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Music × English なエッセイ 【45】

動画を発見してから、またちょっと間が空いてしまいましたが、諷刺なども含めて力作(?)になりました。楽しんでいただけたら幸いです。



今回の動画

Zero Sum

一進一退のゼロサムゲーム。
著名なヴィランのヴェノムに憑依された異形の者たちが、
和風にいうと百鬼夜行しているかのような動画。

ゼロサムゲームの定義からも、
一進一退は導ける気はするんですが、
この動画が視覚的に面白いのは、
すごい高速で前進しているのに、
じっと見てるとムーンウォークみたいに戻っているときがあるんですよね😅
この「戻り」が気になるところです。歌詞にも反映されているような。


前置き


今回の歌詞は、なかなか意味深な気がします。

おそらくプロの翻訳・通訳の方々であれば、
逐語訳に近い形で固有名詞などを訳しておいて
(後出ですが、Windows 95 という懐かし製品が歌詞に出てきます)、
解釈はリスナーの自由解釈に委ねるというご判断をされるであろう、
と思うのです。

謎は謎のままにしておいて、自分は言葉のスイッチャー、媒介に徹すると。

が、アマチュアの僕は、
「任意では解釈を全くしてくれない人も居る」という意味での性悪説に立っております😅。

しかも、訳しながら同時に
エッセイストもどきもやりたいわけです。
自分の主観を随筆風に述べながら、こう解してほしいと。

なので少々、意訳に飛躍があり得、
よくよく原文と突き合わすと、
そうとも読める、という代物になっていますので、
あらかじめご了承ください。


歌詞

[Verse 1]

Zero-sum, moot point
A cut-out trying to fill the void
A shit grin, a performance
A tipping point, loose banister
The physical lines of forced thought
That's a lot to burn for no reason
A gas leak, I’m falling through the ice
A vacant lot to buy, vacant lot to buy
A clipped tongue, acting dumb
Somewhere in the past in a re-run

[Pre-Chorus]

Thinking all the ways the system will provide
Windows 95, Windows 95

[Chorus]

So overconfident, confident, confident
They're so overconfident, confident, confident
That's another red flag, red flag
That’s another red flag, red flag

[Verse 2]

The masterclass the TED Talk
That's a lot to burn for no reason
They're thinking all the ways the system will provide
Windows 95, Windows 95

[Verse 3]

Listen close, listen carefully
You will hear that the birds are in the wrong place
Fortunately there the system will provide
Windows 95, Windows 95

[Chorus]

くりかえし

 Zero Sum by The Smile

試訳 or 私訳

【バース1】

ゼロサムゲーム、争点かビミョーな論点
虚ろを埋め合わせたいがための切り抜き
歯をむき出した(クソ)笑顔 パフォーマンス
跳ねるとこで 梯子外し【注…元は、手すりのネジが外れそうな歌詞😅】
強迫観念下での「物理行」 【注…後出参考サイトご参照ください】
わけもなく炎上するもの多数
ガス漏れ 僕は氷が割れて落ちていく
空き地を買い占め、空き地を買い占めて 【一瞬、外れクジかと…😅】
べらべら喋る舌 間抜けな行い
再放送に出てくる、過去のどこか

【プレコーラス】

あらゆる角度から考え尽くしてシステムは供給してくる
Windows 95(のようなエポックメイキングなもの)
Windows 95を

【コーラス】

かなり自信過剰で 過剰で 尊大
奴らは自信過剰 過ぎで 傲慢
それって、新たなる危険信号、赤旗だろ
別の形による思想統制の兆候だろう 全体主義の印だろう
【👆ここまで拡げる理由は後出😅】

【バース2】

最高峰の授業やら、テッドトーク
無暗に金を燃やすほどの価値あるものさ
彼らはあらゆる手練手管で売りに来てるんだ
Windows 95(的なもの)を
「革新的なるもの」を

【バース3】

良く聴け 耳をそばだてて聴けよ
(気候変動での環境破壊などで)
鳥が生態系にそぐわぬ場所に居る、と耳にするだろう
幸運にもそこでは、システムが提供してくれちゃうんだよな
Windows 95 を
Windows 95 ってやつを

【コーラス】

くりかえし

 


訳出にあたり考えたことなど


自戒も込めていうんですが、
ある程度、
英語のお勉強(実用性があるかどうかは不明という自虐ネタです)が進んでしまうと(世間でいう難関大学に受かる程度)、
辞書や文法書を引きながら地道に訳していく
ってことをサボりがちになるんですよね。

というのも、ビジネスがそういう性質、持ってるじゃないですか?

