「すべてが武器になる: 文化としての〈戦争〉と〈軍事〉」の読書感想文

たまにはnotesも更新しないとな、と思いますので、定期的に読書感想文などを投稿しいきたいと思います。
主にFacebookで友人に公開している文章に少々、手を加えたものになります。

今回は、今年中に読むことを目標にしている本の一冊「すべてが武器になる: 文化としての〈戦争〉と〈軍事〉」(著:石川明人 創元社)について。

「武器とは何なのか」という一見簡単そうに見えて、考えれば考えるほど分からなくなる問いを通して、戦争や平和、文化、人間とは何かを自問していくエッセーです。

著者の石川明人さんは、大学の宗教学者です。宗教学者であるにも関わらず軍事に詳しくて戦争や文化、宗教についての本をいくつも書いています。

この「であるにも関わらず」という所は日本人なら思ってしまう人も多いかと思うのですが、石川さんの他の本を読むと、宗教と軍事は意外と繋がりがあることが分かります。

これは「宗教が原因で戦争が起きた」という、よく言われるような意味ではありません。

我々日本人は、あまり意識していませんが、人が日々生きる上で、宗教は大きな意味を持っています。

よって、「人の営み」の一つである「軍事」「戦争」にも、なんらかの宗教的な意味が、自ずと付いて回ることになります。

石川さんの他の著書の題名は、端的にその事実を示しています。

すなわち、「戦争は人間的な営みである」ということです。

東京に住んでいた頃、石川さんの講演にも行ったことがあり、直接、お話したこともあります。すごく穏やかな感じのお兄さん。ずっとファンで本を追いかけています。

さて、今回の「すべてが武器になる: 文化としての〈戦争〉と〈軍事〉」で、興味深く読んだのは「戦争の創造性」という箇所について。

「戦う人々が殺人や破壊の先に見据えているのは決して「虚無」ではなく、自分たちにとっては美しい社会であり、正しい秩序なのである。創造的で、破壊的だからこそ、手段としての破壊が必要となり、正当化されるのだ」(P.215)

「すべてが武器になる: 文化としての〈戦争〉と〈軍事〉」

どうして戦争が起こるのか、今の世界の状況を見ながら、考えてしまう文章でした。

今は個別の戦争のことの知識を得たいと思っている方も多いと思いますが、こういう一見遠回りなところから色々と考えてみるのも良いのではないでしょうか。

この「すべてが武器になる: 文化としての〈戦争〉と〈軍事〉」も良い本ですが、石川さんの本はどれも「戦争とは?軍事とは?武器とは?」を深く考えるきっかけになります。

石川さんの本を読見終わって、いつも思い浮かべる言葉があります。

こちらも、石川さんの他の著書(星川啓慈さんとの共著)の題名から引用したいと思います。

「人はなぜ平和を祈りながら戦うのか?」

石川さんの次回作を早くも期待しています。

では、短いですが、今回はこの辺で。

人はなぜ平和を祈りながら戦うのか? (私たちの戦争と宗教) https://www.amazon.co.jp/dp/4890633154/ref=cm_sw_r_cp_api_i_MCR94Y05162MVZAD901S


戦争は人間的な営みである (戦争文化試論) https://www.amazon.co.jp/dp/4890632964/ref=cm_sw_r_cp_api_i_VR9MAHARCBTGNWXZN1FT

すべてが武器になる: 文化としての〈戦争〉と〈軍事〉 https://www.amazon.co.jp/dp/4422300792/ref=cm_sw_r_cp_api_i_PBBHR26WXPC69JCCT2RZ


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