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月の旅団という妄想

小学生の頃です。
機動戦士ガンダムの再放送世代でした。

1/144のプラモデルが300円の時代。近所のプラモショップヒライでは270円で販売していました。家を出て赤松食料品店と松下酒店を曲がり、国道2号線を潜る小さなトンネルを抜けてすぐにあるその模型店に数百円を握りしめてよく通っていたんです。

はじめのうちは車と戦車、飛行機だったのですが、ガンプラ以降はもうそれに夢中で。
放送されるたびに登場する新しいモビルスーツがいつ出ますか?と、優しい店主に質問ばかりしてました。ひと通りいろんなモデルに手を出して(武器キットとか、ムサイやサラミスとかボールも)、組み立てては飾って、遊んでを繰り返してました。とはいえ、色を綺麗に塗ったり、ジオラマを作ったりということには興味はなく、ただただバンダイの策略にまんまとハマって毎月の小遣いで1体ずつ増やすバカ少年なだけだったんです。

そんなことを続けていたんですが、いつ頃からか、眠る前に布団の中でその小さなモビルスーツを持ちながらいろんな妄想をするようになりました。まだ、ガンダムの続編やサイドストーリーなどが描かれる前の話です。

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舞台は地球の砂漠地帯。
連邦のエネルギー資源の供給に損害を与えるため、点在する施設への打撃と補給線への混乱を目的に降下したジオンの小規模な奇襲部隊。陸戦、とりわけゲリラ戦に特化した装備を施すザク4機と、機銃装甲車と母艦となるホバー1隻という編成。

軍内で閑職においやられたスペースノイドの上官と、月で捕虜となりジオン兵として教育を受けた地球人数名の彼らは、いわゆる捨て駒のような存在。この作戦後、上官は宇宙圏で主力艦隊への復帰、捕虜たちは月に解放されるという約束のもと、降下したその地で充分な補給も受けることなく、危険だが重要ではない任務が果てなく続き、部隊は徐々に戦闘に倦んでいきます。

ある日、彼らは小さな町への攻撃と占拠を命じられます。連邦の極秘基地だと知らされたその町はこの戦争を逃れた人たちが多く暮らす地域でした。
そこで、彼らは民間人による予想外の大きな抵抗を受けます。連邦にもジオンにも属さず、この町の住民とその資源を守るために組織されたゲリラたちの巧妙な戦術の前に彼らは捕虜となってしまいます。

この町は、連邦により資源発掘のため月から強制的に連れて来られた人を住まわせる場所でした。抵抗の末自治を獲得し、今は多くの移民を受け入れ小さな独立国家のように機能しているのです。その民衆を率いているのはジオンから亡命した研究者。独自の資源を生み出し、砂漠の中でも水の絶えない仕組みも生み出しました。そして彼らはいつか故郷の月に帰ることを夢見て、資源の乏しい月でも多くの人が住めるための仕組みをこの地で研究しながら、どちらにも属さず抵抗を続けているのです。

この町の生活の中で、捕虜となった彼らもこの戦争の意義に疑問を持ち出します。この作戦も、どうやらこの町が生み出した資源開発技術を狙ったようだと勘付きます。
彼らは、この町の人たちと行動を共にすることを決意します。この技術を持って、いつか故郷の月に帰るため、彼らはこの町の自衛部隊の一員になることを決めました。

月への移住のためには船が必要。ある日、大きな作戦のために数隻のザンジバルが地球に降下するという情報を得ました。

彼らはザンジバルの奪取を計画します。
敵との誤認を避けるため砂漠色に塗り替え、肩に三日月のマークを施したザク4機と、100名のゲリラ部隊からなる彼らは月の旅団と名乗り、その計画を実現するために作戦を遂行して行くのです。

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もちろん、ここに書いた表現は大人だからこそなのですが、ほぼこんなことを小学生のころに妄想していたんです。

ザクを4機買って、デザートカラーに塗って、武器キットやダグラムのパーツを使って武装し、盾に月のマークを下手くそながらに描いて。目を瞑っていろんなシーンを思い描いて。

当時読み漁ってSF本もかなり影響しているかもしれません。福島図書館でハインラインの本の貸し出しカードは僕の名前が並んでいました。

少し恥ずかしい名前だけど、月の旅団ってなんかかっこいいな。といまでも思います。月に帰るための部隊名としても、なかなか秀逸というか。

ガンダムに限らず、ほぼ全ての物事に、僕なりの物語を作っていきたいという癖は今も変わらなくて。カメラも持ったし、いつかそういうこともやってみたいなと、ふと思いました。

アニメーターの方、ぜひ「月の旅団」、映像化お願いします。

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