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【ネタバレ注意】いっぷん感想 地球にちりばめられて - 多和田葉子

 "駆り立てられる"作品でした。タイトル通り、地球にちりばめられた登場人物たちがひかれ合って、物語が進んでゆく。所々にある言葉遊びのような表現も読んでいて楽しいです。ただ、何か不穏な空気感があるのは、"日本"がもう失われてしまっているから。その国について、それを思い起こさせるような言葉はちらほら出てくるし、詳細が明かされそうになるけど、時代感がなんとも不思議でつかみづらい。だからこそ、日本人である私も、Hirukoやクヌートなど登場人物たちと一緒になって、それについて知りたい、語り合いたいと必死になってしまいました。
 普段話したりする言葉について改めて考えさせられました。人の頭の中は覗けないし、分からないけど、口から出た言葉だったりは、案外その人の考えや過去を物語っていると思います(当たり前のことか...😅)。
 読書の秋のはじまり、素敵な本に出会えて嬉しい。

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