見出し画像

うつ病で本が読めない負のループを抜け出す

図書館で借りた本を貸出期間内(延長なし)に読み切れると爽快ですよね。

そんなわけで、昨夜ちょっと夜更かしをして無事に読み切った本を返却し、本日また新たに借りてきました。

読書が趣味の人間にとって、自宅から目と鼻の先に大きな図書館があることはこの上ない喜び。でも、少し前まで読む本は図書館で借りるよりも圧倒的に本屋で新品を調達する派でした。

というのも、せっかく借りても期限内に読み終われたためしがなかったから。

読了までにかけられる時間が決まっていると窮屈な感じがして意欲が湧かなかったり、電車の中やカフェで本を読むのが好きな私にとって単行本は持ち運ぶには大きすぎる。わりと潔癖症(特に手!)で、不特定多数の人が触った本を家に置いておくことに気が引けたりなんて理由も。

そして、出版物を生み出す大変さを知っているからこそ作家さんに還元したい!という思いがあって本屋で購入することにこだわっていた部分もありました。

無職になってからは図書館のヘビーユーザーに

図書館で本を借りることに抵抗があった私が、なぜ図書館を頻繁に利用するようになったかというと答えは簡単! 無職になって自由に本を買うお金がなくなったからです。

本屋に行くと、あれもこれも欲しくなって毎回少なくとも3000円以上は一気買いしてしまうのですが、常に金欠状態が付きまとう無職には思う存分娯楽に費やせるお金がありません。

そんな環境でも図書館に行ったら無料で好きなだけ本に触れられるし、ちょっと気になっただけの本でも気軽に読むことができる。読む途中で自分に合わないと感じても、タダだから気持ち的にもお財布にもダメージはないし。


私はいろんなジャンルの本を読むよりも、好きな作家さんの本を片っ端から読破しようとするタイプなのですが、最近それだとつまらないな〜〜と感じるようになり、本棚を適当に徘徊して表紙やタイトルを見て気に入ったもの、中身をパラパラとめくってみて文章や印刷された文字の雰囲気がしっくりくる作品を選んでみることにハマっています。

これまで通ってこなかった作家さんと新たに出会い、何も分らない状態から本を開き読み進めていく過程でやっと登場人物やストーリーを知ることができる。あらかじめ目星を付けて借りに行った本よりも、その時の気分や手に取った時のフィーリングで選んだ作品の方が案外面白かったりするんですよね。


今日借りてきた本もブラ〜〜っと本棚を見て回り、その時の直感で決めました。晩ご飯を食べたら温かい飲み物でも入れてゆっくり読み始めたいと思います。

読書をすることが日常の一部ではなくなる

中学生の頃から暇さえあれば読書に勤しんでいた私ですが、ここ数年は読書に費やす時間が激減していました。

  • うつ病で文字を追うのが辛い&ストーリーが理解できない

  • 在宅ワークに切り替わり読書をするタイミングを失った

上記2つが主な理由です。

5年前にうつ病とパニック障害を併発し、体調が思わしくない時期は全くといっていいほど本が読めませんでした。とにかく文字を追うのがしんどいし、まるで頭の中にモヤがかかっているかのようで内容が入ってこない。すでに読んだはずの箇所を何度も何度も追ってしまう。「読書」というより、ただ目の前にある文字を視界に入れているだけという感覚でした。

新しい本ではなく、ストーリーを知っている読了済みの本であればまだ読めるのでは?と思い、お気に入りの作品を手に取ってはみたもののやっぱりダメでストーリーを楽しむことはできず、過去に読んだ時の記憶をなんとか引っ張り出して断片を紡いでいるだけな感じ。

加えて、先述したとおり私は電車の中で本を読むのが好きで一番集中して読み進められるので、毎日の通勤・帰宅時間を読書タイムに充てていたのですが、当時勤めていた会社はコロナの感染拡大と共にフルリモート状態に切り替わったので読書をするタイミングを喪失。

