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【2024年最新版】国内Femtech(フェムテック)プレイヤーマップ

Femtech Community Japan(以下、FCJ)では、「2024年最新版 国内フェムテックプレイヤーマップ」をリリースしました。

このマップは、女性ヘルスケアにおける課題・ギャップについて、テクノロジーを活用し、女性および女性を取り巻く周囲が、よりよい解決策やサポートができるような製品・サービスを紹介しています。

▼2024年国内フェムテックプレイヤーマップ解説資料ダウンロード
(アンケート記入後、ダウンロードできるGoogleドライブが表示されます)

▼【参考】2023年国内フェムテックプレイヤーマップはこちら



0. Femtechプレイヤーマップの背景

①Femtechの定義 - Femtechとは?-

Femtech(フェムテック)とは、Female(女性)とTechnology(テクノロジー)をかけあわせた造語で、女性が抱える月経、不妊、更年期などの女性特有の健康問題をテクノロジーで解決できる分野を指します。

Femtechの定義(FCJ作成)

②Femtechの領域・対象カテゴリ

Femtechの対象となる女性ヘルスケアの課題とは、月経、妊活・妊娠、出産・産後ケア、更年期などライフステージに伴って変わるもの。更に、避妊、女性特有の婦人科疾患、ホルモンの変動に伴うさまざまな症状などライフスタイルや個人に依存するものなどが挙げられます。

今回、フェムテックプレイヤーマップ作成にあたっては、複数領域にまたがったソリューションを提供する企業なども含め、月経・避妊、妊娠・妊活、更年期、ヘルスケア・ホルモン、婦人科系疾患の5分類としています。

Femtechの領域と女性の健康課題(FCJ作成)

Femtechの概要やビジネス動向については、下記のnoteでも解説しておりますのでぜひご一読ください。
Femtechまとめシリーズvol.1「Femtechへようこそ!」
Femtechまとめシリーズ vol.2「Femtechの事業立ち上げに向けたビジネスモデル事例のご紹介」

1.Femtechプレイヤーマップ概要と全体動向

作成:Femtech Community Japan

2024年11月時点のフェムテックプレイヤーマップの対象企業は、全体で66社となりました。

女性の健康課題における領域別には、妊娠・妊活が一番多く21社、続いて月経・避妊18社、ヘルスケア・ホルモン15社、更年期7社、婦人科系疾患5社となりました。

昨年から比較すると、特に更年期や婦人科系疾患のプレイヤーが増加しています。

2. Femtechプレイヤーマップ:領域別の動向

①月経・避妊:18社

Femtechに関連する健康課題では、PMSなどの課題を中心に、最もメディアで多く取り上げられる分野で話題となっています。月経管理アプリやオンラインピル処方など、多数のサービスが出現しています。

甲南大学と奈良女子大学における、生理痛再現の可能性と効果を検証する研究の中で開発された、大阪ヒートクールの生理痛体験デバイス『ピリオノイド』や、医療機器製造販売業軸として展開する多彩な事業を展開する富士メディカルサービスから、TENS(経皮的電気刺激療法)を活用した月経痛緩和デバイス『セラフィナF』(低周波治療器)などが販売されています。

②妊娠・妊活:21社

2022年4月から不妊治療の保険適用が導入され、日本でも妊活・妊娠分野において患者・企業・医療従事者を支援する製品・サービスが増加しています。社会全体や当事者となる夫婦・パートナー同士においても妊娠・妊活などにおける知識拡大の重要性が求められてきています。

年齢やホルモンなどの個人の身体の状態などにより妊娠のしやすさや不妊の原因が異なるため、専門家による個別相談や、オンラインコミュニティ形成などが進んでいます。なお、B2C(個人向け)はもちろん、B2B(企業向け)の分野にも広がりを見せています。

③更年期:7社

オンライン診療やチャットなど、更年期に特化したサービスが多く出現しています。更年期に特化したチャットサービスTRULYなどの先行プレイヤーに続き、2024年はオンライン診療などのプレイヤーが増加しています。

更年期の領域の動きとしては、2023年度末から女性管理職割合の公表義務化があります。日本の管理職の平均年齢が47歳から52歳で、ちょうど更年期の世代と重なります。多くの企業にとって、女性管理職比率向上が喫緊の課題となっています。

④ヘルスケア・ホルモン:15社

企業の女性活躍推進・健康経営の推進により、従業員向け福利厚生サービスとしてB2B2Eの形態で企業の従業員支援を目的とした幅広い女性ヘルスケアの教育・啓発やサポートのサービスが多く見られます。

また、オンライン処方や在宅向けホルモン検査キットなど、包括的に女性の健康課題に取り組んでいる企業が該当します。

⑤婦人科系疾患:5社

痛みのない非侵襲の乳がん検査や遺伝子リスク判定など、主に早期の予防・診断サービスが提供されています。婦人科系疾患の診断・検査のハードルを下げるソリューションが、今後も拡大すると見込まれます。

3. Femtechを取り巻く背景・最新動向

①ジェンダーギャップ指数がG7最下位

日本は、世界経済フォーラムが発表する、男女格差を測るジェンダー・ギャップ指数が146カ国中118位とG7最下位となっています。

個別の指標をみると、日本は、「教育」「健康」は世界トップクラスですが、「政治」「経済」の順位が低いのが現状です。つまり、日本は労働力不足を嘆いていますが、「教育されている健康な女性」を活用できていない状況にあります。

