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出不精旅日記(台湾) 2024.12.2 潮州から台南へ 言葉は何のためにあるの?
潮州のホステル、レベッカの朝。
昨夜、自転車で転んでひざや手の甲を擦りむいたので
「あ、痛っ…アイタタタ…」
と言いながらシャワーを浴び、ベランダで一休み。
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台北は沖縄と同じ「亜熱帯」で冬場は寒いこともありますが、ここ潮州は「熱帯」です。
朝の爽やかな風に吹かれ、心が落ち着いてきました。
切り傷やあざのある部分の痛みが気になりますが、病院に行くほどではありません。
昨夜は私の「夜の自転車は嫌だ」という気持ちをスルーし続けた夫に対しての怒りで少々ぴりっとしましたが、それを引きずっても良いことはなさそう…。
夫にしても妻があやうくバイクに轢かれそうになったのですから、教訓は得たはずです。
よし、私もここで気持を切り替えよう。
引き続き夫から風邪をうつされないように気を付けつつ、明るい気持ちで旅を続けよう!
夫も起きて来て1階でコーヒーを飲んでいると、Jさんがサンドイッチを届けてくれました。
このホステル、通常の朝食は近所のレストランで使える食券を貰ってそこで頂くのですが(前回はそうでした)今日はそのレストランが休みだから、別の店で買ってきて下さったとのこと。
一緒にコーヒーを飲みつつお話します。
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お肉がちょっと甘いのが台湾風。
Jさんは60歳。もうすぐ定年で会社に行かなくなるので、そうしたらこのホステル経営に集中するとのこと。今はこちらが副業なんですね。
彼は英語が堪能なので(息子さんはアメリカに留学中)、私には英語、夫には中国語と使い分けてくれます。
面倒をかけてごめんなさい。私が中国語を学ぶか、夫が英語を勉強すればいいのに…(台湾に頻繁に来るのだから、私が中国語を習得すべき)。
それでも言葉でのコミュニケーションができると、旅は本当に楽しくなります。
Jさんは
「このホステルをもっと良くしたいんだ」
「定年したら日本語をはじめようかな」
「潮州をもっと多くの人に知ってほしい」
と、様々な方面にとても前向き。台湾をめぐる政治情勢には不安もあるけれど、一つ一つできることをしていかないと!! と。
年齢的に私達の少し先を行く先輩の堅実で具体的な計画、冷静かつポジティブな姿勢にはとても励まされます。
「本当はこの前みたいに駅まで車で駅まで送りたいけど、今日は外せない仕事があって、申し訳ないね」
全く構いませんよ。そもそもここは駅からそんなに遠くないのだし…。
Jさんとお別れし、部屋で11時まで休み、チェックアウト。
駅まで歩き、電車で台南に向かいます。
今日も天気が良くて、暑いくらい。
車窓の風景も楽しいです。
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岡山といえば、田中先生…(日本の岡山だけど)。
先生、お元気ですか(^▽^)/
店の壁の「漆喰(しっくい)」を売って下さり、塗り方も教えてくれたロハスウォールさんも本社は岡山でした(日本の…ですが)。
電車移動中はこうして日本のお客様に思いを馳せたり、いつもは連絡できない友達にメールしたり、ライターの仕事をしたり、読書したり…天国のような時間です。
台南駅につきました。
もう何回目でしょうか。なんだか懐かしい気持ちにすらなります。
歩いていつものLento Hostelへ。
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猫店長のAfeに挨拶し、部屋に荷物を置き、お昼を食べに出かけます。
「なんか、豚足を食べたい気持ちなんだ」
なぜ豚足? 多分私は一生そういう気持ちにはならないだろうな…と思いつつ、豚足のあるお店探し。
いつも通り、ネットやガイドブックの情報よりも「地元の人で賑わっているかどうか」を重視して選んだお店がこちら。
※ごめんなさい、店名はのちほど…
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美味しかったです!!
私の胃腸に「豚足と白米」は重かったので、お粥(写真の一番奥)とキュウリを頂きました。
ジューススタンドで搾りたての苺ジュースを買い、飲みながらお散歩。
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実は、以前これにも乗りました(笑)。
その時は昼だったからなんとかなりましたが…
お散歩したら部屋で一休み。
「頭痛い…」
「薬飲んだ?」
「飲んだけどまだ痛い…」
薬だって「飲んだらきちんと休んでくれよっ」と思っているでしょう。
こう動き回っていたら、効くものも効きません。
「とにかく暖かくして、寝て!!」
「りょーかい…」
うとうとしていたら、日も暮れていました。
「お腹空いた、この前行った美味しい店に行こうよ」
あのお兄さんが一人でやってるところですね。
風邪でも食欲は衰えないのだな…と感心しつつ、歩いて10分ほどの店へ。
「ごめんね、もうラストオーダー過ぎちゃった」
「いいんだよ! 仕方ないよ」
あと少しで閉店だね。疲れが出る時間帯だけど、頑張れっ!!
国境を越えた飲食店経営者同士の連帯を感じつつ…
「大丈夫、台南はまだまだ候補があるよ」
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しかしこの人、体調は大丈夫なんでしょうか…
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遅くまで開いている、地元の人達で賑わっているお店がありました。
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どれもすごく美味しいです。
とくにスープは、旅も後半でじわじわと疲れを感じている体にしみわたります。
夫はこれにご飯も追加。
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まだまだお客さんがいますね。
台南にいらしたら、ぜひ!
