HACCPの帳票の保管方法

HACCPの帳票の保管方法 

「加藤さん、おはようございます」
「店長、おはようございます」
「加藤さんにお願いがあるのですが」
「店長、今日はなんですか」
 ヨコシマスーパーでは、店内に、桜田弁当店をテナントとして入れているのですが、HACCP導入による帳票をどんな風に保管したらいいか、相談があったのです。
 どんな帳票を付けるかは、一度講習会を行ったのですが、毎日の帳票をいつまで、保管したらいいかの相談でした。
 加藤さんは、社長の桜田さんを、訪ね、帳票保管について説明したのです。
 桜田弁当店の消費期限は、当日中なので、次の日まで保管しておけばいいような気がしますが、食中毒の潜伏期間の長いものは、10日から2週間の物もあるので、最低でも、2週間以上の保管が必要になります。また、食材の管理状況は、入荷からではなく、入荷して、使用してから2週間以上なので、直ぐに使い切らない物は、一ヶ月以上の記録が必要になります。
 加藤さんが、帳票として進めていたのは、見開きA3の大学ノートに、毎日見開きで記録することでした。あとは、入荷時の伝票と売上の記録を付けるように進めていたのです。
 大学ノートは、一ヶ月毎に一冊保管すれば良かったので、それほど保管のための場所は取らない仕組みになっていたのです。
 大学ノートは先月分を必ず保管しておくようにしてください、と説明しました。
 しかし、このノートは、異物、虫、お客様の声など、非常に大切な情報が多いので、捨てる事無く、厨房ではなく、社長の自宅に、保管しておくことが、今後の商売の参考になるはずです。
 原材料の仕入伝票、弁当の売り上げ明細については、税法上、保管が必要なので、HACCPに限らず保管が必要と説明しました。
 厨房は、非常に狭かったので、パソコンに経理上のデーターを打ち込んだら、一ヶ月以前の仕入伝票などは、自宅に保管するように伝えました。
 すなわち、お客様から、食中毒などの連絡があったときには、一ヶ月以内の帳票類は、神ベースで、厨房に保管するようにしたのです。
 桜田弁当店の冷蔵庫、室温は、IoTを利用して、パソコンで自働で記録され、異常値があると、ポップアップし、冷蔵庫でパトライトが回る様にしていました。
 温度記録のデーターは、非常に軽い物だったので、一年以上の保管にしました。
 この温度記録は非常に優秀だったので、センサーを更に増やし、室外の気温、湿度も加えたのです。室外の気温と、弁当の売り上げは、関連があるので、今後のメニューを決めるときに参考になったのです。
 売上データーは、ヨコシマスーパーのレジを使用していたので、毎日、アイテム別の売上、値引きの状況を、データーで、飛ばしてもらい、パソコンで見られるようにしていたのです。
  このお弁当の売り上げのデーターを利用して、ご飯の販売量を計算し、米の使用量と合わせ、毎月、米の使用量と、ご飯の販売量を一覧表にし、米の産地偽装をしていないことを、桜田弁当店のホームページにアップしていたのです。
 ホームページには、毎日の弁当の売り上げ状況を載せ、持ち帰り時間を定めた、注文も受けれるようにしました。
 この持ち帰り時間指定のホームページは、評判が良く、スーパーの中に入らずとも、桜田弁当店の裏口に持ち帰り専用の窓を設置すると、ドライブスルーの様に、時間になると、車の横付けの行列が出来るまでになってきたのです。
 暑い夏になると、車から直接受け渡しが出来る様に、窓の改良を行った所、更に売上が伸びたのです。
 ホームページからの注文があると、自動的に、取りに来られる時間と、弁当の内容が、印刷されて出てくるようにしたのです。ファックスを受信するように、プリンターから自働で、注文が出てくるのです。この紙を見て、弁当を作り、その紙を弁当に貼って、紙に印刷されている、QRコードをスキャンすると、自働でレジが操作されるような仕組みにしたのです。
 弁当を詰める、仕込むときに、パソコンのキーボードを触らなくても、操作できるような仕組みにしたのです。
 冷蔵庫の温度記録も、ボールペンで帳票に記録する必要が無い環境にしました。
 ホームページからの注文も、パソコンのキーボードを触ることなく、受注出来る様にしたのです。
 レジも、ヨコシマスーパーのレジで弁当一つ一つスキャンする物と、QRコードでまとめてスキャンする仕組みにしたところ、専用窓口の精算のスピードが非常に速いと、評判になったのです。支払いも、ICカードで支払えば、数秒の時間で出来る様になったのです。
 受け取りミスを防ぐために、注文時点でQRコードがスマホ上に現れるようにし、そのQRコードと弁当に添付したQRコードを比較することで、この仕組みを入れてからは、受け渡しミスも無くなったのです。
 レジの時間を短くする、注文から受け渡しまでの時間を短くする、このお客様の時間を大切にする行為が、桜田弁当店の売り上げを結果として増やしていたのです。
 HACCPの帳票管理から始めた、DXの仕組みが、結果として、お客様の評判を上げることにつながったのです。

あくまでも架空のお話です。

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