【ドイツ事情】プレゼントをくれるのはサンタではない #437
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Hallo zusammen!
Mein Name ist Hiromi Shirai.
『白井博士のドイツ語講座』へようこそ。
白井宏美です。
毎週水曜日はドイツ事情について、私の体験も踏まえてお話しています。
先週の第432回では「ドイツのジブリ人気がそんなことになっていたとは!」というテーマでお話しました。
今日は「プレゼントをくれるのはサンタではない」というテーマでお話します。
プレゼントを持ってきてくれるのがサンタクロースでなければ、誰が持ってきてくれるの?と思いますよね。
実は、現在お馴染みのサンタクロースは19世紀以降に流行したものなのです。
それよりもっと昔、4世紀に実在した聖ニコラウス(St. Nikolaus)というローマ帝国の州都ミラの司教がいました。
聖ニコラウスは貧しい人々に心を配り、財産の一部を与え、その優しさと寛大さで知られていたといいます。
これが聖ニコラウスの「贈り物を運ぶ人」というイメージにつながったようです。また、歴史的資料には、聖ニコラウスがキリスト教徒迫害の過程で投獄された際、豊かな遺産を貧しい人々に分配したことが記されています。
聖ニコラウスは270年頃にパタラで生まれ、345年12月6日に亡くなったとされています。そのため、キリスト教では12月6日が「ニコラウスの日」となったんですね。
ドイツとオランダでは、聖ニコラウスが12月5日から6日の夜にそりに乗って旅をし、子供たちにプレゼントを届ける風習が生まれました。
19世紀には、アメリカに入植したオランダ人が、この聖ニコラウスの姿を、その習慣や伝説とともにアメリカに持ち込みます。
聖ニコラウスは司教ですから、本来の姿は白い司教服を着て、司教帽をかぶり、金の杖などを持っていました。
しかし、今のサンタクロースは長い白ひげをたくわえて赤いコートを着た恰幅の良い老人ですよね。
このイメージは、アメリカのコカ・コーラ社の広告とハリウッドが後押しして世界中に広まり、聖ニコラウスの本来の姿より有名になってしまいました。
このような事情とサンタクロースの勝利により、結局、現在ではクリスマスと聖ニコラウスを別の日に祝うようになっています。
ニコラウスの日には前日の夜にきれいに磨いた長靴を玄関の前に置いておくと聖ニコラウスがお菓子や果物、ちょっとしたプレゼントを長靴の中に入れてくれます。もちろん実際は両親やご近所さんが入れてくれるんですけどね。
そしてクリスマスには家族からプレゼントがもらえます。
つまり、プレゼントを持ってきてくれるのはサンタクロースではなく、聖ニコラウスと家族なのです。
いずれにしても、2回ももらえていいですよね。
ただ、地域や家庭にもよるようで、私のアウクスブルクでのホームステイ先では「ニコラウスの日」は特に何もせず、クリスマスイヴにクリスマスツリーの下に家族が用意したプレゼントがたくさん置かれていました。私へのプレゼントもあり感激したことを覚えています。
いかがでしたか?
19世紀以降に作られたサンタクロースが商業化され、聖ニコラウスに代わってクリスマスのシンボル的存在となってしまったのには、歴史的、文化的、社会的なさまざまな理由があったようですね。
皆さんはどう思われましたか?
それでは、このあとも素敵な1日を!
Einen schönen Tag noch!
Tschüs!
【参考HP】