ホステルまでの道も、ゆっくり味わいます。
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さあ、Lentoにつきました。部屋で休みましょう。
「えっ、まだ寝ないよ。俺はBくんと話すよ」
「あなたは風邪ですよ」
「何のために来たんだよ。俺はBと話したいんだよ」
「………」
私は黙って一人で部屋に戻り(3階です)、新しいマスクを掴んで再び一階へ。
二人は早くも向かい合って音楽の話で盛り上がっています。
私は夫にマスクを渡し、夫の方だけ見て
「絶対つけろ、今つけろ、調子に乗って外したら承知しねえぞコラ。
あと万が一にも24時回ったら部屋に入れねーからな (# ゚Д゚)」
という「目つき」をして、夫が小さく頷いたのを確認して、再び部屋に。
私の心の中で、潮州で一旦おさまった怒りの炎が再燃していました。
彼は自分の風邪についてどう思っているんだろう…(多分何も考えていない)。
台北でも友達と会う予定なのに…(彼女たちに感染させたくない)。
日本に帰ったらすぐに仕事なのに…(お客様にも感染させたくない。というか、風邪がひどかったら開店できない。飲食店は1日暖簾が上がらないだけでもかなりの痛手なのに。まして今回は長い休みをとって台湾に来ていて、その間は無収入。今月はただでさえ大赤字なのに…。既に予約だって頂いているのに…)。
それらに加えて、私がこのところずーっと感染を恐れて用心し続けている苦労についても分かっているのだろうか?(いや、分っていない)
狭い部屋で咳の直撃を受けないように体を傾けて寝ているから、既に肩こりがひどい(ヨガのポーズをとってもなおらない)。
彼は寝ているとすぐに布団をはぐから布団をかけなおさないといけないし(絶対気づいていない)、エアコンをつけっぱなしにするから寝入ったら消さないとだし(寝ててほしいから起きなくていいのだけれど、だから当然ながら気づいていない)。
乾燥対策をして、緑茶うがいをこまめにして…通常ならしなくていい仕事が増えて大変なんだからっっ!!
っていうか、もともと私は一介のライターなんだよ。
巻き込まれて蕎麦屋で働いているのに、どうして私ばかりがこんなに経営のことを考えているのか (# ゚Д゚)!!
怒りで頭がカッカし、考えが散らかりはじめました。
このまま怒り散らかすと、収集がつかなくなりそうです。
持参したノンカフェインのお茶をいれます(夜に緑茶だと眠れなくなるので…)。
( ^^) _旦~~
私よ、とりあえず一息つけ…。
o口(・ω・`)ゴクゴク
暖かいものが喉を通ったら、不思議なもので少し落ち着いてきました。
いやまあ…そうなのです。
実は夫の気持ちも分からないではない。
もともと私達が台湾にはまったきっかけはBくんの優しさでした。
夫はBくんに「ありがとう」を言いたくて中国語を勉強しはじめ、隔週で個人教授にも通い、仕事中は単語をつぶやき、仕事のあとで疲れていてもテレビ講座やYouTubeのレッスンを視聴し…努力を積み重ねていました。
彼と、Bくんと仲良くなりたい!!
その一心だったのです。
彼が日本に来たらあちこち案内してやりたい、美味しいものを食べさせたい。そして日本や日本食についての説明は中国語でしたい。
そのモチベーションそのものが目の前にいたら…当然お話したいですよね。
…まあ仕方ないか…Bくんの迷惑でないといいけれど…。
私は長年言葉を使う仕事をさせて頂いていますが、実は日本語ネイティブかというと、そうとも言い切れない生い立ちです。
詳しくはこちらに書きましたが、
つまり外国語のしゃべれない帰国子女(日本に帰国してからの壮絶ないじめで言語障害を起こし、フランス語がしゃべれなくなりました。で、そこから日本語を習得しはじめたのです)。
ですから言葉の可能性、不可能性、常にいろいろと考えてしまいます。
どんなに言葉を尽くしても伝わらないことは沢山あるし、ここ数日の私と夫のやりとりからも分かる通り、他者は聞きたいことしか聞かないし、読み取りたいことしか読み取らない。
だとするとコミュニケーションにおける言葉の役割って何なのかしら?
言葉は何のためにあるのかしら…?
でも夫とBくんを見ていると、夫の中国語をベースにGoogle翻訳や、筆談や、Bくんが最近はじめた日本語や、イラストやいろいろなものを駆使してのやりとりを見ていると…
そうか…!
言葉は愛を伝えるためにあるんだ…!!
他にもいろいろと役割があるにせよ、言葉にはそういうシンプルな力強い役目があって、だからこそ人は言葉を使い続けるし、言葉に苦労し続ける。
楽しく、自ら進んで苦労する。
まあ、そんな二人だから、仕方ないか…。
私は話すのはあまり得意ではないので「書く」し、
免疫力を下げないために今は寝ますけどね。
24時ちょっと前に夫は
「楽しかった~!(≧▽≦)!」
と戻って来て、
「いいからとっとと寝ろやボケ (# ゚Д゚)!!」
という私の一瞥に恐れをなして眠りにつきました。
Jさんとの会話、Bくんとの会話、外国語をもっともっと勉強したくなった一日が終わろうとしていました。
(つづく)
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