キリがない謎解けない
カルディは「コーヒーの香りを楽しむ輸入菓子の迷路」として出入りさせてもらっている。
試飲をやんわり断って入店したとき、店員さんから「YOUは何しにカルディへ?」的な目線を感じてしまうのは被害妄想か。
コーヒーファームなのは心得ているが、体質的に飲めない。めんぼくない。
壁のようにそびえたつ陳列や、何がどこにあるか把握しきれない品ぞろえの多さは、子供の目線で見たスーパーのお菓子の陳列棚と似ている。
お気に入りを見つけだすのが楽しいし、ずっと見ていたいというワクワク感がある。迷路のように入り組んだ通路もまたしかり。
今回なんだか妙に気になったのが、こちら。
オランダのチョコレートである。
輸入菓子は食感や風味が舌に合わないことがあり長らく敬遠していたが、パステルロールチョコレートに出会ってから、オランダのチョコレートには全幅の信頼を寄せている。
あのベルギーの隣だし。酪農国だし。
あと、ラインナップにオレンジフレーバーが多いのも柑橘好きには嬉しい。
さすがオラニエ公ウィレムの国、オレンジ推しがすごい。
イメージイラストが、闇落ちしたマックポテトにみえる。
カタカタ音がするので不安だったが、ご丁寧に内箱と透明袋に入っていた。
天面フタに帽子のツバのような差し込みがないので、一度開けたらフタはピロピロしっぱなし。
血糖値爆上がり覚悟で全部食べるか、テープで止めるか、ジップロックに入れておかなければ。
差し込みのおかげでフタがしっかり閉まる設計になっていたり、箱本体に差し込み受けの切れ込みが入っていたりする日本の菓子メーカーの心づかい、たいへん愛おしい。
スティック状のチョコレートの中には、オレンジ風味のフィリングが入っている。オレンジの味と香りはダークチョコレートの濃厚さに負けていないし、クセがなくて食べやすい。
なにより、食感がポキポキで楽しい。歯との接地面積が少ないので、口の中でもたつかないから次から次へといける。これはキリがない。
オランダなのにトリアノン、は、オランダ南部にある1950年創業のメーカーで、ホームページは阿部寛さんのホームページ以上にシンプル。
家族経営、以外にほぼ情報がなかったため、裏面表示にヒントがないか見てみる。
日本語と外国語が、箱に直接印刷されている。輸入菓子歴が浅く、このパターンには初めて出会った。
わたしが過去に出会った輸入品は、外国語の裏面表示の上に日本語のシールが貼られていることが多かった。息を止めて、そっとシールをはがすつもりだったのに。
と同時に、違和感を覚える。
日本語の表示が、表示部分の半分以上の面積を占めている。
残りのスペースに、ドイツ語・チェコ語・スロバキア語・ポーランド語という東ヨーロッパ諸国の言語が、視力検査で適当に答えるレベルの小ささで詰め込まれている。
しかも、別の面には西ヨーロッパ諸国とバルト三国もぎゅうぎゅう詰め。
栄養成分表示、カロリー、脂質、炭水化物、タンパク質、食塩相当量
が
英語
ドイツ語
オランダ語
フランス語
イタリア語
スペイン語
スウェーデン語
デンマーク語
チェコ語
スロバキア語
ルーマニア語
ラトビア語
リトアニア語
ポーランド語
で書いてある。
オリンピック開閉会式の選手入場と見紛うくらい、続々と。
これらの国では、原材料表記部分は日本語の部分にシールを貼って対応するのだろう。
とりあえず、塩、はどの国もしおらしい表記で安心した。
バルト三国のうち、エストニアだけないのは言語系統が異なるからか。地理的に一番北だし、スウェーデン語通じるらしいし。
あれこれ考えながら、ポキポキ食べる手も止まらない。おいしい。
それはさておき、十数か国の言葉で表記されているということは、このチョコレートがこれだけ多くの国で流通しているということだ。
その商品の裏面表示のメインが日本語とは、これいかに。
ポキポキ
恥ずかしながら、輸入品の食品表示にはあまり詳しくない。
ポキポキ
自社では、輸出はしていても輸入品はあまり取り扱っておらず、食品表示検定のテキストでも輸入品についてはわずかしか記載がない。
ポキポキ
わたしは今、食べながら言い訳をしている。
ポキポキポキ
箱だけ日本で作って現地に送り込み、オランダで詰め合わせして輸入しているのだろうか。そういうパターンもあるのか。
ポキポキポキポキ
だとしたら、フタに差し込みつけてほしいんだなあ・・・。
ポキポキポキポキポキ
こんな夜に、チョコレートを食べる手が止まらない。
このままでは食い尽くしてしまうし、言い訳が文句になってきたし、「ポキ」がゲシュタルト崩壊してきた。
迷路のようなカルディで惹かれたチョコレートについて考えていたら、思考が迷路のように入り組んできてしまった。輸入品の表示については、また改めて考えたいと思う。
あんなにあったチョコレート、もうあと6本しかない。