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風聞き草


寒風に晒されたいと
小川沿いの道を歩いていた
吹きっさらしの
でこぼこ道
人通りのない
忘れられた道
耳たぶにちくちく
擦り付けてくる

どこまで行こうか

岸辺の荻(オギ)の穂の
ぽわっとともす
白い灯りが
大きく手を振るみたいに
いっせいに揺れる
きらっきらっきらっ
川面が応じる

風聞き草に誘われて
干からびた道を
どんどん歩く
内なる私も瞳を開けて
風に耳を澄ます


行く手に
巨大な金属板の羅列が出現した
てらてらてらてら陽を受ける
太陽光パネルだ
この数年の間に設置されたらしい
以前は小屋がぽつんと建つだけの
だだっ広い田畑だったはずだ

その矩形の金属の
おびただしい連なりに出くわし
私は嫌悪を感じた
太陽光発電を否定する考えはない
再生可能エネルギーを推し進めたい
ここに建造された経緯も事情も知らないので
受け容れるかどうかの判断などできないはずだ
私は生理的に拒絶していた

右手には
川がきらきら流れ
荻がしなやかにそよぐ
左手には
てらてら光る
強固な人工物が整列する


この対照的な構図に背を向け
私は戻り始めた

ふわふわの息
ため息
吐息
冷たい風が
体の芯に染み込む

    *「風聞き草」は、荻(オギ)の別名です。










△▼ ▲▽ △▼ ▲▽ △▼ ▲▽


みなさん、こんにちは。
お変わりなくお過ごしですか。

パレスチナ・ガザ地区での停戦が発効されました。
避難していた人々は瓦礫になったガザに戻り始めています。
食料や医療関係の支援物資が一人一人に届くように願っています。

谷川俊太郎の詩とトリオの演奏が魂に響きます。



今回の詩は、
寒い朝、川沿いの道を歩いたときの
体験から生まれました。
数年で、風景はどんどん変わっていきます。
自分が知らない間に。


愛知県と静岡県の境にある、
西から東へと連なる丘陵(弓張山地または湖西連峰)
とその景観、住環境を、
住民無視の高架産業道路建設(二川ルート)から守りたいという活動に、
地味(地道ではなく)に参加しています。

ご興味のある方は、
「浜松湖西豊橋道路を考える会」のホームページを覗いてみてください。
県に提出したメンバーの「意見書」も読んでいただけると、
私たちの思いがあなたに伝わるのではないかと思います。
地域の風景写真なども紹介されています。
よろしければご覧ください。

来週も水曜日か木曜日に更新する予定です。
また見に来てください。
私もみなさんのページを訪ねて、楽しみたいと思います。



   ◆◆◆  ◇◇◇  ◆◆◆  ◇◇◇


noteへの投稿から生まれたフォトポエム集です。

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