最近介護が低調だが安定してるわけ【高齢な親の話】
片道6時間、新幹線の距離に住む母親を遠距離介護しています。
「近所の人に聞いたらびっくりしはるわ」
母はよくそう言ってました。
「ゴミ置き場の掃除当番ができない」
「回覧板が回せない」
「排水溝の一斉掃除に参加できない」
近所では自治会の当番などやることがあります。どれもこれもそんなに大変なことではありませんが、うつ病で一人暮らしの母にはハードルが高い。できそうにない。どうしよう、どうしよう。
母が暗い顔で不安そうに悩むので、私は
「病気でできない、どうしたらいい?って聞いてみたら?」
と言ったのです。
ですが、母は眉をひそめて
「近所の人にそんなこと聞いたらびっくりしはるわ」
と言うばかりでした。
私はこの発言にもうゲンナリでした。
親戚の人が聞いたらびっくりしはる。
近所の人が聞いたらびっくりしはる。
先生が聞いたらびっくりしはる。
この言葉は私が子供の頃に母が私に言ってた言葉でした。
私が言うことを聞かなかったら、
私が忘れ物をしたら、
私がテストで悪い点をとったら、
母はそう言って私をなじってました。
「ええー?そんなこともできへんの?わー、びっくりやわ」
と言う、さげすみのような笑みで「こまったねえ」と悪いものでも見るように「うちの子でなくて良かったわあ」という悪意で私のことを見るに違いない、それでもあんたはええの?
そんな意味です。
母はそう言って「恥ずかしい」を圧力に私に言うことを聞かせたかったのです。でも私は、
・・・ええわ!かまへんわ!
別に親戚や近所の人や先生のどう思われようとかまわない。それは私の問題で、親戚、ご近所、先生にどう思われるかは、そんなに重要なことではない。
私の言い分を聞く前に「ご近所にどう思われるか」を気にする母がイヤでした。だいたい近所づきあいなんてそんなになかったのに。(挨拶する程度)
私のことなんてどうでもいいんだな。私に向き合う気は無いんだな。
そう思いました。
そんな母が、いろいろできなくなって、自分の困りごとを近所の人に言えないわけです。
近所の人ってみんな性格悪いんだろうか?
「え?うつ病で出来ない?高齢で?腰の骨も骨折した?で、そんなこともできひんの?わー、びっくりやわー、そんな人、聞いたこともないわ。」
ってそんな人いるんだろうか?もしおったら性格悪すぎやろ。
母は「びっくりしはるわ」といろんな人から隠れてコソコソと生活していました。
って、急に連絡を無視したりしたら多少は分かると思うけど。
母はずっとこんな感じでしたから、生活のいろんなことを私のせいにもしてきました。「あんたがこんなもの頼むから」とか。
ですが、引きこもり生活も1年半を超え、最近の母には変化が見られます。
文句を言うことが減った。
文句や人にどう思われるか、と言うことが減りました。
私は格段に接しやすくなった。
電話して文句言われたりすると、こちらもきついのです。「病気が言わせてるのだから」とか「前からそういう性格だから」「困ってるがそういう発言になっただけ」と真に受けないでスルーするようにしますが、やっぱりこちらも生身なので、文句ばかり言われると元気を削がれます。
ただ単に文句言う元気がなくなっただけだと思いますが、それでも、言わなくなった、と言うのは私にとってとても大きいのです。
だから、ここのところ母の体調は相変わらずの低調で、状態はよくなってませんが、それでも私の心が安定しています。
言葉って、大事。どんな言葉を発するか、ってホント大事だなあ、と思いました。(年をとってもそんなこと言う人にはならないぞ)
お読みいただきありがとうございます。
今日も皆様がステキな一日を過ごせますように。