時間内に(納期までに)ちゃちゃっと仕上げて一丁上がりみたいなことをするから、逐一精読しない。

有難がられるのは速読技術ばっかり。

厄介なことに推測で当てられてしまう程度には単語も暗記しているんですもの。

何の前振りだ?
いや今回の曲、一行目から謎かけですよね、という語りかけです😅
(そうでもないよ、という人には脱帽しかありません、ご笑覧ください)



moot point ?


英語学習の解説を生業にしている人たちも難しいって言ってました。

ということは、これをちょろいっていう奴はモグリ(そういうこと言わない)

どうむずいのか?
例えば:

さて今回選んだフレーズは、文脈によって、「議論する意味がない」または「議論の余地がある」と、まったく逆の意味になるa moot point です。

ご参考➡:English Journal 公式サイト

トム・ヨークのシニカルな性格から察するに、
ゼロサムゲームなるものを、囲碁とかオセロみたいに、
「よくある二者間での対局ゲームの喩えでのみ考えていない
のかもしれないと。

当事者が、二人だけであれば、なるほど、
相手の得点は自分の失点、自分の得点は相手の失点。
総和がゼロになるような関係性かもしれません。
いや、僕の理解が間違ってたらすいませんが😅。

しかし現実の社会は、カルテル作ってたりしたら別ですが、トップレベルであっても、競合他社が2社以上ひしめいていることが多いですよね。

政治の世界に至っては、魑魅魍魎みたいに
あらゆる利害関係が錯綜している
かもしれない。

誰の失点が誰の得点なんだろうみたいな。
外から眺めると、霞がかかっているような。
東京のどこかの地名みたいに。

ところで、
最近80年代と90年代あたりをセットでリバイバルさせてる、
一連のポップカルチャーがありますよね?😅

この曲において、トム・ヨークが歌詞で復活させた「過去の亡霊」が、Windows 95なわけです。(彼らの動画は他でもクラッシーなファミコンみたいな視覚効果使っていますが😅それは別の話)

テックに詳しい人は
あれは名作だった(おそらく純然と技術的側面で)、
って誉めるわけですけど、
法律界隈では、国際法に詳しい人の解説等を読むと、
割とグロテスクだったりします。

ホントの意味で「公正な」競争だったのかな?って😅

競合ブラウザのNetscapeって、ハードウェアの会社がIEと一緒に同梱しておられましたけど、あれが負けたのは「重たかったから」という技術面の話よりも前に、契約関係を構築した弁護士の手腕じゃないかって話があります。

「今爆発的に売れているWindows95を積んでパソコンを売りたかったら、IEを標準として必ず入れておけ(他社ブラウザは入れるな)」といった抱き合わせ商法(ただし、世界屈指の抱き合わせ)を、いつの時点からか、ハードウェアの会社に迫ったからだと…😅

つまり、技術同士の純然たる競争だけではなくて(OSが名作なのは認めつつもブラウザは?)、背後で暗躍していたのは、とてもクラシカルな社会科学(契約法)のスキルではなかったか。

技術以外の政治的な要素で、Windows 95+IEの組み合わせは、いわゆるデファクトスタンダードになったんじゃないか…(仮)。

それ以降のWindows内部の変遷の歴史は、
お詳しい方には釈迦に説法ですけども、
ブルースクリーンだのパッチだの、
迷惑さが常に隣り合わせのオペレーティングシステムでありながら、
デファクトであり続けているわけです。

曲名のゼロサムに因むと、誰の得失?損益?なんだろうと。
ちょっと陰謀論めいてきますけども。

商業的に勝ったのはマイクロソフトとビルゲイツだけど。

セキュリティがザルだとしたら(仮)、共産主義や社会主義陣営のスパイたちの勝ちともいえるかもしれない。抜き取り放題という疑惑で。

陰謀論を横に措いても、
ホントはもっとマシなOSとブラウザその他オプションの組み合わせが生まれる確率があったかもしれないのを、契約のテクニックによってドブに捨てたとしたら(仮)、公益上の負けですよね。

今も全世界がマイクロソフトのいうことを訊いているんだから。

もう事実上の標準なんだから四の五の言うなよ、っていう思考停止が支配しているとすると、議論の余地はない論点ですよね?

いや事実上に過ぎないだろ(法的義務はないから買い替えようぜ)、って抗おうとする若人が居れば、その限りでは余地があることにはなりますが。

うーむ、ムートポイント(マンダムみたいに)。

色んな意味合いを感じさせるアイコンと化している気がするのです、
この曲における歌詞としてのWindowsは。


Cut-out ?