そんなこんなで、あっという間に日常生活から本を読む習慣がなくなりました。


その後、転職を経て入社した会社は完全出社の労働環境でしたが、通勤時間を仕事で必要な資料や素材をネットから集めることに充てていました。ごく稀に読書をすることもありましたが、今一つ内容が入ってこないし思うように文字が追えない。読むにしても読了済みの本ばかりを選ぶようになる。

今思えば、完全にうつ病が再発していたんだなと分かります。

(人は読書をしようと思っても精神的に余裕がないと新しい作品ではなく、すでに読んだ本を選ぼうとするらしいです)

うつ病がやっと寛解したと思ったら、あれよあれよと瞬く間に再発。しかも突然無職になったものだから新しく本を買うお金もない。

学生時代は本を買うことにお小遣いを費やし、本好きが高じて出版社に入り社会人になってからも毎日欠かさず本を読んでいたのに。読書習慣がなくなるどころか、本を読むこと自体が苦痛になり、さらには嫌厭さえするようになるなんて。

最近は本を読んでいる時間が一番の至福

長らく「読書」と敵対してしまった私が再び本を読む楽しさを知ったきっかけは、とある雑誌でした。本を借りることはないものの、転職準備や資格の勉強をするために自習ブースを利用しようと図書館にはよく通っていました。

休憩がてらたまには雑誌でも見てみようと、書籍情報などが載っている雑誌を手に取りパラパラめくっていると、ある女優さんが最近読んだおすすめの一冊を紹介している企画ページが目に留まりました。そこで紹介していた作品は私も好きな作家さんの新作。

その作家さんの作品に登場する主人公は、大抵かなりの奇人で自分と世間とのギャップにもがいている。そしてその作家さんの紡ぐ文章は、いつも私の中に渦巻く言語化できないモヤモヤを気持ち良いくらい的確な言葉で表現している。

「読んでみたいなあ」という考えがうっすら浮かび、図書館で貸し出ししていないか探してみたところあるではないか。

読了できる自信はありませんでしたが、「この作品を読みたい」と思うなんて本当に久しぶりの出来事で舞い上がってしまい借りてみることに。

最初はやっぱりうまく文字を追えないこともありましたが、それでも当たり前に読書を楽しんでいた頃のように文章を読むのにあわせて頭の中に映像が広がっていく。

(私は読書をする時、ストーリーを頭の中で映像として展開したり実写化した場合のキャストを自分なりに考えながら読み進めるのが癖です)

(そして、面白いと感じる作品の時は脳内での映像化がスムーズで、そうでない時は今一つうまくいかないので、自分の好みか否かのバロメーターにもなっています)

何よりも主人公のキャラクターが愛おしい。どれだけ時間がかかってもこの主人公の動向を最後まで見届けなければ!という思いに駆られ、自然と読書をする時間が増えていきました。

結局、延長しても貸出期間内に読み切ることはできなかったので、これまた近所にある古本屋で見つけ出し、1冊読むのに2ヶ月程度の時間を費やしてしまったものの無事久しぶりに読了することができました。

うつ病を発症してからこんなに読み進めるのが楽しいと感じるのは初めてで、終盤は早く本が読みたくて朝起きられるようになったくらいでした。


その後、何冊か図書館で本を借り読破できた作品もあれば、自分の好みと合わず途中離脱してしまった作品もありました。

年末に借りた本は、初めて名前を知る作家さんの作品で表紙の雰囲気で借りたものでしたがとても面白くて、冒険して新しい作品に出合う喜びを思い出させてくれました。


今日は本棚を巡る中で、読んでみたいと思う作品が何冊もありました。本を選ぶって本当にワクワクするし、読書を通して架空の人間の人生(もしかしたらこの世のどこかに似た人生を歩んでいる人がいるのかも…?なんて考えたりも)を覗き見るのも楽しい。


自分の日常に再び読書をする習慣が戻ってきたことを大切にしながら、一つでも多くの作品とこれからまた出合っていきたいです!

いいなと思ったら応援しよう!