いい雪見だいふくの日
11月11日がポッキー・プリッツの日になってから、もう24年が経つそうだ。
この日はチーズの日でもある。
日本ではじめてチーズ的なものが作られた最古の記録が、700年の旧暦10月だからだという。
仕事柄、こちらも定着してほしい。
思い返せばこの日、わたしはポッキーもプリッツもチーズも口にすることなく、Kアリーナ横浜で小刻みに揺れていた。
1が4つ並んだような4弦で低音を響かせる、ベースの日でもあったから、いいのだ。
興奮が醒めない翌週の11月18日、ラジオからこう聞こえてきた。
おお、雪見だいふくなら、奇遇にも冷凍庫に。アイスあるの響きだけで強くなれる。
まだしばらく寝かせておくつもりだったが、縁起物なので開封することにした。
北海道銘菓、白い恋人コラボの雪見だいふく。
アイス売り場とは少し離れたところにある、平台冷凍ストッカーに山盛り並んでいた。
雪見だいふくの日に向けた、サブリミナル効果的なものも狙っていたのかもしれない。
まんまと策にはまった。でもよろこんで。
深緑色に雪の結晶が散りばめられたパッケージは、まさに白い恋人。
そのホワイトチョコレートをつかった雪見だいふくだという。
まっしろな雪見だいふくもいいのだが、ラングドシャ部分をイメージしたキツネ色のおもちが魅惑的だ。
白い恋人パークに住んでいる、雪だるまくんも出張中。
全長7㎜くらいなので肉眼ではまったく見えなかったが、拡大したらウィンクしてほほえんでいるではないか。
蓋の裏になにか長文が書いてあるのだが、文字の色が薄くて映らない。
SNSでよくある、「ご報告」の文面。
140字ではおさまらない想いを、画像を貼ってタップして拡大して読ませる、あの感じ。
白い恋人と雪見だいふくは、運命の人だから強く手を握ったらしい。
食べてくださり、という言いまわしが聞き慣れないが、雪見うさぎからのメッセージなのでそこは気にしない。
ところで、なぜ11月18日が雪見だいふくの日なのか。
まんまるの雪見だいふく2つと、食べるときにつかうスティックの並ぶさまが、縦にすると「18」に見えるから、だそうだ。
それに11(いい)をつけて、11月18日はいい雪見だいふくの日。
ラジオはこう続いた。
1995年から1998年の3年間は、角にまるみのある長方形パッケージだったらしい。
発売ヒストリーには、雪見だいふくのイメージに合う丸に戻した、とだけ書かれていた。
雪見だいふくは、まるくてしかるべき、なのだ。
食べごろは常温で8分だそうだが、アイスを前にもうこれ以上待てないので、2分でかじりついた。さすがにまだちょっとかたい。
キツネ色のおもち部分には、白い恋人のラングドシャ部分の香ばしさをほんのり感じる。
くにゅっとやわらかく伸びるのに、香ばしい。
原材料にラングドシャに直結するようなものが入っていないので、おそらく香料の力だろう。でも、再現度が高い。
いつものミルクアイスの中央部に、白い恋人のホワイトチョコレートソースがひそんでいるらしい。
断面を目視確認する前にすべて口の中へ放り込んでしまったので、味覚だけが頼りだ。
バニラアイスのひんやりした甘みの中に、ホワイトチョコレートのコクのある甘みが、じんわり広がる。
何度食べても飽きが来ない、白い恋人のあのホワイトチョコレート。
ラングドシャとおもちタイプのアイス、180度食感が異なるふたつが、お互いのよさを尊重したまま一緒になっている。
運命の相手に出会えたのは間違いなさそうだ。
室温20℃、腰から下にはホカホカの電気毛布、口の中はもっちりとひんやりととろり。至福の温度差である。
いい雪見だいふくの日だった。
一週間後の11月25日は何の日だろう、と思い調べたら、いい笑顔の日だという。
11(いい)25(にっこり)か。
ゴミ箱の中で、食べ終えた雪見だいふくのまるい容器が笑っていた。
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