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ランオフのスピード


前回の記事の追加になりますが、日本銀行がランオフ(保有債券の落ち切り)を開始した場合どのくらいのスピードになるか計測しました。

日銀が2023年3月末に保有する国債・国庫短期証券は額面で569.7兆円でその償還額を四半期ごとに表示したものが下のグラフです。

年度間償還額は
23年度78.3兆円、
24年度62.8兆円、
25年度60.6兆円、
26年度56.6兆円と続き、
4年半後の2027年9月末の残存率は49.9%とほぼ半減するスピードです。

マトリックス的(資金循環的)には、
①償還金額+αで国債が発行される
②償還金額+αの発行国債を一般銀行が引き受ける
③日銀の負債サイドで②の金額の日銀預け金が政府預金に振り替わる
④日銀保有の国債の償還金額と政府預金が相殺される
というプロセスで日銀の資産が償還金額だけ減少し同時に負債の日銀預け金が同額減少し、一般銀行保有の日銀預け金が国債に替わります。

一般銀行は保有コストを勘案した国債ポートフォリオを市場取引によって(競争的に)作っていくことになります。前回の記事のとおり政策金利がゼロ近辺に維持されている限り長期金利の大幅な上昇は考えにくいと思います。

国債のネット増額であるα部分は、タイムラグはありますが、現状では家計の鉄板の現預金選好により銀行預金と銀行の国債保有にほぼ行き着きます。


マトリックスのフローでみると2021年は日銀の国債保有は減少していますがあまり意識されなかったように思います。


日銀預け金による国債の代替効果の詳細につきましては、
金融マトリックス―国債と銀行の運命 | 磯野 薫 |本 | 通販 | Amazonを参照してください。
 


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