シンガポールの賃金事情のリアルについて。「賃金底上げがされている?」
今回は、シンガポールの賃金事情のリアルについてです。
私たちのNoteを見る方々の中には、このような方々が多いと思います。
そこで、実際のシンガポールの給与や報酬事情を取り上げてみようと思いました。
せっかく現地にいるので、直接クリエイターやクリエイティブ関連のお仕事をされている方々にプチ取材を敢行して、より解像度の高い「現地情報」を提供したいと思います!
クリエイターの賃金は他の職種と比べて低い!?
私はここ数年、シンガポールのクリエイティブ業界は着実に発展してきていると思います。クリエイティブと一口に言ってもさまざまですのでわかりにくいかもしれませんが、例えば日頃訪れるビル街の建築、飲食店の内装、ショッピングモールに入居するアパレルや化粧品ブランド、街ゆく人々のファッションが私がシンガポールに来た約3年前よりも洗練されていたり、モダンであったり、トレンドなデザインであったり、変化を感じるからです。シンガポール発のクリエイティブも増えたと思います。
そういったところから私の専門領域である人材市場を見ていくと、デザインやブランディング、コンテンツ制作、ソーシャルメディア運用、といった求人を目にすることが確実に増えました。しかし、私が3年前シンガポールに来た頃には、周りから「シンガポールでクリエイティブは育たないよ」と言われていました。
では本当に、シンガポールでは他の業界と比べてクリエイティブ業界は育たず、「クリエイターの賃金は低い」のか?ここを少し深掘りしてみましょう。クリエイティブ業界、というグループ分けはシンガポールでまだ確立されていないためいくつかのソースを見ながらピックアップして他の職種と比較していく方法を取りたいと思います。今回はシンガポールで最も大きいジョブサイトの一つ、Jobstreetの2023年9月現在のデータを参照していきます。
<シンガポールの職種別平均給与>*全役職ランクを含む平均
手作業で一つ一つ見ていくと、このような結果でした。シンガポールでは金融分野やIT分野はかなり進んでいるので比較対象として取り入れたのと、営業や教師、飲食店シェフなどは他業種でありながらみなさんにも馴染みのある職種だと考え、ピックアップしてみました。
「どんな印象を持たれましたか?」
日本円ではなくシンガポールドルで記載したのですが、2023年9月時点でのシンガポールドルの円相場は106〜108円を推移しています。「え!平均給与高い!」と思うかもしれませんね。ただ日本とシンガポールでは、家賃や物価などの違いや労働人口数の差があるため一概に断言できませんが、あくまで平均ということを考えると日本と同じか少し上かもしれません。
クリエイティブ系の仕事はというと、ここで取り上げたのはDesigner、Video Editor、Creative Directorの3種です。ITや金融に比べると見劣りするものの特段「低い」という印象は持ちません。
またDesignerの中でもGraphic Designer、Web Designer、UX Designer、Interior Designerで給与は少し異なってきます。
企業は幅広いポジションのクリエイターを求めている?クリエイティブ分野での転職市場感は?
上記以外にもデザイナーという仕事はそのジャンルが多岐に渡りますね。シンガポールでも同様で、このほかにもこんな求人が。
そのほかの求人としては、こんなものが。
もっと細かく言えば、会社によってはTikTok Video Strategist(TikTokビデオ戦略立案)みたいな求人もあったりしまして、興味深いです。
自社が求めている人材は、自分が応募したい求人は、英語でどの職種なのか、確認が大切ですね。
シンガポールでクリエイティブ関連職が注目されていることを象徴する記事がDesign Singapore Councilから出ていました。
気になる方はぜひ。
実際のクリエイターたちの声は?
