【脳科学と映画】その13 摂食障害
タイムトラベル映画大好きのりゅうさんです。
「脳科学と映画」シリーズ。本日のテーマは「摂食障害」です。
「摂食障害」でよく知られているのは、「過食症」と「拒食症」でしょう。これらの障害は、重大な健康問題を引き起こし、生命の維持にも関係することがあります。
一般に「過食症」は極端に太った人という印象がありますが、過食発作に続いて、嘔吐、断食、過度の運動などの代償行為を伴うため、必ずしも肥満と言う訳ではありません。医学的には代償行為をともなう過食を「神経性大食症」、代償を伴わずに肥満に至る過食を「過食性障害」と分けています。
他にも食べ物を口に入れ咀嚼しますが、飲み込まずにビニール袋などに吐き捨てるチューイング行動(噛み吐き・噛み砕き)を繰り返す過食とも拒食ともとれる行為も存在します。
また「拒食症」の中には、周囲の人に知られたくないために、人前では普通に食べてもその後に隠れて吐く人もいます。
「摂食障害」の原因としては、人間関係の問題など心理的ストレスが原因となる場合が多く、日本国内だけでも患者は1年間で延べ22万人にもなるそうです。
ところで、「拒食」と「過食」は全く逆の症状のように思いがちですが、「拒食症」から「過食症」に移行するケースも約60 - 70%と非常に多く、「極端なやせ願望」あるいは「肥満恐怖」などの点で共通しており、実際は病気のステージが異なるだけで同じ病気と考えられています。
また、「摂食障害」は、自傷行為、アルコールや薬物などの乱用、ひどい爪噛み、抜け毛といった行為が伴う事も多いようです。
「拒食症」の病状が進むと、低血糖に陥り、その結果脳の活動が阻害され意識障害が起こり、脳萎縮など脳細胞に回復不可能な障害が引き起こされる事もあります。また低カリウムなどの電解質代謝異常により心不全に陥り、最悪死に至ります。
このように「摂食障害」は生命の基本である食に関係する病気なだけに、思った以上に深刻な病気なのです。
本題の脳科学的解釈ですが、「摂食障害」は脳の報酬系、特にドーパミン系の異常に関連しています。また、セロトニンやオレキシンなどの神経伝達物質の不均衡も関与しているとされます。これらの神経化学物質の変化が、食べたい食べたくないという食行動や、気分、感情の調節に影響を及ぼすのです。
「摂食障害」を扱った映画作品には以下のようなものがあります:
『クワイエットルームにようこそ』(2007)
閉鎖病棟に隔離され拒食症や過食症の患者と過ごす日々
『心のカルテ』(2017)
深刻な拒食症障害で何度も入退院を繰り返しながら克服を試みる主人公
『おんなのこきらい』(2014)
過食症で女の子の価値は可愛いことがすべてと信じる主人公の人生
『ナッティ・プロフェッサー ・クランプ教授の場合』(1996)
過食で肥満に悩む教授の恋物語
これらの映画から、「摂食障害」の精神的、感情的側面と、社会における美の理想が個人にどのような影響を与えるか理解する事ができます。
りゅうさんでした。
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目次
序章: 映画と脳科学の交差点
第一部: 脳の基本機能と映画
1.1脳が映画を認識する仕組み
1.1.1 脳の情報処理メカニズム
1.1.2 映画音楽が脳へ与える影響
1.1.3 映画における脳の時間認識
1.1.4 大スクリーンが脳に与える影響
1.1.5 「吹き替え版」と「字幕版」の脳への影響
1.1.6 人はなぜフィクションである映画を楽しめるのか?
1.1.7 面白い映画とつまらない映画の違い
1.1.8 人はなぜ青春時代に観た映画や音楽に親しみを感じるのか?
1.1.9 早送りで映画を観る時の脳状態
1.1.10 サブリミナル効果
1.2 五感と映画
1.2.1 視覚と映画の表現
1.2.2 聴覚と映画の表現
1.2.3 触覚と映画の表現
1.2.4 臭覚と映画の表現
1.2.5 味覚と映画の表現
1.3. 感情と映画
1.3.1 感情の脳内プロセス
1.3.2 脳は観たい映画をどうやって決めるか?
1.3.3 男性はなぜポルノ映画を観たがるのか?
1.3.4 人はなぜ暴力映画を観たがるのか?
1.3.5 人はなぜホラー映画を観たがるのか?
1.3.6 人はなぜミュージカル映画に惹かれるのか?
1.3.7 人はなぜつまらない映画を見ると眠くなるのか?
第二部:人工知能と映画
2.1 AIが映画に与えた影響
2.2 バーチャルリアリティと脳科学
第三部:脳科学から見た映画
3.1 サヴァン症候群
3.2 認知症
3.3 記憶喪失
3.4 前向性健忘症
3.5 夢
3.6 恐怖症
3.7 心的外傷後遺症
3.8 言語障害
3.9 植物人間
3.10 多重人格
3.11 依存症
3.12 アスペルガー
3.13 摂食障害
3.14 サイコパス
3.15 うつ病
3.16 睡眠障害
3.17 妄想癖
3.18 知的障害
3.19 LGBTQ+
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