とするところです。
しかし、個別に少しずつ広げていくことはなんとか頑張っています。

また、大事にしているのが「この人の言うことなら」と思ってもらえるような振る舞いをするということです。

先ほどの授業での活用もそうですが、自分自身が対話のある授業を展開できていないのに、何を言ったって無駄です。

授業力・人間力を地道に高めていくことが巻き込み力を増やしていく方法かなと思って、これからも精進を続けます。

おわりに

ここまで読んでくださりありがとうございます。
頭の中でぼんやりと意識していたものが言語化することによって以前より明確になりました。

書きながら、令和の情報主任は・・・ではなく、令和の教員って大変だな~と思うこともありますが、私自身は変化に対して楽しみな気持ちの方が強いです。

結局のところ、この「変化の大きい時代」を楽しめるかどうかが令和の情報主任にとって必要なマインドセットではないかと思います。

私は今後も情報(ICT)の分野でできることを増やしていきたいと思っているので、数年後や10数年後にもう一度立ち戻るような記事であったらと思っています。

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