では実際、シンガポールで私が出会ってきたクリエイターたちはどのような意見か気になりますよね。やはりこういったデータは誰でも時間をかければ調べられますが、現地にいる私だからこそ届けられるのは生の意見!ということで実際に、現地で働くクリエイターの声をピックアップしていきたいと思います。共通してこんな質問をしてみました。
①クリエイティブディレクター/個人事業 Aさん
「私が企業で働いていた直近では自身の給与の変化はありませんでした。長く勤めていても給与が大幅にアップするということはあまり経験できませんでした。現在はフリーランスを経て独立しているので参考にならないのでは。ただ、シンガポールでは転職とともに給与が上がっていくので業種問わずに盛んに転職する人が増えれば平均給与は上がっていくと思いますよ」
②映像ディレクター/フリーランス Bさん
「考えたこともなかったな(笑)僕はずっとフリーランスだからかもしれないけど、急にクライアントからもらえる報酬が増えたってことはないよ。だけどアメリカやヨーロッパの人と仕事をするからそちらのレートだとシンガポールより高いこともある。君の質問を機に市場価格を気にするようにしてみるよ(笑)」
③コンテンツクリエイター/広告代理店勤務 Cさん
「5年前というと私が入社する前ですからあまり大きな給与の変化には気づかないですが、給与ではなくて求人の数で言えば増えた気がします。シンガポールのジョブサイトは一つではありませんし、今はLinkedInと言ったソーシャルメディアで積極的にダイレクトリクルーティングが行われています。そこでは給与額を聞かれてそれ以上を提示されることが多いようですし、ヘッドハンティングみたいな感じですね。実際に調べたことはありませんけど、転職によって給与が上がっている人は増えてると思いますよ。あと私はシンガポール人だから副業できますし、そういう部分での収入も気にしています」
④デジタルマーケティングマネージャー Dさん
「とても難しい質問だが、答えはNoだ。僕が感じる限りはね。5年前と大して変わらないよ」
シンガポールの転職文化とクリエイティブ関連職の需要増との相乗効果で、全体的に賃金が底上げされる
Design Singapore Councilの調査データでは、クリエイターの賃金が上がっていると言われていましたが、実際の取材を行ったクリエイターからは、「実感できない」という声が多数を占めました。
ただ、Cさんも話していたように、転職をすることによって自分の給与や待遇をより良いものにしていく習慣が根付いているシンガポール。私がこのリサーチと取材を通じて確信できたのは、シンガポールは転職が盛んに行われる国であることと昨今の企業でのデザイナーをはじめとしたクリエイティブ関連職の需要増が掛け合わさることによって、いわゆる市場価格が上がっていくのだろうということです。
さらに、ITの進歩が著しいシンガポールにおいて、デジタル領域でのユーザーフレンドリーさを重視していく企業が増えてくれば、それに携わるクリエイターたちのニーズも高まりそう。シンガポール国内に限って言えば、今後ますますクリエイティブ人材への注目は高まるでしょうね!
そうなってくるとシンガポールで、いろんな経験やスキルを携えたクリエイティブ人材が5年後10年後にはさらに増えていくとともに、国内に限らず海外へもその人材を獲得しようとする流れが来るんじゃないかと思います。それに応じて、国外からもシンガポール人クリエイターを求める流れが来ているし、さらに増えていくかもしれません!私が来た頃に言われた「シンガポールでクリエイティブは育たないよ」という言葉が過去の話になるかも?とワクワクしています。
弊社ではシンガポールのクリエイティブ人材の紹介を行っています
フェローズシンガポールがやっていきたいことは、今からシンガポールで経験を積んだクリエイティブ人材と、日本の企業との「ご縁を繋ぐ」こと、つまりシンガポールの人材を日本の企業に紹介すること。
例えば、日本からシンガポールに事業展開をしたい日本企業を想定しましょう。そこで事業戦略を考えたり、クリエイティブを制作したりする際、頼りになるのはシンガポールで経験を積んだ、シンガポールのビジネス経験のある人材です。
私たちはシンガポールに法人を置いており、シンガポールの企業をはじめ、人材とも多くの交流があります。そのため、シンガポールの人材事情から法的な事情も踏まえ、求めているシンガポールの人材を探し、採用するサポートをしています。
これまでも、そしてこれからも、シンガポールをはじめとした東南アジアと日本とのクリエイティブ領域の交流を生んでいきたいと思います。
弊社による、クリエイティブ人材の紹介についてはこちらで詳しく解説しています。
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