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『オッペンハイマー』/映画感想文
原題:『Oppenheimer』
祝 オスカー制覇
日本公開が遅れてしまったが、今年最大の注目作
1. あらすじ
「原爆の父」と呼ばれた科学者オッペンハイマーの半生、原爆前と原爆後、栄光と後悔を描く。
2. 点数
82点
今年初の80点越え、ありがとう。
ノーラン×伝記モノ、という嚙み合わせが悪そうなテーマでもここまでのものを撮るのはさすが。
オスカーを狙いすぎだとの批判もあるみたいだけど、それは妬みでしょう。
ここまでのクオリティでつくれる人は他にいるんですか?
3. 感想
ミシュラン高級レストラン
一流のシェフが一流の器具を用いて一流の食材で料理すれば、そんなん美味しいに決まってるー!
ノーランという最高のシェフにいい食材を与えたら、三つ星確定。
もちろん味の好みは人それぞれで、ファミレスのチープな味も捨てがたい。
それでも、映画を芸術として捉えるのであれば、ミシュランレストランが評価されるのは当然の流れ。
文句なしの一級品。
予習の必要性
「最低限の予習をしてから観るべし!」と巷では言われているが、これには賛成。
よほど原爆まわりの歴史に詳しいか、何度も映画館に行ける余裕がある人でないかぎり、予習しておいたほうが無難。
私はこちらの記事を参考にした。
情報量が多すぎず少なすぎずでちょうどいい、オススメです。
科学×群像劇
主人公は天才科学者。
人間的に問題はあるが、その才能はホンモノ。女性関係はかなり奔放。
その性格が故、敵も多い。
栄光に達したものの、周囲から反感を買って転落する。
あれ、これって唐沢版『白い巨塔』じゃね?
主人公の魅力的なキャラクター描写、重厚なテーマ、登場人物の多彩さ。
おもろい要素、てんこ盛りだった!
科学者の苦悩
オッペンハイマーはマンハッタン計画の責任者となり、ハイテンションで原爆をつくるも戦後には後悔して苦悩する。
これに対して、
「悲惨な結果をもたらすのがわかってたのに、後悔するとかふざけんな!」の反論もわかる。
でもそんなに単純に割り切れないんじゃないかな。
科学者として最高の環境を与えられ、名声が目の前にありながらそれを止めることは容易ではない。
投下はやめるように一応進言したみたいだし、開発者としてはできることはしたといえる。
「ヒロシマとナガサキが恨むのは、オッペンハイマーじゃなくて落とす判断をしたオレやろ」とニチャりながらトルーマンが放ったこのセリフこそが真理。
科学と戦争の分離を教えてくれる。
原爆投下描写がないとの批判は的外れすぎるのであえて触れません。
かなり’音’にこだわった作品なので、観賞の際は音響のよい映画館をおすすめします。