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やってたら危険信号、「ダブルバインド」って知ってる?

こんな経験ありませんか?

新入社員時代、こんな経験をしたこと方もいるのではないでしょうか。

上司が「何でも聞いてね」って言ってくれたから聞いたのに、
聞いたら「そのくらい自分で考えて」。
でも、「そのくらい自分で考えて」と言われたから聞かずに考えていたら、
上司に「何でも聞いてねって言ってるじゃん!」と言われる。

え、どっち??
どちらにしても怒られる可能性がある。

複数の矛盾したメッセージを受けた人が、どうしていいか分からなくなり精神的に束縛されている状態になってしまうことを「ダブルバインド」と言います。

あなたはダブルバインドに陥った経験ありますか?
そしてマネジャーや先輩として、メンバーや後輩をダブルバインドの状態にしてしまっていませんか。

このダブルバインド、結構危険なものなんです。
なので、マネジャーがダブルバインドの状態を作らないようにすることが大事になりますが、マネジャー本人がダブルバインドの状態にしてしまっていると気が付けているパターンって少ない気がしています

本noteでは、マネジャーが作り出してしまっているダブルバインドに対して、どのように対処することで、メンバーを混乱させないコミュニケーションが取れるのかを、Andyコーチの経験や考えも踏まえて考えていきます。

マネジャーがメンバーに対してしてしまうダブルバインドの例

最初に紹介した「いつでも聞いて - 自分で考えて」のダブルバインドはあるあるなダブルバインドだと考えているのですが、他にもこのようなダブルバインドがあるんではないかと考えています。

  1. スピードと完成度
    マネジャーからメンバーに対して依頼をかけたときに、「たたきでいいから早く出してほしい」とメンバーは言われたので、急いでたたきを作って持っていったら、「議論できるレベルでないから完成度上げてほしい」言われる。

  2. 自律性と指示
    マネジャーがメンバーに対して、「自分で考えて行動して」という割に、かなりマイクロマネジメントで指示をしてくるため、自分で考える余地がない。

  3. フィードバックと批判
    マネジャーがチームメンバーに対して、マネジャー自身や事柄に対して「フィードバックをしてほしい」といいつつ、いざフィードバックされると「批判的だな」と言われネガティブなフィードバックは受け付けない。

見聞きした例をご共有しましたが、あなたが体験した例・見聞きしたダブルバインドの例についてぜひコメント欄で教えてくださいね。

ダブルバインドで起こりうる3つの悪影響

ダブルバインドは、マネジャー・メンバー・チームそれぞれにかなり悪影響がある可能性があると考えています。

〈1つ目〉
ダブルバインドの状態になったメンバーとマネジャーのコミュニケーションの量と質が下がっていく可能性があります。
メンバーがマネジャーから矛盾した指示を受けると、マネジャーの言葉やマネジャー自身への信頼の基盤が揺らぐと思われます。
その結果、あまり話したくない人になるので、必要な時にしか会話しない、積極的には会話しない相手になってしまう可能性があります。
そうなると、マネジャーはメンバーから情報を得たりマネジメントがしにくい状態になってしまうと考えています。

〈2つ目〉
ダブルバインドに陥ったメンバーのパフォーマンスと生産性が下がる可能性が考えられます。
ダブルバインドの状態はストレスを感じ混乱するような状態なので、クイックに次のアクションに移せなかったり、業務への集中力が落ちたりすることが考えられます。
このような状態が続くと、ストレスを感じながらもパフォーマンスが上がらないため、メンバーのワークモチベーションも低下することが考えられます。

〈3つ目〉
ダブルバインドは、メンバー個人のパフォーマンスだけではなく、チームのパフォーマンスが下がる可能性があります。
メンバーがマネジャーから矛盾した指示を受けると、マネジャーの言葉やマネジャー自身への信頼の基盤が揺らぐと思われます。
それに伴って、コミュニケーション量が減り、チーム内の協力関係が損なわれたり、情報の共有がされにくくなったりすることが考えられます。

このような悪影響を回避するためには、マネジャーがダブルバインドにメンバーが陥らないようにコミュニケーションをする必要がありますが、そもそもなぜマネジャーはダブルバインドの状態を作ってしまうのかを考えてみました。

なぜマネジャーはダブルバインドの状態を作ってしまうのか

ダブルバインドを作ってしまっているマネジャーは、もちろん意図して「矛盾してやろう」なんて思っていないはずです。
Andyコーチの仮説ですが3つ可能性があるのではないかと考えています。

