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夜雨の名画座

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鑑賞した映画の記録。旧作多め。
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#水上勉

夜雨の名画座一覧

ご紹介をした映画の一覧を作ってみた。 公開年代(たぶん)順。映画史的なところから何かが見えてくると面白いかな。 2025/02/18 現在 58本 1951/昭和26年 ◯ 巴里のアメリカ人 … 🎬️ヴィンセント・ミネリ 1952/昭和27年 ◯ 次郎長三国志/次郎長売出す … 🎬マキノ雅弘 1953/昭和28年 ◯ 怪談佐賀屋敷 … 🎬荒井良平 ◯ 次郎長三国志/次郎長初旅 … 🎬マキノ雅弘 ◯ 次郎長三国志/第三部 次郎長と石松 … 🎬マキノ雅弘 1954

映画『湖の琴』(1966)

このところ水上勉原作の映画をみています。今回は『湖の琴』。監督は田坂具隆、主演は佐久間良子。 佐久間良子主演の水上勉原作ものであれば『五番町夕霧楼』(1963)、『越後つついし親不知』(1964)が知られているように思いますが、あえての『湖の琴』。 『湖の琴〔うみのこと〕』は大正から昭和のはじめの時代、若狭から近江湖北の集落へ働きにきていた若い男女の悲恋ものとなっています。若い娘のほうが恋しい青年以外の男にやられちゃって苦悩するという展開は、ほかの水上作品にもありそうです。

映画『はなれ瞽女おりん』(1977)

水上勉原作の『はなれ瞽女おりん』を見る。監督は篠田正浩。 どちらかというと救いのない映画かもしれません。ネタバレなし。 映画の話の前に「瞽女〔ごぜ〕」についてご存じない方も多いでしょうから簡単に説明しますと、三味線を弾いて歌などを披露する盲目の女性芸能者です。宴席などによばれることもあるし、門付〔かどづけ〕のように店先や玄関先などで歌うこともあります。 本作の主な舞台は越後の国。地域によって組織の違いがあるかもしれませんが、この地では師匠となる人のもとに数名の弟子がいて、

映画『雁の寺』(1962)

水上勉のエッセイを読んだので水上文学にもう少し触れてみる、映画で。 水上の小説を原作とする映画は何本かある。今回は川島雄三監督の『雁の寺』を見た。 水上勉の原作は1961年に雑誌に連載されたもので、直木賞受賞作。原作を読んだのははるか昔なので記憶にない。映画は1時間40分くらいの尺で気楽に鑑賞できる。 水上は貧しい環境に生まれ九歳のときに口減らしで京都相国寺塔頭の瑞春院に小僧として預けられた。 このときの体験が『雁の寺』となっている。ちなみに、厳しい寺の生活に耐えかねて十

映画『土を喰らう十二ヵ月』(2022)

水上勉のエッセイ『土を喰う日々』を読んだので、これを原作とした中江裕司監督の映画『土を喰らう十二ヵ月』(2022)を観る。 原作には物語らしい起伏はないので、素材(原作)の味わいを活かしつつも、丁寧に膨らませている。 作家のツトムは信州の山家で愛犬さん“さんしょ”と暮らしている。 時どき、担当編集者であり恋人の真知子が訪ねてくる。 いちおうドラマではあるが、畑や山野の旬の食材と向き合い生きることをみつめるドキュメンタリー風の作品にもなっている。 信州の春夏秋冬がキレイで

映画『飢餓海峡』(1965)

こんばんわ、唐崎夜雨です。 今宵ご紹介する映画は1965年1月15日公開の『飢餓海峡』です。原作は水上勉の同名推理小説。 水上勉は松本清張の『点と線』に触発されて社会派推理作家として世に出ましたが、のちに貧しい寒村に根差した人間の悲哀を描くようになりました。 『飢餓海峡』にはその両方の側面が味わえる水上勉の代表作です。 監督は内田吐夢。脚本は鈴木尚之。モノクロ映画。約3時間の長尺。 あらすじ 昭和22年9月20日、北海道は台風の影響を受け強い風に見舞われていた。岩内町で