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【P3R一周年】令和にペルソナ3の映画を見た感想
2013〜2016年に渡って上映されたペルソナ3の映画の感想を書いた記事になります。
はじめに
(本記事執筆時の)本日2月2日はペルソナ3リロード発売から一周年ということで(早すぎる)、それに合わせてペルソナ3の映画を全作品鑑賞しました。その感想記事になります。
当ブログはゲームレビューを投稿するブログですが、今回のようなゲーム関連作品の感想レビューも行なっていきたいと思います。
記事の性質上、当映画やゲーム本編のネタバレ全開になっております。
基本的に画像はありませんのでご了承ください。
今回はメモ形式(箇条書き)で書き残します。
作品概要
『PERSONA3 THE MOVIE』(ペルソナスリー・ザ・ムービー)のタイトルで四部作に分かれており、1作目「#1 Spring of Birth」は2013年11月23日に公開。2作目「#2 Midsummer Knight's Dream」は2014年6月7日に公開。3作目「#3 Falling Down」は2015年4月4日に公開。4作目「#4 Winter of Rebirth」は2016年1月23日に公開。
2012年6月に行われた『ペルソナ4』のテレビアニメ版『Persona4 the ANIMATION』のイベント上映のエンディング終了後、本作の映画化が発表された。発表当初の公式サイトに出ている情報と言えるものはTwitterアカウントのみであり、満月の日にはゲームの設定における影時間に合わせてイベント上映後に放映された動画が公開されている。また、阪神電鉄と神戸新交通から本作の公開を記念して記念乗車券の発売された。男性主人公の「結城理(ゆうき まこと)」という名前が設定されている。
#1 Spring of Birth
・まず驚いたのは戦闘シーンですかね。映画とはいえ10年も前になるので、作画が劣る部分もありましたが、全体的に丁寧に描かれていた印象です。
シャドウの恐ろしさ(禍々しさ)も上手く表現できていました。ワイルドの導入シーンも戦いの中でドラマティックに描かれていました。
・今作は主人公である結城にもキャラクター性が存在するのですが、原作以上に他者を寄せ付けないヤバい奴になってて笑った。そんな彼に感情が芽生えるまでの段階が良く描かれていた印象。反面、順平がジェラシーを抱くのが早く、その分彼の苦悩を描いたシーンが原作より見られなかったのは残念。
・ゲームの流れを4分割するということでどのように区切りをつけるのか心配していましたが、単品の映画としてしっかり盛り上がり所があり、最後結城が感情を取り戻すシーンも映画のオチとして上手く機能していました。その分6月のボスが原作より長期戦になっていたのが驚き。
・ただ、何十時間もかかるゲームを約90分の映画4本に収める都合上、原作のコミュに当たる要素は完全にオミットされており、当然ですが想像以上に駆け足でした。未プレイ勢は付いていけるのかな?
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#2 Midsummer Knignt's Dream
・当映画特有の大幅な端折りがいきなり炸裂。7月のホテルでのボス戦からのスタートでした。
そこでの結城と順平のギスギスは特になし。他で補完するのかな?
・天田の掘り下げを始め、全体的にいい改変が多かった印象。屋久島でアイギスが助けに来るシーン、ストレガが皆を閉じ込めガスを撒いて絶体絶命の状況で荒垣が駆けつけるシーン、天田荒垣の夏祭りのシーンなどが特に印象的でした。
・そこで生じる影時間が消えたらどうするんだという問題。結城はそれにより自分に居場所をくれた課外活動部が無くなることを恐れてしまいます。確かにこのようなジレンマは現実でもよくありますよね。この"繋がりが消えることを恐れる"というのは次作のキーワードでもあります。
・そんな課外活動部のある意味全盛期といえる時期も原作通り荒垣の死を皮切りに終わりを迎えていきます。最後は荒垣の葬式のシーンでエンド。なんてとこで終わってんだよ‼︎
終了時の劇場の空気は想像に難くないですね...。
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#3 Falling Down
・展開が早いわ!まあ秋は重要イベント盛り沢山だし仕方ない部分もあるか。
・望月綾時とバイトし、お助け部を立ち上げるという印象的なオリジナルイベントが追加。彼に関しては重要キャラではあるものの課外活動部ではないのにP3PやP3Rで追加イベント(コミュ)がありましたね。これによってラストバトルの印象も強くなります。
・順平とチドリの戦いも良かったですが、そこまでの関係に至るまでの過程が前回あまり描き切れてなかった印象があったので、初めて見た方は急だと感じたかもしれません。
・今回が特に明確でしたが、このシリーズはただ単にストーリーをなぞるだけではなく一回一回に強いテーマ性があります。今回結城は荒垣を亡くしたトラウマから失うのが怖い、だからこそ再び自分の殻に閉じこもり関係を持たないようにするという選択をとります。しかし誰にも興味がなかった春とは違い、自分も他人も傷つけたくないが為の行動でした。失うのが怖くなるから執着したくない、というのはチドリも言っていたのですが、ここに今回のテーマを繋げてきたか、と感心しました。大切な事に気づいた結城が"俺は繋がりから逃げたりしない"と言ったシーンは良かった。主人公のキャラ設定が存在する映画だからこそできる演出でしたね。
・望月vsアイギス戦の所でエンド。次回ラストの展開が楽しみです。
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#4 Winter of Rebirth
・1本目が上映されてから3年が経過したからか、かなりの画質向上が見られました。気のせいかな?
