藤田 正和
2024年後半に執筆した記事をまとめたモノです。
ブラジリアン柔術の各種テクニックについて、クラス用に作成したメニューを文章化した記事を集めています
ヘンリー・エイキンスの技術について紹介した記事をまとめたモノです。
私は道場経営者ではありませんが、そのお手伝いをする中で見えた「道場経営のヒント」となる記事をまとめています。
読んだ本に対する雑感を書き留めたモノです。
1 有難い事に、いつも私の書いたモノを読んで下さっている方から、上の記事にサポートを頂いた。 そのお礼も兼ねて、本稿では「武道」について、私が考えている事をもう少し掘り下げて書いてみたい。 冒頭に掲載した記事の骨子をまとめると、次の3つに集約される。 ①「武道の本質」は暴力にあり、「武道」それ自体は善悪の観念とは別次元の存在である。 ②そして、「武道」の稽古を通して体得した「武力」は、それを用いる人によって善にも悪にもなり得る。 ③だからこそ、「武道」の暴
1 どのような格闘技であれ、一度でも試合のセコンドをした経験のある人ならば、身をもって「セコンドは疲れる」という事がお分かり頂けるのではないかと思う。 真面目にセコンドをしようと思うなら、競技者本人と同程度の緊張感と集中力を持って、まず試合を見なければならない。 それだけでも疲れる。 その上さらに、試合の展開に応じて、競技者に対して適宜的確なアドバイスをしなければならないとなると、不可能を要求するに等しい。 選手が悪いポジションを取られた時に、「焦らなくていい
1 ネットニュースでも取り上げられているので、この一件をご存じの方もおられるだろう。 この動画(作成者)が訴えているメッセージは、次の3つである。 ①武道とは何でしょうか? ②背中向けている相手を攻撃しろと指示を出すセコンド ③後遺症が残ったら誰が責任取るんですか? ①②③は、それぞれ独立した問題であり、相互に直接関連しているわけではない。 まず、③について簡単に触れる。 スパーリングや試合中に発生した怪我については、怪我をさせた行為が「ルールを守っている
はじめに 「プレッシャーパス」という言葉がある。 ブラジリアン柔術の稽古を始めた頃、「プレッシャーパス」とは一体いかなる「パスガード」テクニックなのか?という疑問を抱いていた。 それが特定の「パスガード」テクニックを指しているのではなく、相手に圧力をかけて「パスガード」するテクニックを総称して「プレッシャーパス」という呼び名が付いていると知ったのは、比較的最近の事になる。 「プレッシャーパス」とは何か?を理解する上で、重要なヒントとなるのが次の画像である。
1 クラス終了後、毎回のように道場に残った会員さんとテクニックドリルを続けているのだが、先日ある会員さんから次のような質問を受けた。 「藤田さんはワインが好きだと伺いましたが、ワインの何がそんなに楽しいのですか?」と。 今ウチの道場にいる(若い)会員さん達は、ほぼ全員酒を飲まない。 だから、道場として飲み会をする事はないし、何人かで一緒に焼肉を食べに行くと、彼等は決まってハイボールを注文している。 私は蒸留酒が苦手なのでハイボールをあまり飲めないが、安定した
1 あるべき道場の理念として「先輩が後輩を教え導く」という考え方がある。 残念ながら、そうした考えは理想論に過ぎないと思う。 私が稽古している柔術に限らず、そもそも習い事全般(格闘技だけでなく、英会話教室や学習塾等も等しく含まれる)において、生徒は「先生に対して」月謝を払う(これに対して、先生は生徒に対して教育やインストラクションというサービスを提供する)義務のみを負っている。 生徒は、(柔術を例に取れば)道場に「自分の練習をする」ために来ているのであって、「他の
1 イエメンのフーシ派が、紅海やアラビア海を航行する船舶を攻撃しているらしい。 残念ながら私は、自己の経験の延長線上でしか想像力を働かせることが出来ないので、そうした記事を新聞で読んでも、「へぇ~」という感想を抱く程度たった。 しかしながら、フーシ派のせいでヨーロッパからの船便が(スエズ運河を避けて)喜望峰周りの航路を余儀なくされた結果(1週間くらい余計な航行日数が掛かるらしい)、船賃が上昇し、それがワイン価格の値上げに繋がっていると聞くと、イエメンの内戦も全くの他人
このページはAmazonアソシエイトの広告を含みます。 1 ChatGPT が公開されてからもうすぐ2年が経過しようとしている。 私の場合、自分の書く文章には人の手による「ぬくもり」とか、筆者の個性を反映したクセが欲しいと考えているので、今後も手書き・・・と言っても、キーボードを叩いているだけなのだが・・・にこだわりたいと思っているが、これだけ世間を騒がせているのだから、何らかの形でChatGPT を執筆に活かせないか?と考えていた。 そこで、ChatGPT に代表
