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寅子さんで思い出すお母さんの買い物籠🥕

朝ドラの「虎に翼」で、主人公の寅子さんは、勤務先に、仕事用の鞄の他に買い物籠を持って出勤します。私は、その買い物籠をとても懐かしく思って見ています。
わざわざ買い物籠を持って出勤するのは、魚屋さんや八百屋さんで買い物をして帰るためなんですね。
昔の買い物には、買い物籠が必需品でした。

寅子さんと同じ世代なのは、私の祖母ですが、
私が幼い頃は、母も買い物籠を持ってお使いに出かけていました。左腕を直角に曲げて、肘と手の間あたりにすっと提げるスタイルです。
私は、それにとても憧れていました。

友達の家に遊びに行くと、友達のお母さんのマイ買い物籠が台所にさりげなく置かれていて、あのお母さんはこういう柄が好きなんだななんて思って、
私だったらどういうのがいいかなと、絵を描いてみたりしていました。

夕暮れ時に、母の買い物について行くと、お店屋さんと親しく話して、旬のものを勧められたり、献立を相談したりしていて、他のお客さんとも笑い合って、なんだかとても楽しそうでした。紙にくるまれた食材を手際よく買い物籠に入れるのも、大きな野菜が籠から顔を覗かせているのも、さあ、ご飯にしようかという気合いみたいなものが感じられて好きでした。

買い物籠を提げた社交的なお母さん達の、テキパキしながらも和やかな雰囲気が、私が最初に憧れた大人の姿なのかもしれません。
近所にスーパーが出来て、今で言うレジ袋に買ったものを入れて帰ればいいということになり、買い物籠は役目を終えました。私は、がっかりして、将来というのは、思った通りにはならないんだなということを一つ学んだ感じがしました。

当時のお母さん達は大変だったなぁと思うのは、時代と共に家庭料理で求められるメニューが変わり、自分達が子供の頃には見たこともなかった、ハンバーグや、スパゲッティーや、シチューや、グラタンや、餃子などを一生懸命覚えて作っていたことです。料理番組をメモをとりながら見て、頑張って挑戦していたようです。料理番組を制作する側も、初めて作る人達のために様々な工夫をされていたそうです。

子供達が自宅で誕生日会を開いて、友達を招き合うというのも、その頃の流行りでしたが、そこで、初めて見るメニューが出されると、皆んな大喜びでした。
後でお母さん同士で作り方を教え合ったりして、レパートリーをどんどん増やしていたようです。
食材も調味料も限られている中で、家族が喜ぶものを一生懸命作ってくれていたのだと、私が気づいたのは、ずいぶん大人になってからのことです。

今では、調味料の種類も増え、レトルトも冷凍食品も本当に美味しいものがたくさん、スーパーに並んでいます。ネットで注文して、美味しくて身体に良い冷凍のお惣菜やお弁当まで手に入るようにもなりました。

買い物に出かけなくても、どんな立場の人でも、美味しくて健康的な食事が出来るような工夫がされているんですね。食品の開発者や研究者のご苦労をテレビなどで見かけると、ありがたいなぁとつくづく思います。

昔のように毎日家族で食卓を囲むことが当たり前ではなくなり、作るのはお母さんという決めつけもなくなりました。それでも私達は、時間がなくても、一人でも、疲れていても、とにかく美味しいものを食べて元気になろうとします。そして、それぞれの都合に合った美味しいものをちゃんと食べることが出来て、本当に力が湧いてきたり、ホッとしたりするのです。
それは、あの買い物籠を提げたお母さん達が、昔ながらの和食も、初めて食べる洋食も中華も、一生懸命に覚えて作って、美味しいものの記憶を今に繋げてくれたからなのでしょう。

将来は、思い通りにならないものかもしれません。それでも、どうか皆んなが、何処にいても何をしていても、幾つになっても、美味しいものを美味しく食べていける毎日でありますように。🍮






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