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波が私を透り抜ける


立ち尽くし
微動だにせぬ
ほっそりと
水差しのごとき肢体
風撫でぬ水面に
真白な影を
くっきり落とす
女神像のごとく
繁茂する樹林の水際に
緑樹を湛える池の奥に
白鷺1羽
収まっている

静謐を破り
不意に
水面に躍り出た
1羽のカワウ
まっ黒な羽毛から
跳ねる水滴が
瞬時輝く
広々とした池を
いかにも気持ちよさそうに
悠々と泳ぎまわり
また潜り

カワウから波紋が
生まれる
つぎからつぎへ
きらめき
拡がり
膨らみ
幾重もの弧が
池の畔の私に
押し寄せ
透り抜けてゆく
胸の内の仄かな揺らぎ

いのちの波が
私に伝わり
大地に伝わり
宙へ

白鷺は感受している

いのちの波紋
私も
周りへ
送っている
はず

でも
日々の営みのさなかに
交差する波紋を
どれほど見ていることか








   △▼ ▲▽ △▼ ▲▽ △▼ ▲▽

朝夕、わずかに過ごしやすくなりましたが、
昼間は、まだまだ真夏日が多いですね。
みなさん、お元気にお過ごしでしょうか。

今回は、「岩屋観音の来歴」シリーズをお休みして、
自然のいのちと触れ合いました。
気に入った風景に入ると、こんな詩が無性に書きたくなることがあるのです。
夏から秋へと移行しつつあるとき、
こころが多彩に揺さぶられますね。

来週も水曜日か木曜日に更新する予定です。
また見に来てください。
私もみなさんのページを訪ね、楽しみたいと思います。



   ◆◆◆  ◇◇◇  ◆◆◆  ◇◇◇

noteへの投稿から生まれたフォトポエム集です。

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