過去のポケモン映画を見てみたら実質『ジャイアントロボ』だった

 タイトルだけで何のポケモン映画のことか、お分かりになる方も少なくないでしょう。もったいぶる必要はありませんからさっさとここに書くと『劇場版ポケットモンスターベストウィッシュ ビクティニと白き英雄レシラム』のことです。
 うちの家人はポケモンが大好きで、なかでもゴルーグが大大好きです。対戦をするときはいつもゴルーグくんが大活躍……しようとしてうまくいかなくて「数値がーーー!」とよく叫んでいます。確かに無骨なのになんだか愛嬌のある姿がいじらしくて心を惹かれるポケモンですよね。そして、そのゴルーグくんが大活躍する映画があると時々話が出ていましたが、彼、ゴルーグくんははあくまでも一般ポケモン。伝説や幻のポケモンを差し置いてそんなに活躍するだろうか、と話半分に聞いていました。

 で、観始めたんです。サトシは相変わらずスーパーマサラ人だなあとかアイリスちゃんかわいいなあとか、のほほんと観ていました。ビクティニかわいいなあとか。ゴルーグくんは店番をしていて、この後もう少し出番があるんだろうなとぼんやり観ながら油断していました。
 まさか、ゼクロムにジェット噴射しながら体当たりするとは。そしてちゃんと押し出せるとは。でもここで出番が終わりかなと思っていました。そしたら忘れたころにまたゴルーグくん再登板!「城を止めて!」というトレーナーの指示にまさかトレーナーの息子(城を動かしていた)を攻撃しようとしていたのはさすがロボだと思いました。確かにそこ攻撃したら城は止まるけどさぁ!ゼクロムくん、ゴルーグを止めてくれてありがとう。危うくとんでもないことに。そしてあのとき出そうとしてたビームは一体何?気合玉?殺意が高すぎますよ???ワタルさんのカイリューかな???
 知らない技いっぱい出してましたよね。もう、ぐるぐる高速回転始めた時はびっくりしましたよ。家人は大喜びしてましたけど。「ぶんまわす」覚えたっけキミ?後から家人に改めて聞いたら、当時そもそも「ぶんまわす」は技自体なかったみたいですね。(ついでなのでちょろっと調べたらぐるぐる回る系の技は剣盾時代にDDラリアットなら覚えてました。)ほんの数秒とはいえ伝説と互角の戦いを見せてくれました。
 力及ばずゼクロムに撃ち落されとどめをさされそうになったとき、トレーナーさんからの「ゴルーグ逃げて!」に対してゴルーグくんが「ゴウン……!」ってどうにか立ち上がろうとしているカットはさながら主人公のようでした。めちゃめちゃかっこよかった。さすがにもうゴルーグくんの出番は終わってしまったか……と思いながらサトシが大気圏突破しかけているのを手に汗握って見ていたら、またもやお兄さんを背中に乗せて登板!!他の城を動かしてたエスパーポケモンたちは危険を察知して避難したのに!なんて健気なの!!ていうかほぼ宇宙空間手前っぽいけど、ここまでジェット噴射で飛んできたの!?しかもレシラムゼクロムが二体ががりで破壊しようとしている石柱を数秒とはいえこじ開けたよ???どんだけ頑張るの……。ラストでもレシラムゼクロムと共に城を押して運ぶの手伝ってたし。これは第三の英雄ゴルーグとか白き英雄ゴルーグとか言われるよ!大大々活躍じゃないですか!

 このゴルーグくんの、ロボットアニメが裸足で逃げだすような、なんなら元ネタがゴーレムとは思えない活躍っぷり、そして大雑把な指示から伝わるトレーナーさんとの信頼関係、なんとなく既視感があるな、なんだっけなと思った時に『ジャイアントロボ THE ANIMATIONー地球が静止する日』を思い出しました。唐突ですが、私はこの作品が好きです。物理法則も常識もなんのその!の破天荒なバトル、何ならロボより人間のほうが出番も多いし強いんじゃないかと思うんですが、それがいい。ここ一番!というところでロボも頑張ってくれるし。この作品は言ってしまえば、主人公大作少年とジャイアントロボとが互いを信頼し、自立していく物語です。ロボは大作少年の結構大雑把な指示に健気に応えて頑張ってくれます。大作少年が「がんばれロボ!」って言ったら頑張るし、「パンチだロボ!」って言ったら的確に敵にパンチする。見ていていじらしいくらいです。
 映画でのゴルーグくんの活躍にジャイアントロボを思い出しました。彼もトレーナーさんからの「城を止めて!」とかのそこそこ大雑把な指示から意思をくみとって信頼にこたえていました。ゴルーグくんとトレーナーさんとの間にもきっと大作少年とジャイアントロボのような何かがあったのかもしれませんね。(まぁアニポケのトレーナーの指示はだいたいみんな同じ感じで、ゴルーグくんのトレーナーだけが雑なわけではないですし、ポケモンと信頼関係を築くのは大前提と言ってしまえばそうなんですけれど……。)
 あと、城を動かしてはならない理由がきちんと伝えられていなかったのもちょっと『ジャイアントロボ』って感じがしました。最後まであの作品を視聴した方ならわかってくれると思いますが、「遺言はちゃんと伝わるように伝えましょう」というのがあの作品から得られる教訓のうちの一つですから……はは……。ビクティニを連れていたあの王様がせめて書き記していればなぁ。力尽きちゃったんだから仕方ありませんが。ビクティニ越しにサトシに伝わったからいいのか。

 ここからは『ビクティニと白き英雄レシラム』を見て、ゴルーグくん以外のポケモンに関する些細な感想です。
 まずは、ギアル系統。活躍のさせ方が気に入りました。歯車としての個性が最大限活かされていて、めちゃくちゃかわいい!冒頭の巨大オルゴール?を動かす演出とか、ヘリコプターの動力とかですね。工夫次第で活躍の場がいくらでもありそうですよね!素晴らしい。
 バトルに限らず、こういう風にポケモンと人とが協力して暮らしてる描写が好きです。そういうゲームもやりたいです。オドリドリ四種とクワッスちゃん系統で多ジャンルのダンス教室をやるとか、毒タイプが薬学研究に協力してるとか……ラッキーが看護師さんしてたり格闘ポケモンが工事のお手伝いしてたりするのはアニメでもときおり見かけましたね。
 ちなみに映画を観たあとポケGOでたまたま色違いギアルゲットしました。うちで歯車まわすか!
 それから、一時的とはいえシンボラーくん一匹にビクティニの代理をやらせるのはあまりに荷が重いのでは!大気圏突入しそうになったとき、私はシンボラーくんの安否が一番心配でしたよ。城が降りてきたとき、残務処理しにいった彼の勇敢な後ろ姿に思わず「シンボラーくん!無事やったんや!よかった!」と声が出ました。ユニランダブランがふわ~っと退避してた時に君も退避してたんだ!無茶しなくてえらいぞ!
 ビクティニちゃんが苦しそうなのもかわいそうだったけど、ただでさえ重そうな城にゼクロムが乗ってきて、見えないところで職人の如く頑張ってるはずのシンボラーくんを応援していました。
 シンボラーなーんか好きなんです。謎の生命体感と古代のエスパーパワー使います!って得体のしれない生き物感満載なのが心を捉えるんです。真に異形!って感じ。ゴルーグくんも大大活躍していましたが、思いがけずシンボラーくんも活躍していてにっこりしてしまいました。
 あんまり見ていませんでしたが、ポケモン映画も面白いなぁ。

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