①無意識にメンバーのネガティブ面のみを見て指摘してしまっている

物事や人もすべてに対して、ポジティブ面もあればネガティブ面もあります。表裏の関係です。
なので、指摘しようと思えば、どの状態でも指摘できてしまいますよね。

最初に紹介した「何でも聞いてね」に従って何でも聞いていると、もちろん自分で考えなくなるというネガティブ面が発生するので、そこを「自分で考えて」と言ってしまう。
モグラたたき的に常に発生するネガティブ面を指摘するだけでは、メンバーの成長はおろか、混乱を招いてしまいます。

これは、マネジャーの着目点の問題と言えます。

②事柄の状況に合わせてマネジャーの中で基準が自動調整されている

マネジャーが今までの経験や価値観から、こういう時はこうしてほしいけれど、こういう時はいらないという場合分けや基準がある可能性もあります。

例えばPJの状況に応じて、マネジャーが持っている場合分けや基準が、マネジャーの中では無意識ながらも調整されて言っていると考えられます。
ただ、メンバーはそのマネジャーの中の場合分けや基準を最初から知ることができないため、毎回違うことを言っている、とダブルバインドを感じてしまう可能性があります。

これは、マネジャーの意図が伝わっていないというコミュニケーション不足によって発生していると考えられます。

③メンバーの成長度合いに合わせてマネジャーの中で基準が自動調整されている

メンバーの成長度合いに応じて、マネジャーの中で基準が変わっていく可能性もあります。

例えば、最初メンバーが新入社員の時は「何でも聞いてね」と思っていたけれど、最低限は理解してくれているから自分で考える段階に進んでもらいたいと思って「自分で考えて」と伝えるイメージです。
ただ、こちらも②と同じく、メンバーはそのマネジャーの意図を最初から知ることができないため、前言っていたことと違う、とダブルバインドを感じてしまう可能性があります。

こちらも、マネジャーの意図が伝わっていないというコミュニケーション不足によって発生していると考えられます。

マネジャーがダブルバインドを起こしてしまう3つ原因を確認すると、その原因は、マネジャーの着目点とコミュニケーション不足という2つに分類することができます

マネジャーがダブルバインドの状態を避ける方法

この2つの原因分類を踏まえ、マネジャーの立場からダブルバインドを起こさないためにできることを考えていきたいと考えています。

マネジャーの着目点

常に存在するネガティブ面に着目して指摘していると、メンバーは今はダメなんだと考えてしまうのではないかと考えています。
なのでマネジャーからの言葉を素直に受け取ると、極端な行動変化をせねばならなくなってしまうんです。

マネジャーは実際にそのように極端に行動を変化してさせてほしいと思っているわけではなく、
おそらく程よいバランスにしてほしいというのが本来の意図であると考えています。
なので、マネジャーの着目点としてはGood&Moreを基本とするのがよいかと考えています。

Good&Moreは簡単に言うと、「ここはいいね!ここを変えるともっとよくなるよ!」という伝え方をするイメージです。
Good&Moreでお伝えすることで、今が否定されているわけではなく、ちょっとチューニングしていけばいいのかとメンバーも理解ができ、ダブルバインドと思われなくなると考えています。

コミュニケーション不足

2つ目のコミュニケーション不足についても考えていきましょう。
マネジャーが基準を変えた意図があるのにそれが伝わっていないことでダブルバインドであるとメンバーに勘違いされてしまっている場合があるとお伝えしました。

まずは、マネジャーとしてメンバーに「こうしてほしい」というのを伝える際には、お願い事項のみを伝えるのではなく、マネジャーが考えたことや意図をメンバー共有することによって、気まぐれで言うことが変わってダブルバインドになっているという認識はなくなるのではないかと考えます。

マネジャーから意識してメンバーへ意図を伝えたとしても、メンバーが必ずしもすべてを理解することはないかと考えています。
また、メンバーがダブルバインドと思っているかどうかは本人から聴かないとわからない状態です。
なので、メンバーの認識を知るために、メンバーが「ダブルバインドじゃないか」と感じたら、マネジャーに伝えてもらうようお願いするのがよいかと考えています。

これを教えてもらうことで、あなたも無意識に基準を変えていた背景を言語化するきっかけになり、メンバーにより適切な指示・アドバイスができるようになると考えられます。


いかがだったでしょうか。

ダブルバインドは日常様々なシーンで発生する可能性がありますが、発生すると悪影響もかなりあると考えられるので、マネジャーの立場からメンバーとの間でダブルバインドの状態を起こさないようにすることもチームマネジメントの一つだと考えています。

記事を読んで感じたことや体験したダブルバインドをコメントでぜひ教えてもらえると嬉しいです。

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