野良学芸員が「江口寿史展」 に行きました①
芦花公園にある世田谷文学館。現在ここで漫画家江口寿史の原画展が開かれています。
私は「爆発ディナーショウ」が好きで好きで覚えるほど読んでいましたし、そこからさかのぼって過去作も、当然新作も、江口さんはそれほど多作でないからほぼ全部読んでいるのでは?
ありまさの常連さんからも「素晴らしかったですよ!」という情報を頂いており、絶対行くつもりではいました。
とはいえ、しかし、芦花公園はちょっと出かけるのに面倒な場所で…(すみません、私にとっては、です)
来年までやってるし…
などと思っていたら、ある夜、暖簾をしまって片付けをしていたところに突然扉をドンドン叩く人が…
「スミマセン!! スミマセン!! 」
あらあら、アクセントからして外国の方かしら?
もう閉店しましたよ、と言おうとして扉を開けたら
「Bくん!!」
台南のBくんが目の前に!
来日するなんて聞いていなかったので驚きました。今回はアジアプロ野球チャンピオンシップ2023を観に来たそうで、
「ケンヤさんの好きなCD見つけました。あげます!!」
え、そのためにわざわざ…。
どうもありがとう(´;ω;`)ウゥゥ
彼は日本の漫画が大好きで(前回はスラムダンクの聖地、こち亀ゲームぱ~く、藤子F不二雄ミュージアム)、その日は頭文字Dで描かれている道路をレンタカーで走ってきたとのこと。運転を頑張ったけれど、開店中に間に合わなかった…と謝っています。
というわけで、翌日、そんな漫画好きの彼と芦花公園で待ち合わせたのでした(野球はその翌日から)。
電車の中から、すでにワクワクが止まりません…(≧▽≦)!!
以前「キュビズム展」の記事でも書きましたが、私は以前は美術館で働いていたものの、現在はどこにも所属していない野良学芸員。
野良の良さ(?)を活かして、今回も自由に、無責任に、とことこと歩き回って考えて、愉しみたいと思います。
待ち合わせ場所に行ったら、Bくんは遅れるとのことでお友達のSさんが(彼も台湾人)。3人で会場に入ります。動画はNG。写真は基本OK(一部撮影不可のものがあるので注意して下さい)。
ちなみにこの企画展の英語・中国語パンフレットはありません(文学館の基本的な施設案内は外国語パンフがあります)。でもまあ、最近はスマホがあれば簡単な翻訳なら無問題。
チケットを切ってもらって…
あ、会場に流れているのは「硝子の少年」山下バージョンですね。
とにかくものすごい量の原画なので、そして一枚一枚が見応えがあるので
途中から「自分の体力の電池切れ」が心配になるくらいです。
「月刊カドカワ」のイラストもある、懐かしいなあ…。月カドは一時期よく買っていました。人物特集とか、すごく充実していましたよね。
ところで…
展示を見ながら…
私は以前から「江口寿史に関する大きな疑問」を抱いていたのを思い出しました。
私は子供の頃から、ものすごく下手なイラストを描くという趣味というか衝動があるのですが(描いても描いても上手くならないという罰ゲームみたいな習性)
下手なりに
「真似したくなる漫画(アニメ含む)と真似したくない漫画(アニメ含む)
があって、どうして江口寿史はまあまあ真似したくなるんだろう?」
と不思議だったのです。
「私事すぎて読む気にならん、一人で考えてろ!」
と怒らず、もう少しお付き合いください(でもそう思うのも当然ですよね、すみません)。
例を挙げますと…
大友克洋とか鳥山明、真似したくなりますか?
私は真似しません。
もう人生を何回やり直そうが、あのうまさにはたどり着けないだろう…という超絶技巧の絵は拝みこそすれ、なぞらない。真似したいという衝動すら生まれない。
漫画の神様、手塚治虫もそうです。すごく可愛いし、カッコいいけれど、人間の光の部分も闇の部分も描き切れるすごい作家で心からリスペクトしているけれど…
ディズニー由来のどこかスキのない曲線のせいでしょうか?
なぜか入りこめない。
で、江口寿史。
江口寿史はなぜか真似したくなる。
すごく上手いのに…。
なんでだろう…?? ☜これが以前からの疑問
今回この展示を見て、
「ああ!! だからなんですねっっ」
という私なりの答えが見つかったので、次回はそこについて書きたいと思います。