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2022年第2四半期マトリックス速報① コロナによる負債膨張の行方

 9月21日公表の22年第2四半期速報のマトリックスの特徴についてピックアップします。
最初にコロナ禍に対応して膨張した金融負債の動向が注目されます。

マトリックスが新基準になった2005年第2四半期からの17年4カ月のフロー全体の動向は下の表の通りです。

主な特徴は、網掛けの部分で、
①一般政府の債務証券(国債)の純増とその費消による資金不足及び経常黒字の累積による海外部門の資金不足(ネット金融負債の供給)が継続している。
②①のネット金融負債の供給により家計と非金融法人企業のネット金融資産増(資金過足・資金余剰)が継続している。
③家計は純増している金融資産のほとんどを現預金で運用している。上表では金融資産増加額361.3兆円の86.7%、資金余剰増加額311.9兆円の100.4%を現預金の増加で運用している。
④非金融法人企業は資金余剰と借入(表上の負債サイドの貸出)増加により金融資産を増加させ主に対外直接投資と現預金に充てている。
です。
上記の期間の内、コロナ禍が始まった2020年第1四半期から22年第2四半期の2年半のフローが下表です。

①一般政府の負債増と資金不足が過去にない規模で増加しそれに伴い主に家計の資金余剰が大規模に生じている。
②非金融法人企業も過去にない規模で資金調達しているが資金余剰は継続し、資金は対外直接投資の継続と現預金に充てられている。リーマンショック時には一時的に資金不足となったが今回は資金余剰が継続している。またリーマン時も資金調達を増加させたがすぐに返済しているのに対し今回は現預金に滞留している。
③海外部門の資金不足も経常黒字は減少傾向にあるが22年第2四半期では継続している。

非金融法人企業の季毎の推移を上のグラフでみると2020年第2四半期の資金調達純増(棒グラフ)が41.7兆円と際立って大きく対応して現預金(緑の累計値折れ線グラフ)が増加しています。リーマン時には08年第4四半期に大幅に資金調達を純増させましたが翌季以降すぐに返済しています。
今回は今のところ返済には回さず現預金に滞留させています。現預金が同一法人内で滞留しているか企業間を移転しているかはマトリックスだけでは不明ですが大きく増加させた負債が今後どのように変遷していくか注目されます。

一般政府も2020年第2四半期に過去最大の資金調達純増45.1兆円を行い費消したため大幅な純金融負債(資金不足)を供給しました。マトリックスの原理1°の通りこの純金融負債水準が維持される限り家計を中心とした他の非金融部門の純金融資産水準は維持され、それは他の部門がどんなに現預金を費消しても変わりません。
高水準の純金融負債供給はその後も継続され他部門の純金融資産増も継続されています。

家計の推移は上のグラフのとおり。
一般政府部門及び海外部門の純金融負債供給(資金不足)に並行して家計部門の純金融資産は増大しグラフのとおりほとんどすべて現預金の増大となっています。家計は国債の増加により金融資産が増加しますが金融資産の内、何を選択するかは家計の選好にまかされます。現状まで圧倒的に現預金を選択し、その結果銀行の負債が増加し銀行は国債もしくは国債の代替資産としての日銀預け金を保有する構造になりますがこの構造は現時点までは変化はありません。この構造により非常な低金利で国債を発行できる状況は続いています。

2022年第2四半期マトリックス速報②へ続きます。

国債増加とそれに伴う現預金の増加の構造の脆弱性や日銀預け金による国債の代替効果、新型コロナ感染拡大の影響などにつきましては、
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