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#086 スカンノへの旅 (最終回) スケッチブックの中の時間

 スケッチツアーからの帰国後、ツアー中に描いた絵の手直しをするとか、着彩するとか、そのようなことを今まであまりやったことがない。それどころか、再びペンを持ちスケッチブックを開くこともなくなる。日常的に絵を描くという生活を日本ではしておらず、帰国と同時に絵を描くということが特別なこととなってしまう。
 スカンノでも多くの写真を撮ってきた。それらを見ながらペン画を描くかといえば、描かない。私は屋外で風を頬に感じながらスケッチをするのが好きなようで、写真を見ながら絵を描くということは、あまりやったことがなく苦手だ。
 そのような訳で、スカンノで使ったスケッチブックに描かれた作品は、その後、修正もされず増えてもいない。帰国後、スケッチブックの中の時間は止まったままだ。

 スカンノで描いたスケッチを、ほぼ無修正のまま「でべその散歩道」に
アップした。スケッチをしたときの思いなどを、255文字以内という制限の中でキャプションを書いている。絵と短い文章の組み合わせ。現場スケッチのリアルさを表現することができたら…と思っている。

 スケッチブックを開くと、スケッチした場所の空気感や時の流れが思い出される。文字の記録や写真とは異質なものがスケッチブックには閉じ込められている。それを感じられることが嬉しくて、今年もスケッチツアーに行こうと思っている。今年はフランスの村々だ。スケッチをする旅を楽しんできたい。

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