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最後の詩
谷川俊太郎さんが亡くなりました。
生前、詩を連載されていた新聞に、その最後の詩が掲載されました。
それを読んだ時に、以前我が家のお向かいに住んでいたおばあちゃんのことを思い出しました。
長年お向かいさんとしてお付き合いしていたそのおばあちゃんは、初めはご主人も息子さん家族も一緒に住んでいましたが、ご主人も、息子さんも先に亡くなってしまい、90歳になる頃一人暮らしをしていました。
自分のことをきっちりとできる人で、その姿勢は幾つになっても変わりませんでした。
母は当時、そんなおばあちゃんに作ったおかずや頂き物のお裾分けをして日に1回くらいはお向かいのドアを叩いていました。
そのおばあちゃんがある日言ったことを教えてくれました。
「朝起きたらね 1って思うんです。そしてね夜寝る時ゼロと思って寝るんです」
すごい生き方ができる人なんだと思いました。
だんだん体も不自由になって、革細工とか編み物とか趣味だったこともできなくなったけれど、それでも朝、目が覚めたら、その日1日を生きる。生き切ってそしてゼロにして眠る。
人は死ぬ日はわからない。
言い方を変えれば、死ねる日はわからない。
特別なことはしないし、できないけれど、与えられた生の時間をちゃんと生きる
当時はまだ若かった私も人生は1日生きることがつながっているのだと教えられました。
そして谷川さんの最後の詩
感謝
目が覚める
庭の紅葉が見える
昨日を思い出す
まだ生きているんだ
今日は昨日のつづき
だけでいいと思う
何かをする気はない
どこも痛くない
痒くもないのに感謝
いったい誰に?
神に?
世界に? 宇宙に?
分からないが
感謝の念だけは残る
最後まで生き切った先人たちがくれた言葉を胸に、明日も生きよう