出典:男女共同参画局「男女共同参画に関する国際的な指数」

②政府・自治体

女性活躍推進や少子化対策などの社会的課題への政策も後押しとなり、政府主導で女性の健康課題解決およびフェムテック推進が実施されています。

政府の動きとして、内閣府の女性版骨太の方針2024 では「フェムテックの推進と更なる利活用」や、フェムテック振興議員連盟、経済産業省の「フェムテック等サポートサービス実証事業費補助金」、厚生労働省の「女性の健康総合センター」などが進められています。また、なでしこ銘柄においても、評価項目に「女性特有の健康課題に対する支援の取り組み」が加えられています。

Femtech Community Japan作成

東京都の取り組みとしては、事業者・企業・個人に対し、フェムテックの施策を実施しており、他自治体や政府のフェムテック支援のモデルケースになり得ると考えます。

Femtech Community Japan作成

また、地方においては、若年女性の大都市圏への転出超過が課題となってい
ることもあり、愛知県の東三河フェムテック産業推進事業、静岡県の浜松ウェルネスプロジェクトなど、フェムテック産業の推進に力を入れています。

③大企業

多くの大企業が、保険、食品、ヘルスケア、アパレル、化粧品・美容、ITプラットフォームなどの分野でフェムテック・フェムケア事業に参入しています。

最新IoT技術を活用したウェアラブルデバイスで、女性の健康課題解決
をサポートする製品開発や、福利厚生サービスとして、フェムテック関連サービスを導入する企業も増えています。

Femtech Community Japan作成

④資金調達

2024年、国内資金調達の例として、妊娠・妊活分野だと、ファミワン、アークス、ディオシーブ、ARCH。妊産婦向け健康管理のママウェル、更年期オンラインのメノピアなどが資金調達を実施しています。

⑤国内スタートアップに投資している国内ファンド・CVC

国内でもフェムテック事業に投資するファンド・CVCが増加しており、妊娠・妊活領域や妊産婦向け健康管理、更年期領域など、資金調達の事例が幅広く増加しています。

Femtech Community Japan作成。ロゴは各社ホームページから抜粋。

⑥男性更年期

2024年は、男性の更年期障害に関する報道が増加しました。男性更年期症状による経済損失は年間約1.2兆円とされ、これまで見過ごされてきた健康課題への意識が高まっています。

出典:経済産業省「令和5年度ヘルスケア産業基盤高度化推進事業」

4. フェムテックプレイヤーマップ選定について

当フェムテックプレイヤーマップ作成においては、Femtech Community Japanが「女性ヘルスケアの課題の解決に向けて、テクノロジーを軸とした製品・サービス」として、以下の考慮点を踏まえて判断させていただいた企業を紹介しています。

<選定における考慮点>

  1. 女性ヘルスケア領域における課題解決をビジョン・ミッションとして事業展開や製品・サービス開発を進めるプレイヤー
    例)月経・避妊、妊娠・不妊、更年期、ヘルスケア・ホルモン、婦人科系疾患

  2. テック要素がビジネスモデルのコアにある製品・サービス
    (テック要素の例)
    ・アプリ・ITプラットフォームがビジネスモデルのコアの価値となっているもの
    ・生体データのセンシング・検出や検査・診断技術などに革新性のあるもの
    ・機械学習・ディープラーニングなどのデータ解析技術を活用しているもの

  3. プロトタイプ以上の製品・サービス提供できている、もしくは資金調達や政府系の助成プログラムからファンディングを受けているなど、一定レベルの事業・技術開発が進んでいるもの(研究開発段階は除く)

5. 当フェムテックプレイヤーマップのご利用について

・当フェムテックプレイヤーマップのご利用の際には引用元(作成:一般社団法人Femtech Community Japan、当noteのURL)を明記くださいますようお願いいたします。

・当団体が公開情報をもとに独自の調査により作成したものであり、網羅性や正確性を完全に担保するものではありません。

・企業・サービスのロゴを使用させていただいておりますが、使用上問題のある場合は削除・差し替え等対応いたします。お手数ですが、下記メールアドレス宛にご連絡ください。
email: hello@femtechjapan.org

・当フェムテックプレイヤーマップへのご意見・コメント等がございましたら、上記までご連絡ください。なお、掲載ご希望については、ご共有いただく内容を踏まえて当団体にて判断させていただきます。

6. Femtech Community Japan法人会員募集中

当フェムテックプレーヤーマップの解説と個別企業についての詳細版レポートは、FCJの法人会員の企業向に配布・解説セッションなどを提供しております。
法人会員以外の方でレポートについてご関心の方は、下記FCJ問い合わせアドレスまでお問い合わせください。

email: hello@femtechjapan.org

FCJでは、スタートアップ・大手企業、VC・投資家、⼤学・研究機関、医療・ヘルスケア関係者メディアパートナーなどが集まり、フェムテック関連の取り組み・情報共有や現状の課題と今後に向けた議論・WG活動などを行っています。

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