世界史の流れ・ざっくり②-2 海の歴代チャンピオン
★イベリア征服
第1回で、西アジア勢がブイブイ言わせていたと書きましたが、どれくらいブイブイ言わせていたかというと、西アジアに出現したイスラム帝国が、いまのポルトガルとスペインがあるエリアに攻めてきて、ほぼ全土を征服してしまいます。それくらいブイブイ言わせてます。
★北の王国
征服されなかったエリアもありました。今のスペインの北にある、メッチャ狭いゾーンです。征服されなかった人たちは、ここに王国を築き、数百年かけて、じわじわ南へと領土を広げていきます。
そして、この途中で、ポルトガルとスペインが生まれます。
★ポルトガル
まずポルトガルが西アジア勢から土地を奪い取ります。
「次は海じゃー!」となり、「船を操るならプロフェッショナルを呼ばなきゃ!」となります。そこで呼ばれたのが北イタリアの人たちでした。
★マージンと原価
この時代のヒット商品は中華世界の高級品に加えて、東南アジアで取れるスパイスでした。
これらの商品は、西ヨーロッパに着くまでに、複数の商人の手を経由します。
商人は儲けることが仕事ですから、無料で渡すことはありません。多くの商人が間に挟まるほど、値段は高くなります。
そうなると、当然、「うおおおお! 原価いくらやねーん! ワシら、どんたけ高い値段で買わされとんねーん!」となります。
そして、「原価で買うたらええやんか!」「現地に行こうや!」となります。
★ユーラシアの海への進出
そんな訳で、ポルトガルは東アジアや東南アジアに直接行くことを目指します。
アフリカの南をぐるんと回って、インドに到達すると、さらにその先に進み、日本にもやってきます。鉄砲伝来です。
★ポルトガルの覇権
ポルトガルは船を操る力を駆使して、この地域で優位を築きます。特にアフリカから東南アジアにかけての海域で覇権を確立します。
しかし、100年後、ポルトガルは新興国のオランダに敗れ、一部の地域を除いて力を失います。
代わりにオランダがこの地域のチャンピオンになります。
しかし、そのオランダも、やがてはイギリスにチャンピオンの座をゆずります。
★日本との関係
ちなみにザビエルは、ポルトガル出身ではありませんが、ポルトガルの切り開いたルートを使って日本にまで来ました。
またオランダがブイブイ言わせた時代は、江戸時代が始まる頃で、江戸幕府はオランダと長崎で貿易をすることになります。
★スペインの動き
ポルトガルの動きに焦ったのがスペインです。
遅れを取り返すために一発逆転を目指します。
そこに現れたのも、北イタリアの船乗りでした。
「ポルトガルは東に進んだけど、私は西からアジアを目指します! 行ける行ける! 地球丸いし!」ということで、試しに行かせてたら、どうも自分たちの知らない土地にたどり着いた。
これがカリブ海でした。
この北イタリアの船乗りとはコロンブスです。
コロンブスもまた、航海技術を持ち、新たなビジネスチャンスを探していた、あの北イタリア人の流れをくむ人だったのです。
★カリブ海
聞いたことはあるけど、どこにあるか聞かれたら、答えられない土地の1つがカリブ海です。
ちゃんと調べたことがないと「えーと、なんか海賊がいる場所」くらいしか分からない。
カリブ海は、アメリカのある大陸と、ブラジルやアルゼンチンのある大陸の間にある海です。なんかアメリカとブラジルの間くらいにある思っておけば、とりあえず合格?!?!
★全盛期と衰退
スペインはカリブ海を拠点にして、じわじわ北と南の大陸に進出しますが、この過程で金山や銀山を掘り当てて、全盛期を迎えます。
ところが大戦争を繰り返したり、贅沢な暮らしをし続けた結果、落ちぶれていきます。
★大英帝国
落ちぶれたスペインは、イギリスにとって都合の良い条約を結ばされ、このエリアでもイギリスがブイブイ言わせます。
イギリスはカリブ海の北にある、いまのアメリカのベースになる土地も持っていました。
スペインが切り開いた西のルートと、ポルトガルが切り開いた東のルートを押さえたイギリスは、海のチャンピオンとなり、大英帝国へと変貌を遂げます。
こうして、陸でも海でもアジア勢がブイブイ言わせていた時代から、海では西ヨーロッパ勢が優位に立つ時代になりました。
一方、その裏側、東ヨーロッパでは、陸のチャンピオンが生まれようとしていました。