普通に考えると、切り出しとか切り抜きで良さそうなんですけども。😅

しかしもしも全編をコンピュータで寓意を込めたいとしたら、最近の人工知能の用語も関わるかもしれないと思って、偶然見つけたサイトですが貼っておきます。

もし、創作意図を当てていた場合、寓意を理解するにはディープラーニングなど最新技術もわからないといけないので大変そうですが…😅

まあ、おおむね、こういう含意ではないか、ということなので。次に行きますね。


Red flag ?


本稿最後の大見出しに紹介する「ご参考サイト」では、
僕が懸念するような意味合いまでは込めておられなくて😅、
スポーツ選手等の反則をとるための、
いわゆるファウル宣誓の旗というほどの訳をされています。

キナ臭いこと書いたらファンが離れちゃうかもしれませんしね(そういうこと言わない)

でも、皆さんご存知のように、
日本共産党が機関紙となさってるように、
「赤旗」ってのは共産主義の御旗ですよね😅

ここでも、旗の意味合いががらっと変わってムートポイントになってませんか。議論の余地ある争点か、ない争点か…。

旧ソビエトも、現中国も、ついでに北朝鮮もかな、赤い旗を用いている。

問題はですね😅、この歌詞で、Windows 95 と歌い上げつつそれは赤旗だって警告に見えるんですよね。名作OS≒赤旗。

でもあまりに売れすぎてデファクトスタンダードになって、
全世界がマイクロソフトのネットワークで繋がっていて、
プライバシー確保されてなくて、
全ての金融資産などが筒抜けだったとしたら、
別の意味でコミュニズムは完成しているんじゃないですかね。

ただしスターリニズムなど粛清が始まる独占形式じゃなく寡頭制の。

いや、そこに「私有財産はこれより全否定する!」って
デジタルまで射程圏内の新型共産党宣言してないだけでさ…。
ピピピ、反則、反則~どころじゃない。

だけど再分配は乏しく、格差は是正されてないか…。
むしろ貴族政「改」って感じで。
現実の中露と北朝鮮みたいに。

じゃあ、パノプティコンみたいな全方位監視って意味で「赤い旗」って警告したのかなあ?金銭換算しやすい経済的自由の方面じゃなく、生命身体、思想やプライバシーといった自由の方面重視の警告。

新型貴族政を守るための全体主義。
うーむ、歯向かう方法がなさげで怖い。
あれ、日本でも格差を守る運動、進行中ですかね?


the birds … in the wrong place ?


in the wrong place 自体は、場違いであるという熟語で、受験英語でも見かける熟語です。

これまでにも述べているように、問題は寓意の方であって、トム・ヨークがなぜ急に鳥の話を始めたのかですよね、当然😅

名作 Windowsと並べながら。

実は彼は環境運動家もしているので、その運動の巧く行っている部分と同時に、後ろ暗い部分を見てしまったのかもしれません。

現実に砂漠が拡がり、水の都が水没するかもしれない。気候変動に対処する運動はわずかずつながら奏功しているものもあるわけです。

Amazonの森が枯れる一方でマングローブ林を植えていくだとか。
砂漠の緑化だとか、日本に居ても知らされるプロジェクトはあります。

破壊を止めたいからといってボランタリーに活動する人たちには資金がありませんので、ミーハーな人たちの関心を集めることができないジレンマがあります。善行だけど、怪しく見えるので信じてもらえないという。

しかし、水質汚濁を訴える一方で、水源を買い占めて水を売りつけてくる水ビジネスなどのように、表の舞台にも怪しいものは色々あります。

環境に関わる領域で鳥の生態系を例にしながら、これは画期的だからといって「Windows」を売りつけてくるような連中はどこにでも居る、って警告したいのかもしれません。

…実はTwitterが買収されて、鳥のマークが X になってから生態系が書き変わり、ひとつのソーシャルメディアがダメになった…危険だ…😅

なんてニュアンスだったら、行間の読み、大はずれですが…😅
まあ、抽象的だからこそ色々に解せるわけなんですが…。


🔵ご参考に


レディオヘッドの頃から、トム・ヨークの世界観を訳してこられたらしき人のご意見も参照してみました👇。

ここに書いてないキーワードをいうと、彼らが世界にとって重要なロックバンドと認められた契機は、『Ok Computer』 という、コンピューターをシニカルにフィーチャーしたアルバムを世に出したことでしたよね。

若いころから、彼らはコンピュータを信じてない😅
一貫して、「やってくるのはディストピアだぜ」って言っていた。

ここに書いてあったもので最も勉強になったのは、またもコンピュータ用語で、「物理行」なるものです。

禅寺に籠って座禅を組まないと理解できない物理の苦行…ではありません。いや、天才はそれくらいするのかもしれないが。

いずれにせよ、この意訳は理系知識に乏しい自分だけだと気づかずに、字面だけで別物を当てていたかもしれません。助かりました。


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