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時代の流れに逆らって

1 私は暑い夏も寒い冬も嫌いである。

 ・・・と、書いてしまうと駄々っ子のようだが、少し前まで冬はそれほど嫌いではなかった。

 数年前に喘息の症状が出てからと言うもの、冬になると風邪やインフルを始めとする気管支炎に対する抵抗力がめっきり衰えた気がする。

 「服用しても、オリンピックでメダルを剥奪される事はない」という医者の言葉に説得されて、(喘息の治療として)ステロイド吸引を毎日続けてはいるものの、効果を実感できないでいる。

 この冬は例年と比較してもかなり寒く感じるが、そのせいだろう。
 12月頭に風邪を引いてから、ずっと調子が今一つで、年末年始はインフルに罹って10日寝込む羽目になってしまった。

 今年の年末年始は、ウチの道場からプロのMMAファイターになった子が2人も帰って来て、彼等と食事をしたり、グラップリングのスパーリングをしてタップを取られる予定だったのが全部キャンセルになってしまったので、それが本当に残念でならない。

 インフルは、道場で伝染されたようなので、恨み節のひとつも言いたくなるが、喘息持ちにも関わらず、ワクチン接種を怠った我が身の不用心を戒めるとしよう。

2 さて、「タイパ」とか「コスパ」とかいう言葉が登場して久しいが、若い頃の私も「最小限の努力で、最大の結果を出す」のが賢い事だと「勘違いしていた」。

 大学に入学した際に、周りの同級生(の半分くらいだろうか)達は、どうやら「努力するのを当たり前」と思っているらしいと気付いた時には、本当に驚いた。

 当時の私は、努力が本当に苦手だった・・・「努力がカッコ悪い」と思っていたわけではい・・・ので、努力を当たり前のモノとして習慣化・身体化している彼ら彼女らが本当に羨ましかった。

 私の場合、大学受験までテストは要領だけで、いつもギリギリクリアして来ていたから、努力する習慣はおろか、努力の仕方がよく分からず、今日までその事でずっと苦労している。

 努力を習慣化・身体化した同級生達の中から、イーロン・マスクのような超金持ちとか、メディアに出て有名人になるような人は(今のところ)出ていないが、それでも皆人生を大過無く着実に歩んでいると聞くと、やはり成功の必要条件は、日々の努力の積み重ねなのだろうと思う。

 話の筋が分かりにくくて恐縮だが、「最小限の努力で、最大の結果を出す」のが賢いと思っていた昔の私は愚かで、目の前のタスクをどれほど効率よく消化する事が出来たとしても、そうした努力を続ける事が出来なければ成功は困難だという世の中の真実が全く分かっていなかった。

 私はタスクをこなす要領は多少良かったのかもしれないが、人生を良く生きるという意味での要領は持ち合わせていなかったという事である。

3 人生を良く生きる(何も世俗的な成功に限った話ではない)という意味では、「タイパ」という考え方はあまり有益ではない気がする。

 今「タイパ」重視で生きている(と思っている)若い人達は、効率的に時間をやり繰りして、余った時間を何に使っているのだろう?
 少なくとも私は、若い頃に課題を要領よくこなして浮いた時間を、本を読むのに使えば良かったと心底後悔している。

 正月休みで帰って来た子のひとりは、去年新人王にあたるタイトルを獲ったが、正月も関係なく、こちらにいる間は、朝・晩2部練を毎日続けていた。

 昼に、地元の級友達と旧交を温める時間を作っていたそうだから、時間の使い方は上手いと感じたのだが、それでもやはり積み上げた努力は裏切らないという点は、その対象が学問であれ、格闘技であれ、変わらないのだろう。

 つまり、人生を良く生きるためには、「タイパ」を気にせず、目の前の課題にひたむきに取り組み続けられる姿勢こそが大切だという事を、彼の姿を見ていて改めて感じたのである。

 確かに、「努力するのも一種の才能」かもしれない。

 彼もそうだし、大学時代の私の同級生達の多くは、努力の才能があり、私にはそれが無かったという見方も可能である。

 ただ、少なくとも自分の場合、今振り返って見ると・・・それが子供の時の私にどれだけ実現可能だったか?は分からないが・・・努力をする習慣を身に付ける事の大切さを知り、もっと人生を自覚的に生きるべきだったと思う。

 残念ながら、既に過ぎ去ってしまった時間は帰っては来ない。

 私が努力する才能を持ち合わせていないにしても、それは今何も努力しない事を正当化する言い訳にはならないので、今日出来る事を出来る範囲で続けていくしかあるまい。

 そう思って、まずは10日間で落ちた体力を少しでも戻すべく、朝起きてすぐジョン・ダナハーの「ソロドリル」を再開するところから新年をスタートした。
 
 今年もよろしくお願いします。

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藤田 正和
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