1 もうしばらく休むつもりだったが、読者の方から励ましのメッセージを頂いたので、今日から執筆を再開する事にした。 さて、今回もブラジリアン柔術(BJJ)とPED(身体強化薬)にまつわる話である。 またか・・・と思われる方もいるだろうが、我慢して目を通して頂ければ幸いである。 さて、競技柔術における極めて大きな問題は、ステロイドを始めとするPEDの使用に制限がない事である。 正確には、BJJの競技団体も建前としてはアンチ・ドーピングを謳っているが、実際には(ごく
はじめに この記事でも触れたように、私はある会員さんに頼まれて「レッグロックゲーム」に取り組んでいる。 この会員さんは毎日稽古しているので、長足の進歩を遂げているのだが、それに伴って他の会員さんから、「足関節の逃げ方を教えて下さい」という質問を受けるようになった。 私の個人的意見としては、柔術の稽古をする上で、必ずしも全員が「足関節(の攻防)を覚える必要はない」と考えている(勿論、「足関節をやってはいけない」という意味ではない)。 ただし、「白帯からヒールフック
1 先日、次のような記事を書いた。 そこでは、「現代人は、家庭・地域社会・職場や学校に居場所を失くし、ネットに代表される『第四空間』に逃避せざるを得なくなっている。 『第四空間』に単なる『現実逃避』を超えたもっとポジティブな価値を持たせよう」とする宮台(真司)の言説をベースに、各種サークルやボランティア活動と同じく、柔術道場・・・何も柔術に限った話ではない・・・も稽古に参加する人々に「居場所を与える」事が可能だという意味で、その「第四空間」として有する(ポジティブな)機
1 先日行われたSJJIFの柔術世界選手権について、早川先生が次のようなツィートをされていた。 本稿では、早川先生が提起された問題の中から「一人優勝問題」について取り上げてみたい。 随分と時間が経ってしまったが、以前ある読者の方から頂いたコメントに対する私からの返答も兼ねている。 ブラジリアン柔術(BJJ)の公式試合では、「一人優勝」という事態がしばしば起こる。 BJJの公式試合は、①体重別に9階級(無差別級を加えると10階級)②帯色別(白帯から黒帯まで全部で
1 前回の記事で、オリンピック選手を非難するネット民達は、家族・地域社会・職場のどこにも居場所がない人々なのかもしれないと書いた。 しかしながら、彼ら彼女らの居場所がネットにしかないのだとしても、それは必ずしもネット民達の自己責任とは言い切れない所に問題の難しさがある。 以下は、宮台真司の(ほぼ)受け売りになる。 高度成長期の日本人には、家族・地域社会・職場という3つの世界のどこかに居場所があった。 90年代以降、バブル崩壊やグローバル化に伴って、それら3つの
1 コロナ禍に伴う行動制限が解除されて、はや一年以上が経過した。 現実には、街中でマスクをしている人を未だに見掛けるし、私もパリオリンピック中に新型コロナウィルスの症状が出て苦しんだ。 コロナ禍によって、人々の生活様式が少なからず変化したのは事実だし、「ポスト・コロナ」「アフター・コロナ」と呼ばれる世界では、コロナ禍前と同じ日常が帰ってくるわけではないという事なのだろう。 ただ、少なくとも行動制限を伴うようなコロナ禍から、「ポスト・コロナ」への転換を示す象徴的な出
はじめに 私は、白帯の頃から仕方なく「ハーフガード」を使い始め、今でも漫然と「ハーフガード」を使い続けている。 前回の記事で、最近はある会員さんに頼まれて「レッグロック」に取り組んでいる、と書いた。 彼はMMAファイターなので、私が「ハーフガード」に入ると、問答無用で足を捕りに来る。 「ハーフガードをパスして、サイドコントロールに移行する」というブラジリアン柔術(BJJ)のセオリーが通用しない。 彼とのスパーリングは、単に自分のレッグロック・ディフェンス・
1 現代柔道とブラジリアン柔術(BJJ)の違いのひとつに、「足関節の有無」が挙げられる(注1)。 注1)昔の高専柔道では、「膝十字固め」に代表される足関節が存在したらしいから、「足関節の有無」が両者の本質的な違いとまでは言えないのだが。 BJJに限らず組み技系格闘技の初心者の多くは、足関節に対して「(怪我が)怖い・・・」という印象を持っているだろう。 私もそう思っていたし、実際に足関節で2度怪我をさせられて離脱を余儀なくされたので、今でも怖い。 足関節の怖さの原