アーユルヴェーダ・リトリート in スリランカ 12
フロントでこの日の午後、半日観光を入れることができないかと相談してみる。
すると、半日観光は行きに1時間、帰りに1時間かかり、現地で1時間過ごすとしても、最低でも3時間必要だという。余裕をみれば4時間で考えたほうがいいだろう。
しかも私たちはこの日、帰国しなくてはならない。万が一があっては困る。
するとスタッフが、ホテルからの空港送迎ではなく、ツアーで空港まで送迎してもらうのはどうか、と提案してくれる。確かにそのほうが時間に無駄がない。そのプランならば、早めにお昼を食べて、12時半フロント集合で間に合うという。
夫の意向も聞かなければならないので、部屋に帰って相談すると、私が何度も観光参加を模索していたことを知っているので、一緒に観光に参加してもよいという。
そこで急遽大急ぎで帰国用にスーツケースを荷造りし、大急ぎで昼食を取り(昼もバイキングだったが夫は節制していた)、チェックアウトして12時半に迎えに来た観光の車に、荷物とともに乗り込んだ。ホンダのセダンタイプの車だ。スリランカでも日本車の割合は圧倒的に多い(トヨタとスズキが特に多かった)。
この日向かったのはタンバデニアというところの、13世紀に建てられたという仏教寺院だ。
寺院敷地内では、屋外でも靴を脱ぐようにと言われた。靴下が砂だらけになるのも嫌なので、私は現地の人を見習って裸足になったら、足が焼けそうに熱くて閉口した。夫が、靴下を履いていたほうが熱さがマシだと言うので、私はそそくさと靴下を履く。
普段は案内してくれる女性がいるようなのだが、この日はいないらしく、代わりに男性が、簡単に英語で説明してくれる。昔、ここに王朝があったらしく、これはその時に建立された寺で、建物の一部には、当時のフレスコ画が残っていた。その建物の中には、仏像が安置されていた。
そして別の建物の中には、現代的な仏の、巨大な涅槃像と立像が安置されていた。
スリランカは、仏教徒の割合が約7割と、最も多いらしい。スリランカの仏教は、偶像崇拝というか、あちこちに仏像が設置されている。例えば、滞在していた施設の、ヨガをやったスペースの中央のところにも仏像があったし(その左隣にはガネーシャの像もあったが)、ドクターの問診部屋の脇の屋外にも、石像が安置されて、花が供えられていた。
もっとも、ツアーのドライバーにあなたは仏教徒か、と尋ねてみたところ、カソリックだと言われて拍子抜けしたが。
寺の見学の最後の方に、ようやくいつも案内しているという女性がやってきて、やたら張り切って説明してくれた。たいして大きい寺ではないのだが、その割には見どころが多かった。
次に、展望が開けた高台があるところに連れていかれた。今度はドライバーが頂上まで案内してくれるという。ここにも野良犬が多く、ものすごい小さな野良犬も複数いた。
この日は、おそらく滞在した中でいちばん暑いのではないかと思う日で、34度くらいあったらしい。寺院見学の時にも滝のように汗が出た。だから、少しだけ登ったところで、高台に到着するにはあとどのくらい登るのか、私は早めに尋ねてみた。すると、まだまだ登らないと到着しないという。
太めの夫が、酷暑の岡登りを嫌がるのではないかと思い、聞いてみると、やはり敬遠した。そこで、傷が浅いうちにあきらめて、引き返すことにした。おそらく私一人だったら、暑くても上まで登っただろうが、物事には時として妥協も必要だ。
途中、ニゴンボの街で、アーユルヴェーダの薬局などにも案内してもらったが、いわゆる薬局で、薬草なども無造作に置いてあった。素敵なものが売っている、みたいな雰囲気の場所ではないので、早々に退散して空港に向かってもらった。(13に続く)