・ゲームより遥かに世界の終わりというか終末感がリアル 。街の人たちだけではなく、課外活動部の面々も徐々に終末思想に飲まれていきます。原作以上にギスギスしたり、ゆかりに関しては死を意識したことでペルソナが暴走したりと、各々の死に対する葛藤がより深く感じられました。
・僕の証という映画オリジナル曲が流れるシーンが最高に良かった。たった一つのきっかけで皆が戦う理由を思い出し、決戦後に再び会う約束を交わします。
・ラストバトルに関してはburn my dread とすべての人の魂の戦いが逆になってるのは英断だったと思います。違和感が全くない。
・ペルソナの進化がアツい。今まで殆どのメンバーのペルソナが進化してこなかったのには意味があった。タナトスの戦闘シーンがカッコ良くて最高。一番好きなペルソナです。
・結城が辿り着いたいのちの答えは、自分の身を犠牲にしてでも守りたいものがあるというもの。
・メサイアの存在意義がようやく分かった。言葉の意味からして救世主ではあるのですが、原作ではストーリーに絡んでくるわけではなく自分で作り出す必要があり、イマイチ影が薄い印象でした。今回はいのちの答えを得た証として結城をニュクスの中心まで連れて行く役目を果たしました。
・最後は勿論キミの記憶でエンド。約束の屋上に辿り着いた結城は眠りにつきます。やはり美しい終わり方です。
・スタッフロール後にエリザベスがベルベットルームを出ていくラストシーンの意味は何なんでしょうか?
間違いなく言えるのは、この4作目が一番クオリティ高く作られていたということです。
既存の要素とオリジナルの展開を上手に組み合わせ、一本の映画として完璧に構成されています。(特に今回はオリジナル要素が多く、それが上手く機能していた)
終わりよければ全てよし。元来ペルソナ3はエンディングまでの流れに定評のある作品ですが、その良さをさらに引き立たせた良い映画だったと思います。このクオリティで一作出してくれると、飛ばしまくった秋にも意味があったのかなと思えます。
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全体を通しての感想
贔屓目無しに見ても良くできていたと思います。
ゲームが原作のアニメや映画はあまり上手くいかない例が多いですが(ペルソナだとP4GAやP5のアニメが該当するか)、当映画は上手に取捨選択をし、課外活動部の物語に焦点を置くことで映画という媒体の限られた時間内でもかなり良質な作品に仕上がっています。
初公開からある程度時間は経ちましたがリメイク発売後の現在でも変わらない魅力があります。
特に締めである4作目のクオリティは高く、ゲームをプレイしたことがある人にもぜひ一度見ていただきたいお勧めできる作品です。
恐らく映画オリジナルと思われるBGMが点在していたのもテンション上がりました。
ただ一つ思ったのは、立ち位置が難しい映画であるということです。
というのも私事ではありますが、最近はリアルでもゲーム好きの友人が増えており、おすすめのゲームとしてペルソナを挙げることも多いです。
その中でペルソナ3が初見の人にこの映画を勧められるか考えると中々難しいと思ったからです。
時間の都合上完全に端折っている要素も多いので、やはり原作を一度プレイした後の方が違いを楽しめるという意味でも良いのかなと思いました。
おわりに
調べたらどうやら2年前映画館で深夜から明け方までの一挙放送をやってたらしい。めっちゃ行きたかった。約4年前には深夜ですが地上波放送も行われていたとか。
今回私はdアニメストアで視聴しましたが、また一挙配信のようなイベントを行っていただくと、盛り上がって楽しそうだなと思いました。
ここまでご覧頂き、ありがとうございました。
P3Rのレビュー記事はこちら